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古流武術異世界戦記  作者: タキケン
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武闘術の解説

69話


「さて、そうだな・・・。まずは武闘術の考え方を理解してもらうために、ちょっと質問させてくれ!」


 優司はドラゴニュート達に質問をした。


「戦闘を想定して訓練していると思うけど、何を重要視している?相手に勝つために何が重要だと考えている?」


「そうですな・・・、やはり相手よりも速く動き、威力のある攻撃を当てることですかな・・・?」


 ヴァスキが答えた。


「そうだよな。それに尽きると思う。相手よりも素早く動き、一撃で相手を倒すことが出来れば最強だと思うよ」

「それが可能になる様に、どのような訓練をいつも行っている?」


「走り込みや筋力トレーニングなど、色々とやっております。そして実戦を想定した組手などを実施しております」


 ヴァスキではない、他のドラゴニュートが答えた。


「だよな!自分の体を鍛えることは重要なことだ!いつでも素早く、そして力強く動作することは本当に重要なことだ!ぜひ継続して欲しい」

「が、どうだい?成果は?どれぐらい素早く、力強く動作出来る様になった?」


 問われたドラゴニュート達は沈黙している。優司は質問の内容が伝わっているかの確認をするため、質問の仕方を変えてみた。


「例えば、亜人達で言ったら素早く動ける種族はレプラコーンとコボルトかな?力強いのはジャイアントとドワーフかなぁ?他にも獣人や鳥人がいると思うけど、どうだろう?それらドラゴニュート以外の種族達が持つ特徴を超えるぐらいの素早さと力強さは備わったかい?」


「う~ん、難しいですな・・・」


 ドラゴニュートの一人が呟く様に答えた。


「そうだろうな、俺の元居た世界ではこっちの世界の様な種族というものは無いのだが、人種というものはあってね。その人種特有の体格や体質の違いというものがあった。さらに人種の中にも個体差というものが体格と体質に影響していた」

「素早く動くためには体が小さく軽い方が有利であり、力強く動くためには体が大きく重い方が有利だろう!両方を鍛えると相殺しあうことにもなってしまう」

「ドラゴニュートの身体能力は他の種族、例えば魔族よりもどの様に優れているんだい?」


「我々ドラゴニュートは獣人や鳥人といった者達よりは優れていると思います。素早さや力強さだけではなく、鱗があるので体の表面も固く天然の鎧を着ていることにもなります。しかしながら、魔族には力が強くて素早く動ける鬼人達がおります。さらに魔人の中には我々のように体の表面が硬い鎧の様なものが居ます。竜人が一番優れているとは言えないでしょう」


 ヴァスキが優司の問いに答えた。


「よく解った、ありがとう。」


 優司は微笑みながらヴァスキにお礼を言い、話を続けた。


「結局、身体能力には限界があるんだ!その限界を超えるため、他種族間の差を埋めるために色々な武器や魔法などを考案して利用するのだと思う」

「亜人でもエルフが魔法に優れているのは、身体能力が他の種族よりも劣っていたからだと思う。まぁ、劣っているという言い方は違うかもしれないが、バランスが取れている分、特色が無かったんじゃないかなぁ」


「優司の言う通りだ!私たちエルフは他の亜人よりも身体的な特徴があまりない!だから魔法を発達させた!」


 ルイが優司の考えに補足をしてくれた。優司はルイに微笑みでお礼をし、話を続けた。


「武闘術も魔法や武器といった道具を同じなんだ。よって決して難しいものではない!誰もが訓練すれば身に付けられる『技術』なんだ!」

「魔法には基本的な法則があると思う。そして武器などの道具には固有の形が必ずある。武闘術にも武闘術の考え方がある。それを今から説明しよう!」


 優司は武闘術の核心を話し始めた。


「身体能力を上げようとすると筋力、つまり筋肉を素早く、力強く動かすことが重要であると考えると思う!しかしながら、武闘術では筋力を重視しない。それは、どんなに鍛えても限界がすぐにきてしまうからだ。どんなに体を鍛えても鋼の体は手に入らない。あくまでも鋼の様な体であって決して鋼の体ではない!そして、竜人たちの様な鱗が生えてくるわけでもないから・・・」

「どんなに鍛えようとも体は筋肉と脂肪、血液といった水分から構成されている。そして芯の部分に骨格がある。竜族の様な鱗、魔族の様な硬い表皮、獣人や鳥人といった体毛や羽で覆われているにしても、その下は柔らかい組織で構成されている。それなので外部からの衝撃の方が必ず勝ってしまう。これが現実である。この現実をしっかりと理解して欲しい」

「では何を重視するかというと『骨格』となる。骨格を効率良く正確に動かすことが重要であると考える。筋肉はその骨格が持つ人体力学に沿った動作を素早く、そして力強く動かすための動力として考える。」

「勘違いして欲しくないのは筋肉を鍛えない訳ではない!動力としての必要な筋力は確保しなくてはならないのでウエイトトレーニングを全くしない訳ではない。あくまでも筋肉を太らせることによって骨格の可動範囲を狭めてしまう様な鍛え方はしないということだ!筋肉は鍛えすぎると太くなり重くなる。力強さは向上するが素早さは阻害される。あくまでも動作のバランスを考えて鍛錬する」

「よって、ある程度の筋力アップトレーニングは行うが、重点的に行うのはストレッチと体操及び型稽古である。型稽古は自身の体に動作を浸み込ませるためのものと、二人以上で受け手と攻め手とに分かれて型をなぞるものがある。型は先人達が実戦と訓練の中で醸成させた参考書と考える。よって、一度は正確になぞることが必要となる。その型の意味と型の中にある技を理解するためだ!型の意味と型の構成の要素となっている技が身に付いて理解できると型は必要なくなる。そこまで鍛錬することが必要なんだ!」


 優司は熱く、そして丁寧にドラゴニュート達に語って聞かせた。ヴァスキとドラゴニュート達も真剣な表情で聞き入っている状況である。優司の話は続く。

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