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古流武術異世界戦記  作者: タキケン
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ドラゴニュートの素手での戦闘

67話


 優司は武闘術の基礎を話し始めようとしたが思い直した。


「・・・そうだ、いきなり武闘術のことを話してもドラゴニュート達には伝わらないかもしれないな!まずはドラゴニュート達の力量を見るか・・・!」


 優司はヴァスキにいつも行っている訓練を見せる様に頼んだ。


「武闘術の話をする前にドラゴニュートが訓練している素手での戦闘を見せてくれないか!」

「それを見てから説明の仕方を決めたいと思う!」


 ヴァスキは優司に言われると快く承諾した。


「はい、わかりました!是非見ていただきたい!」


 ヴァスキは一人の屈強なドラゴニュートを呼んで対峙した。双方とも拳を握って左半身に構える。元の世界でのキックボクシングの構えとほぼ同じであった。


「・・・ふむ、拳を使うキックボクシングスタイルか・・・、ということは蹴りも使うということか・・・、ただ、初めから拳を握るということは投げなどの組技はあまり使わないのかな・・・?」


 優司がそんなことを考えているとヴァスキが左ジャブを打ちながら間合いを詰めて右ストレートを相手の顔面目掛けて放った。

 相手はそれを後ろに下がって躱し、すかさず前に出ながらヴァスキの腹を目掛けて右ローキックを放った。

 ヴァスキも直ぐに後ろに下がり、相手のローキックは空を切った。ローキックを放った相手は遠心力によりヴァスキに背を向ける形となった。ヴァスキはすかさず相手の顔面へ右フックを放つ寸前に優司が止めの声を掛けた。


「そこまで!ありがとう、参考になったよ!少し質問させてくれ!」

「まず、今の戦い方を考えたのは誰なんだい?それと、攻撃は拳での突きと蹴りのみかい?」


 優司の質問にヴァスキが答えた。


「この戦い方は何代か前のドラゴニュート達が考えました。それを今に引き継いでいます。それと、攻撃ですが、基本的に拳での突きと蹴りのみです」


「そうか、肘や掌といった部位での攻撃は無いんだな?」


「肘?肘は使いませんが・・・、肘は相手に届かないと思いますので・・・!それに、掌のような柔らかい部分での攻撃は有効なのですか?」


「了解!なるほど・・・、それからもう一つの質問だが、相手を掴んだりして投げ飛ばすような技は無いのかい?」


「投げ飛ばす?相手を押さえつけるために掴んだりはしますが・・・、相手を投げることはしません・・・。我々ドラゴニュートは竜化して飛ぶことができますので、投げ飛ばしても無意味です・・・」


 ヴァスキにとって優司の質問は不思議な内容の様だ。


「わかった!ありがとう!」

「・・・ふむ、中途半端なキックボクシングといったところか・・・、元の世界の新米キックボクサー程度のレベルだな・・・」

「・・・さて、どうするか・・・、一度デモンストレーションをしておいた方が良さそうだなぁ・・・」


 優司は武闘術を言葉で説明してもドラゴニュート達には伝わらないと感じた。よって、ヴァスキと手合わせをすることに決めた。


「もし良ければ俺と戦ってみるかい?武闘術がどういった様なものか、論じるよりもいいと思うんだが?」


 優司がヴァスキに言うとヴァスキは喜びながら承諾した。


「それはありがたい!よろしくお願いします」


 ヴァスキはそう言うと、優司の前に進み出た。そして、先ほどの様に左半身で構えた。

 ヴァスキが構えても、優司は右足を前に出した自然体でヴァスキに視線を送っている状態を崩さないでいた。両腕も下に垂らした状態である。

 構えない優司にヴァスキは少し戸惑っている様子であったが、意を決した様に間合いを一気に詰め、右ストレートを優司の顔面へ放った。

 優司は左足を少し斜め後ろにズラし、前に出していた右足を前方に進めて体捌きを行った。そして左手を下から回して手の平でヴァスキの右ストレートを後方へ流した。

 ヴァスキの放った右ストレートは優司の顔面の右側の空を切る様な形となった。

優司は体捌きと同時にヴァスキの右ストレートの下から右掌底をヴァスキの顎へ軽く当てた。当て方も寸止めではなく、少しダメージが伝わる打ち方をしている。

 ヴァスキは簡単に攻撃を受けたことと、当てたれた掌底が思ったより威力があることに非常に驚いた。周りで見ていたドラゴニュート達も驚いている様子であった。

 優司がヴァスキから離れて間合いを取ると、ヴァスキが再度の手合わせを申し入れた。


「も、もう一度よろしいですか!?」


 優司は笑顔で快諾した。


「ありがとうございます!」


 ヴァスキは礼を言うと再度、左半身で構えて優司と対峙した。優司は相変わらずの自然体でいる。

 ヴァスキも今度はいきなり攻撃するのではなく、様子を見ながら少し間合いを詰めた。

 ヴァスキは無防備で立ち尽くす優司を警戒しながら左ジャブを優司の顔面へ放った。優司は自然体のまま、少し左斜め後ろに体をズラしてジャブを往なす。

 優司のズレた位置はヴァスキの右手攻撃の格好の的になった。よってヴァスキはすかさず優司の顔面へ右フックを放った。

 優司は左斜め後ろにズレた勢いを殺さず、直ぐに右足を自分の左足の前方に進め、腰を落としてヴァスキの右フックを往なした。優司がヴァスキの右フックを潜り抜ける様な状況である。そして、右足を軸に体を反し、ヴァスキの背を見る様な形になった。

 ヴァスキは優司に背後を取られたことを理解したが、攻撃の勢いを殺さずに前方に進み、優司から逃れる様な形となった。振り向いたヴァスキは冷や汗をかいていた。


「まだ、終わっていません!」


 ヴァスキは汗を手でぬぐい、優司の前へ進み出て再度、構えた。優司は笑顔で答えていた。

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