竜族の里へ
52話
優司達一行は竜族の里へ向けて出発する直前の状況であった。そんな状況であるが、ルイが優司に話しかけていた。
「優司、ちょっといいか?話がある。こっちに来てくれ」
「ああ、いいよ」
優司とルイは人気のないところに移動した。
「兄が何を言ったかは知らないが、全部忘れてくれ!別に大したことではない・・・」
ルイは優司の顔を見ずに話していた。すると優司が答えた。
「まぁ、俺は異世界人だし、ルイとは種族も違う。こっちの世界での男女がどういったものなのかも正直解らない・・・。ただ、今はリンを救出することに集中したい!けれど、すべてが終わったら、一度二人きりでどこかに行こう。どこか、楽しいところに!この世界の楽しいところを二人で探そう!どうかな?」
ルイはハッと振り返り、優司の顔を見つめた。そして黙って頷いた。
「おいっ!隠れていないで出てこい!」
優司が木の陰に隠れているルリとカイとモンチに言った。するとルリが笑いながら二人を連れて出てきた。
「ごめんなさい。なんか気になっちゃって!」
「お前らもだ!」
優司が言うとタケゾウとキヨタも叢の陰から出てきた。
「えへっ!すいやせん!」
優司はみんなに一言だけ言った。
「行くぞ!」
優司達は竜族の里を目指してエルフの里を出発した。
魔国、魔人族アスモデウスの居城へアザゼルが戻ってきた。
「アスモデウス様、ただいま戻りました!申し訳ありません!エルフの娘ですが、取り返すことが出来ませんでした」
「鬼人達はエルフの娘のことを認めてはおらんのだな!?」
「はいっ!しかしながら、あの状況ではヤシャしかおりません!」
「そうであろうな・・・しかし、いたずらに鬼人達の仕業と決めつけては鬼人達との戦になりかねん・・・、どうしたものか・・・」
「しかし、なぜ鬼人どもは邪魔をするのでしょう?」
「まぁ、ヤツらにとっては天族との戦は迷惑なことなのであろう・・」
「しかし、ヤルダバオト率いる天使族は魔族全体を敵としています。それには鬼人達も含まれています。ヤツらにとっても他人事ではないはずです!」
「そうなのだがな・・・、鬼人達には解らんのであろうよ・・・、攻撃されてから初めて気づくのであろうな・・・、それでは遅いんだがな・・・」
「どうしましょうか?いっそのこと、軍を率いての強硬手段を用いましょうか?」
「いや、それは止めておこう。天族との戦の前に兵達を消耗したくないのでな!それに、天族との戦には鬼人の力が必要であるからな・・・!」
「では、いかがいたしましょう?エルフの娘を取り返す方法は・・・」
「鬼人達が匿っていることの証拠を掴むしかあるまい・・・、グレーターデーモン、レッサーデーモン、ガーゴイルを駆使して証拠を掴め!それを持ってアラハバキを追い詰めるしかあるまい・・・、しかし、気取られるなよ!」
「はっ!畏まりました!早急に証拠を集めてまいります!」
「鬼人達めっ!余計な手間を掛けさせおって!」
アザゼルは勇んでアスモデウスの部屋を後にした。
優司達は竜族の里を目指して歩いている。メンバーがレプラコーンの里を出てから随分と変わった。
戦士系は優司を始め、カイ、トール、ルイ、タケゾウ、キヨタ、の他、妖族のフェンリルとヤタ、アピス、魔法使い系はルリ、モンチ、サラ、ダグザと新しく加わったレイナ、ハヤタの15人である。
テュールが抜けたことにより、前衛の防御型の要が居なくなったので戦力の低下は否めない様に思われるが、召喚士と死霊使いであるレイナ、魔術と法術のレベルが高いハヤタが新しく加わったことにより魔法力が断然上がったように思われる。
不安要素であった未知の魔法が強化されたことは、優司にとって心強くなった様子である。もっとも、優司自身は自分が魔法を使える様になって魔法力の強化をしたかったのであるが・・・。
優司が歩きながらダグザに向かってこれからの戦闘方法を聞いた。
「ダグザ、このメンバーを見る限り、これからの戦闘は魔法が中心になると思うんだが、どうだろう?」
「優司殿の言う通り、不浄の地は不死者だらけですからのぅ・・・、魔法が決め手になりますじゃろう・・・」
「そうなると、俺は完全に素人だ!指揮はダグザが行うと良い!」
「そうですな!とりあえず、戦士系の人達は前で暴れてくだされ!防御とサポートは魔法使いがやりますわい・・・、ルイ殿は光の矢か火の矢をバンバン射ってくだされ!」
「わかった!俺には単純で解りやすいよ!」
優司は自分の力である木ノ葉流武闘術を思う存分振るえることに少し喜びを感じていた。




