鬼人達
49話
「おう!今戻った!アラハバキ様に取り次いでくれ!」
「こっ!これはヤマト様!すぐに!」
ここは鬼人族の首領であるアラハバキの城である。そこへヤマトとムツが帰還したところだ。
「アラハバキ様!ヤマトとムツ、ただいまもどりました!」
「うむ、ご苦労であったな!それで、首尾よく任務をこなせたか?魔人達はどうであった?」
「それが、奴ら嘘をついていました。理由なく知らない種族に襲われた訳ではなく、エルフの母親を殺害して娘を攫ったそうです!その娘を取り戻すべく、魔人達を追っているそうです!」
ヤマトがアラハバキへ報告を行った。そしてムツが疑問を投げかけた。
「攫ったエルフの娘とは、どういったものなんでしょう?」
「うむ、俺も詳しくは知らんが、なんでもエルフが禁断の呪法を施して産ませた娘らしい。その力を持ってすれば天族など一ひねりだと魔族の会合のときにアスモデウスが話していてなぁ。まぁ、俺が詳しく聞いても教えてはくれなかった!ただ、うまくいけば天族を根絶やしにできると不適な笑顔を浮かべていたよ・・・」
アラハバキが知っていることをヤマト達へ話した。
「それでなんですが!俺とムツでエルフの娘を助けようと思います!そしてエルフの里へ届けようと!どうでしょうか?」
ヤマトが力強くアラハバキへ進言した。
「まぁ待て!お前とムツがいたずらに魔人のところへ行けば騒ぎになる。エルフの娘も無事では済まないかもしれん!ここは自重するように!」
「しかし、手遅れになっては!」
ヤマトはアラハバキに食い下がった。
「まぁ、最後まで聞け!俺に考えがある!お前たちでは魔人達に見つかってしまうであろう。探るのは隠密行動が得意なヤシャあたりにさせる!お前たちはとりあえず休め!後で指示を与えるから!」
「しかしっ!」
「わかりました!」
ヤマトはなおも食い下がったが、ムツがヤマトを抑えて退出していった。ヤマトとムツが部屋を出て少ししてから、部屋の陰からヤシャが現れた。
「よろしいのですか?ヤマト達に本当のことを話さなくて・・・」
「よい!ヤマトは直情すぎるでな!エルフの娘を我々が手に入れていると知ったら直ぐにエルフ達へ知らせるだろう・・・。俺もどう動くべきか、決めあぐねている段階だからな!」
「しかしながら、ヤマトのことです。止められても行動を起こしてしまうのでは?」
「そうだな・・・、なにかヤツが納得する命令を与えてやればいいのだろうかな・・・」
「それであれば、エルフの娘の探索は私が行い、それをエルフ達へ知らせるよう指示なさったらどうでしょう?ヤマトとムツをエルフの里へ向かわせては・・・」
「おお!それは良い案だ!早速ヤマトに指示を与えよう!お前も立ち会ってくれ!お前が探索を行うと言えば、ヤマトも心置きなくエルフの里へ向かうであろう!」
「御意!」
しばらくして再度、ヤマトとムツがアラハバキの部屋にやって来た。そこにはヤシャも居る。
「すまんな、休んでいるときに!先ほどのエルフの娘のことだが、探索はヤシャにまかせることにした。事と次第によっては救出するようにと言ってある。異論はあるか?」
「いえ!私が動くよりもヤシャの方が救出できましょう!」
「ヤシャ、頼むぞ!」
「おう!任せてくれ」
ヤマトは素直にアラハバキの言うことを聞いた。
「それで、私たちは何をすればよいでしょうか?」
ヤマトがアラハバキに指示を仰いだ。
「うむ、お前たちはエルフの里へ向かって欲しい。」
「エルフの里へ?」
「そうだ!エルフの里へ行って娘の探索を引き受けたことを知らせてくれ!そして救出部隊を我々鬼人族のところへ案内して欲しい!救出部隊が魔人族のところへ直接行かない様にするためだ!」
「それは!確かに必要なことです!わかりました!しかと努めます!」
「うむ、よろしく頼むぞ!」
「はっ!」
こうしてヤマトとムツはアラハバキの指示の下、優司達の道案内のためにエルフの里を目指すことになった。
「ではワシは一度エルフの娘を見てみようかの!ラクシャーサの里へ案内せい!」
「かしこまりました」
アラハバキとヤシャはリンに会うべく、ラクシャーサの村へ行った。
「ラセツ!ラセツは居るか!?」
ヤシャが大きな声で呼ばわっている。
「なんだ、騒々しい!」
「これはアラハバキ様!どうしたのですか?」
「うむ、件のエルフの娘を一目見ておこうと思うてな!どこにおる?」
「あちらで子供たちの世話をしております。かの娘、鬼人であろうと関係ないようですな!村の子供たちと仲良くやっていますよ。まったく、不思議な娘です!」
そういってラセツはアラハバキをリンの許へ案内した。
「リン!こちらは鬼人族の・・・」
ラセツがアラハバキをリンへ説明しようとしたところをアラハバキが制した。
「こんにちは、お嬢さん。ラクシャーサの村は楽しいか?」
アラハバキがリンへ話しかけた。
「こんにちは!はいっ!とっても!みんな良い人たちです!」
リンは屈託のない笑顔で答えた。
「そうか、何か困ったことがあれば、このラセツに言いなさい。」
「はいっ!ありがとうございます!」
そうアラハバキにお礼を言ってリンはラクシャーサの子供たちのところへ走って行った。
「お主が直ぐに助けた理由が解った。なんとか家族の元へ戻してやろう」
「ヤシャ、ラセツ!それまでしっかりと守ってくれ!」
「はっ!」
ヤシャとラセツは力強い返事でアラハバキの指示に答えた。




