レイナ
48話
入って来たエルフの少女を見て優司とカイ、ルリ、モンチ、サラ、フェンリル、ヤタ、アピスが一斉に立ち上がった。そして、優司が呟いた。
「リン!?」
するとロナルドが優司達の反応を見て話し始めた。
「似ておりますかな!?リンに!」
「その娘はレイナと申しまして、リンの姉になります。マリアとエディの子です」
「レイナもエディから呪法を受けていた様なんですが、初回だったせいか旨くはいかなかったようです」
「しかしながら、召喚術だけではない特殊な術が使えますので、ここに呼んだ次第です」
トーマスがロナルドの話を引き継いだ形でレイナの説明を行った。
「それと、隣におりますのはハヤタと申します。今のエルフで彼の右に出る者は居ないエルフ随一の術者です。」
「エルフの問題であるのに随行できるのが二人だけとは大変申し訳ありませんが、どうぞ、竜族の里への旅路へお連れください」
「ハヤタは魔術と法術ともに特級クラスを使えます。レイナは魔法こそ1級に届くぐらいですが、精霊召喚の他、死霊使いでもありますので、不浄の地では役に立つと考えます」
トーマスの説明にダグザが食いついた。
「なんですと!?ネクロマンサーとな!それは不浄の地では重宝しますじゃ!」
「不浄の地は天魔大戦時に犠牲となった者たちが今も彷徨う不死者たちの地ですじゃ!死霊使いには打ってつけの任務ですじゃ!」
ダグザの話を聞きながら優司は二人の前に歩み寄って挨拶をした。
「二人とも、よろしく頼む!リン奪還のため、力を貸してくれ!」
「はい」
優司の言葉にハヤタが小さい声で返事をした。どうやら寡黙な男の様である。しかしながら、レイナの方は優司を見るだけで返事をしなかった。少しの間をおいて返事ではなく、優司に話しかけていた。
「先ほど、魔法が使えないと・・・、素霊が見えないとおっしゃっていませんでしたか?扉の外で聞いていました」
優司は確かに話していたとレイナに答えた。
「ん!?ああ、話していたよ!できれば魔法が使えるようになりたいと思っていたんだが、素霊が見えないんでね・・・無理らしい・・・」
するとレイナが強い口調で話し始めた。
「素霊が見えないことはないはずです!現に闇の素霊である『グラム』を手で払っていますよね!?」
「えっ!?このコバエ!?」
優司は驚いて聞き返した。
「それはコバエではありません!闇の素霊、別名重さの素霊のグラムです」
レイナが呆れるような感じで言い放った。
「・・・っえーーーー!コバエじゃないの!?重さの素霊!?って何?」
優司が驚いているとレイナが畳みかけるように優司へ質問を始めた。
「他に見える素霊は何ですか?教えてください!」
「い、いやっ!他に見える素霊と言っても・・・!わかりません!」
レイナは溜め息をつきながら優司への質問を続けた。
「例えば他の人には見えていない現象とかは無いですか?」
「・・・他の人には見えていない現象?・・・現象!?もしかして・・・」
「あ、あのぅ・・・木の幹辺りがキラキラして見えるときがあります」
優司が答えるとレイナも答えた。
「それは光の素霊カンデラです!他は!?」
「はいっ!えーっと・・・、暑くもないのに空間がユラユラする陽炎が見えたりします」
「それは空の素霊リッポウですね・・・、空間を歪めて自身の存在をあなたへアピールしていたんですね!」
「他はっ!?」
レイナの口調がかなりきつくなってきた。
「う~ん・・・、そういえば、エルフの森に入ったとき、時間がゆったり流れている感じがしたなぁ・・・」
「はぁ・・・、それは時の素霊タイムです・・・。素霊達はあなたに気づいて欲しくて色々とアピールしていた様です・・・」
「しかも、原始素霊が見えるとは・・・、基本素霊が見えずに・・・」
レイナが言うとダグザが驚いて話し始めた。
「なんと!?優司殿は四大基礎素霊は見えずに原初の四素霊が見えるのですか!?め、めずらしい限りじゃ!?」
「今の今まで誰も気が付かなかったのですね・・・、信じられません」
レイナが溜め息をつきながら言った。
「面目ない・・・、でも、それなら魔法が使える様になるんだね!?」
優司が喜びながらレイナに聞いた。するとレイナが冷たく即答した。
「無理です。魔法は火、水、風、土の四大基礎素霊の作用です。原初の原始素霊ではありません!」
「それに、あなたが話している言葉はこちらの世界の言葉ではありませんので、素霊には通じません!恐らくですが、母の作った薬の作用で話せるのではないですか?」
「おっしゃる通りです・・・」
優司が力なく答えた。
「残念ですが、魔法は諦めてください!あなたの場合、薬の効果を解除することが出来ない様です。よって、こちらの言葉を学ぶことが出来ません。訳されていない言葉を聞き取る術がないのですから・・・、しょうがないです!」
レイナの話に優司はしょんぼりしながら返事をしていた。
「はい・・・」
それを見ていたモンチがカイに小声で話し掛けていた。
「なんか、すごく気の強い子だねぇ・・・、本当にリンのお姉さんかなぁ・・・、どちらかというと、ルリの姉妹って感じだよね・・・」
「どういう意味よ!!」
聞こえたルリがモンチの頭を力いっぱい叩いていた。




