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古流武術異世界戦記  作者: タキケン
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飛び道具

29話


 優司はテュールとヘパイストの部屋の前に行き、ドアを激しくノックした。興奮を抑えられない様子であった。


「おーい!ヘパイスト居るかい?ちょっと話があるんだけど!」


 するとヘパイストが顔を出した。テュールへ優司の訪問を伝え、中に入れてもいいかの許可を取った。テュールは、もちろんOKであった。


「どうしたのですかな?優司様。そんなに慌てて?」


「珍しいな!優司が慌てるなんて!よっぽどなことがあったのか!?」


 テュールとヘパイストが心配そうに優司に問い掛けた。優司はかぶりを振り、一息ついて話しだした。


「いや、つい嬉しくて・・・。今、ルイに弓のことで話を聞いてきたんだけど、弓の刻印のことをヘパイストは知っているか?」


「はぁ、素霊の刻印ですかな!?それなら知っていますが・・・。エルフが魔法陣や魔導書の技術を応用して開発したものと認識しています。」


 ヘパイストは知っていた。刻印魔法と言うそうだ。なんでも魔法の使えない子供などが刻印された道具を使って魔法の代わりにするそうだ。火の刻印がされたヤカンに水を入れるとお湯になるといった具合に。

 しかも、ドワーフの作った金属の道具をエルフの里に納品し、その道具にエルフが刻印を施して出荷をしているらしい。

 優司は喜びながらヘパイストに銃の話を始めた。


「そうなんだ!?それは素晴らしい!!これから話す武器が制作可能かの検討をして欲しいんだ!その武器は銃といって俺の世界での飛び道具なんだ!」


 優司はそう言って銃の説明をヘパイストとテュールへ熱く語った。


「なるほど・・・。その様な武器が優司様の世界では使われているのですか・・・。いやはや、恐ろしいですな・・・。」


 優司は銃だけでなく、ライフルやランチャーといったものや爆発物などの説明も行った。それを聞いたヘパイストは目を丸くして驚いていた。


「まずは拳銃が出来るかの検証をして欲しい!今後の戦闘に役立つと思うんだ!」


 実は優司にはちょっとした不安があった。それは、この異世界でのモンスターである。ギガースの様な人型であれば武闘術がそのまま通用するが、人型以外のモンスターにどのくらい通用するかが未知数であった。よって、簡単な飛び道具である銃が欲しいと常々思っていたところであった。


「かしこまりました。エルフの里に着くまでに設計をしておきましょう。恐らく可能だと思われます。ご期待に添える様に努力いたします。」


 ヘパイストの頭には銃が出来上がっている。そんな表情をさせながら優司に答えていた。

 優司はヘパイストの笑みを確認し、喜びながら自分の部屋へ戻って行った。



 何やら部屋の外が騒がしい。優司は眠い目を擦りながら外の様子を伺った。すると、リュカオーンが何やらワーウルフ達に指示を出している。

 優司は何事かと思い、リュカオーンの元へ向かった。


「どうした!?何があった!?」


 優司はリュカオーンに何事かを聞いてみた。すると、騒ぎを聞いて起きだした仲間たちも次々に優司の元へ集まってきた。そして、リュカオーンの話を聞きだした。


「これは優司様。お騒がせして、すみません。実は里の外れにヒュドラが一体出ましてな。討伐の準備をしていたところです。」


 ヒュドラと聞いて一番驚いたのがトールであった。


「ヒュドラだと!?それで大丈夫なのか!?」


「わかりません!とりあえず、ワーウルフの魔術師と法術師、戦士達で討伐いたしますが・・・。」


 リュカオーンはやるしかないという感じで覚悟を決めている様子であった。するとダグザが助太刀を申し出た。


「優司殿、ワーウルフ達のヒュドラ退治を我々も参加しては如何ですじゃ!?幸いにもジャイアントのトール殿とアーチャーのルイ殿がおります。」


 優司は言われるまでもないと助太刀を了解した。


「よしっ!それでは全員戦闘準備をして此処に集まろう!」


 優司の号令の元、一斉に準備を始めた。



 優司達一行とリュカオーン率いるワーウルフ隊は、ワーウルフの里の外れから少し離れた森に向かって歩いていた。

 優司は歩きながらダグザに疑問を投げかけた。


「ダグザ、さっきのことなんだけど・・・。ヒュドラを倒すのに何でトールが居て幸いなんだい?ルイのアーチャーは飛び道具が有効なんだろうとは思うけど・・・」


「ああ、それはですな、ジャイアント族はヒュドラ狩りが得意だからですじゃ!」


 ダグザがそう答えた。優司は驚いてトールを見て確認した。


「えっ!そうなの!?それなら心強いな!」


 するとトールが困ったような感じで話し始めた。


「いやいや、まってくれ!言い伝えを鵜呑みにしてもらっては困る。ジャイアント族のヒュドラ退治は、あくまでも言い伝えだ!それに俺はジャイアント族の中でもアース族だ!言い伝えはタイタン族の勇者ヘラクレスのことなんだから!」


 優司は興味を持って聞いてみた。


「えっ!?ジャイアント族は色々な種族がいるの!?」


「ああ、俺のアース族以外にタイタン族とヴァン族がいるよ。この前のギガースもジャイアント族の一翼だよ。決まりはないが、伸長が2メートルを超える亜人をジャイアントって言うんだ。」

「ジャイアント族は大きくなればなるほど知能が低くなって凶暴になるんだ・・・。ギガースのように3メートルを超えると亜人というより怪物だな・・・。」


「・・・へぇ~、そうなんだ・・・。知らなかった・・・。」


 優司は元の世界でのファンタジー物を思い出していた。確かに巨人は知性的な者と怪物に分かれるなと。

 そんなことを優司が考えていると、ダグザが口を出した。


「トール殿、そう言うがヒュドラを討伐したことはあるんじゃろ!?ジャイアントのアース族の国の近くはヒュドラの巣があるからの!」


「まぁ、あるにはあるが、ヒュドラ1頭に対してジャイアントが十人は必要だぞ!それだけヒュドラは危険な怪物なんだ」


 トールが全員に気を引き締める様に促した。するとダグザが言った。


「ほほほ、経験者が一人居るだけで心強いですわい!ヒュドラの弱点や攻撃手段が解りますからのぅ!」

「それで、どのような戦い方をすれば良いのですかな?」


 ダグザがトールに問い掛けると、トールはヒュドラのことを詳しく話しだした。

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