↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
――貴女を愛してほしいの。 離縁した侯爵令嬢は、三つ年下の青年に求婚される  作者: 星見蒼


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/40

第10話 離縁の後

「フィオナ様でしたっけ? あの方が離縁されてすぐにお会いになって、で、貴女とすぐに離縁? ほんと信じられないわ。で、星の夜に出席されるなんて、さすが面の皮が厚いわね」


 ぼんやりと元夫とのことを思い返していたアデレインを、呼び戻したのは姉の怒りの声だった。


 コンスタンスとパーシーの二人が侍女に連れられ、姿が見えなくなると、姉の不機嫌にさらに拍車がかかった。どうやら、あれでも抑えていたらしい。


「……星の夜に出席されるのは、伯爵家当主としては当然だわ」


 元夫はアデレインとの結婚と同時に、当主の地位を譲り受けていた。


「まぁわたしだったら、適当に言い訳を考えてでも欠席するわ」

「そうかしら? お姉様なら出席しそうですけど。でも……そういう嘘がつけない方だと、お姉様もご存知でしょう?」

「ええ、ええ、馬鹿みたいに正直でどうしようもない男だと知ってます。わたしの可愛い妹ではなく、長年幻だけを見続けて、結果、幻と結婚されてね」

「……フィオナ様は幻ではないわ」

「ほんと、たちが悪いわ」


 姉はフィオナ様の文句はさすがに言わない。

 だが、元夫には容赦がない。


「フィオナ様はいらっしゃるのかしら?」

「……どうかしら。貴女とは違って繊細らしいわ」

「お姉様……わたくしを図太いと勘違いされていません?」

「普通に見たら充分図太いわよ。そもそも、わたしになんの相談もせず、さっさと離縁して、パーシーを連れて実家に出戻って来るなんて、あの時のお父様の取り乱しようったらなかったわ」


 アデレインは家族の誰にも告げずに離縁をし、唐突に実家に戻ったのだ。さすがにパーシーと二人で、誰にも頼らずに生活できるとは思えず、父には申し訳ないが甘えさせてもらうことにしたのだった。

 アデレインとパーシーの姿を見て、父は愕然としていた。

 呼び出された姉の第一声は、「よくやったわ!! あんな男と別れて正解よ」だったので、あえて何も言わなかったのだが、社交界では、あっという間に噂が流れる。それでなくても、元夫は即座にフィオナ様と結婚した。

 姉が真実を知るのに、そう時間は掛からなかった。


 ――どういうことなの? アデレイン!!


 鬼の形相で現れた姉に、アデレインはようやく事情を説明した。

 それはもう、予想通り、予想以上に荒れ狂った。フェアモント伯爵家に慰謝料請求さえしようとしたのだ。

 それをなんとか抑え込むことができたのは、パーシーという存在と、フィオナ様への同情だった。子供が望めないからと離縁されることがどれだけ辛いものなのか、しかもそれが社交界で噂されるのだ。フィオナ様の立場を思えば、さすがの姉もフェアモント伯爵家に関わるのではなく、完全に縁を断つことを選んだようだった。


「……フィオナ様はまだゆっくり休まれた方がいいと思うわ」

「貴女ってほんとお人よしね」


 姉は呆れたようにアデレインにそう言うが、フィオナ様のことを面白おかしく話していたご婦人方を、「まぁ、随分とはしたないお口ですわね」と黙らせたというのを、アデレインは先輩女官から聞いて知っている。手段は相変わらずだが、姉なりにフィオナ様の名誉を守っている。


「貴女は裏方として星の夜に関わるの?」

「ええ、そうなるわ」

「……あの男に近づかないように気をつけなさい」

「え?」

「たまたま会っただけでも、何を言われるのか分からないのよ。絶対に近づいてはダメ。あの男も馬鹿そうだから、旦那様から釘を刺してもらうわ」


 どこまでも優しい姉に、アデレインはケーキの上に乗っているイチゴをひとつ譲った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。