高橋愛の虐待
長女が3歳の誕生日を迎えてから一週間後、何となく商店街をふらついていた愛は高校時代の友人と
偶然再会した。最初は、嬉しかった。
自分が好きなように生きていられた時にできた友人と再会する事で、本当に楽しかった昔の思い出を味わう事が出来ると思ったからである。
だが、それは間違っていたと痛感させられる。
その友人は既に有名企業に就職していて、気ままな独身生活を謳歌していたのだ。
愛は、彼女とお互いの近況について報告し合う内に、耐えがたい程の激しい感情が自分の腹の底で渦巻いて行くのを、明確に感じ取っていた。
その感情とは・・・嫉妬であった。
自分は来る日も来る日も夫や子供の世話に追われて、この上なくつまらない人生を送っているというのに、友人は学生時代と大して変わらずに日々の生活を楽しんでいる。自分の人生を生きている。
等身大の自分を大切にしている。
女の子としての当然の権利を、当然のように享受している。
こんなの、ない。こんなの、不公平だ。
他人の幸せが基本的に気に入らない愛は、不快感を抑えきれなくなる前に逃げ出そうと決めた。名残惜しそうにする友人と別れた後、とぼとぼと帰宅した。泣きだしたい気分だった。狭苦しい自宅の敷居をまたぐ。
その次の瞬間。
自分の娘が、玄関先でお人形遊びに興じている姿を愛は目にした。
その無邪気な様子を見て、彼女の中で急激に怒りが膨れ上がった。
愛は、いきなり娘の胸倉を掴んでその柔らかな頬を張り飛ばした。続いて、娘の小さな体を容赦無く
蹴り飛ばした。ひとたまりもなく、娘はごろごろと床を転がって鼻血を流して突っ伏した。
突如、理不尽な暴力の犠牲となった娘はただ泣き叫ぶ事しかできなかった。
えーんえーんえーんえーんえーんえーん。
そんな我が子の様子を見て、やり切れずに叫んだ。
「泣いてんじゃねえよ!全部、てめえが悪いんだろっ!」
高橋愛が娘に暴力をふるったのは、これが初めてだった。
そして、出産を終えてから約三年と半年が経過した。
この頃になると、愛は「夫も娘も捨てて自由になりたい。一人の女の子に戻りたい」などと常に腹の底から願うようになっていた。
酒を飲み煙草を吸って、夫に関する愚痴を言い、娘の行動が気に喰わない時は罵る、殴る、蹴る。
それらが、もはや、愛という女性の習慣になっていた。
夫・智弘や彼の家族、そして愛の家族は、愛が娘を虐待している事に気づいているようだったが
愛の異常性・凶暴性・残忍性を恐れているらしく、面と向かって咎めたりはしなかった。
愛は、キレやすい性格で、しかも、一度キレたら何をするか自分でも分からない人間なのだ。
しかも、自分より明らかに弱い存在に対しては、自己中心的で狭量で残酷で短気な暴君として思う存分、
力を振りかざす女性なのだ。
母としても女としても失敗続きの愛は、想う。
あたしの人生、こんなはずじゃなかった。
あたしは、一人の女の子として生きていきたい。
あたしだけが、何故こんな目に遭うのだろう。
あたしが望んでいたものは・・・
あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし・・・
愛の中には、もはや他人に対する思いやりなど存在していないのかもしれなかった。
自分の人生が、自分の妄想とは正反対のつまらないものになっている事に対する不満や悲しみは、憎しみへと形を変えて弱い者へと向かう。
彼女にとって、もはや我が子に対する虐待はライフワークと化していた。
次のエピソードで、遂に愛さんが、やっちゃいます(汗)
正に鬼畜です!




