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8-45 いざ、上級区画へ

「おにーさん! おはようございます」

「グッモーニン」


 ダンジョンからファンバキアの部屋へと戻り、食堂へとおりて朝ごはんの給仕をしていたロレッタちゃんとあいさつを交わす。

 ファンバキアを回ったとき英語でかかれたのぼりを見つけたし、どうやらこの世界は英語とかも普及しているようだ。

 異世界感は薄くなるが文字が読めるのは実に楽だな。


 すでに白犬族や三面堅もみな起きて朝食を取っているようだ。

 軽く見渡して……お、いたいた。


「朝飯は食ってきたから、なんか飲み物を一杯頼む」

「ジュースでもいいですか?」


 OKのサインを出した後に目的の人物――カニエスさん達がいる一角へと向かい、軽く挨拶をした後に適当に開いてる席へと座る。


「今日は得意先に紹介してくれる日だったな」

「うむ、わしは別の雇い主に呼ばれているため一緒には行けぬが、代わりにエアデールが同行する」


 視線を向けると朝食のハムエッグを食っていたエアデールさんが返事とばかりにニカッと笑った。


「こっちからは俺とコアさんとアディーラの3人だ」


 コアさんは意見役としてほしいし、アディーラは護衛役としてついてきてもらう。


「時間的には朝飯食ってちょっと経った頃にいけば、ちょうどいい頃合いだねぇ」

「わかった。それまでにこっちも準備を済ませておこう」


 といっても、準備してんのは今ダンジョンにいるコアさんとアディーラなんだけどね。

 大体30分後くらいに呼び出せばいいか。


 時間つぶしと情報収集を兼ねて適当に食堂にいる人たちと談笑をしつつ、運んできてくれたジュースをグイッと飲み干す。

 うんっ、美味い!


 オレンジのようでオレンジじゃなさそうな酸味の効いたジュースだが、この酸味のおかげでしっかり目が覚めそうだ。 

 その後、仕事へと出て行った白犬族や今日は観光すると言ってたスケイラや三面堅を見送ればちょうどいいお時間。

 コアさんとアディーラを呼びだせばこちらの準備は完了。


「じゃあ、行こうかねぇ」

「いってらっしゃいませ」


 今日売る分のフィッシュサンドを準備していたご家族に見送られて俺たちは宿を後にする。

 まずは中央広場の船着き場へと向かい、目的地へと向かう巡行船に乗り込む。


 この辺は電車と変わらんのな。

 おっちゃんからもらった紙に書いてあった通り、漕ぎ手に身分証を見せるだけで俺達3人はタダで乗り込むことができた。


「あんたらが羨ましいねぇ、ちょっとした出費でも何回も使えばそれなりにはなるからねぇ」


 エアデールさんは身分証を見せたうえでいくらかを支払う。

 普段は節約のため巡回船は使わずに歩いて目的地まで行ってるそうな。


「まとまった金が入ったから身分証のグレードを上げてもいいんだけど、毎日使うわけでもないから節約できるところは節約しないとねぇ」


 確かにこういうのを利用する前程だからか、一つグレードを上げるだけでも結構な差があるんだよね。

 サービスの利用回数が少ないならあえて下位の身分証にしておくのも全然アリだ。


 観光したときに聴いた説明のまんまをアディーラに話していたら、あっという間に巡回船が街の中心部へと到着し、以前みたカジノとコロシアムが見えてくる。


「これはまた立派な建物ですな」

「今回の目的地はここの先だねぇ」


 カジノとコロシアムを囲むようにぐるりと張り巡らされた水路を半周ほど回った先にある停留所で降りる。

 水路はその先にも続いてはいるのだが、そこに立ちふさがるように水門がある。

 斜めからのぞけるところまで見た感じ横幅があるせいか、その先がどうなっているかは見えない。


 この先が俺たちの目的地、ファンバキアに住まう人たちの中でも高額の身分証を携帯している人達のみが入れる上級住民区画である。

 

 とは言っても例外も結構多い。

 基本的にそういったお人様は他人に自分の世話をさせたがる傾向があるからな。

 だから使用人やこの区画にある店の従業員、あるいは警護の人員はそういった人たちが身分を保証することで入場ができるという事らしい。

 

 後はファンバキアの行政区間から身分保証されたインフラ要員。

 そして最後に例外中の例外、俺達みたいになんらかの理由で外部から招かれた客人達と言った具合だ。


「それじゃ仙人様達はここで待っといてくれ」


 エアデールさんは一言そういうと、水門の隣にある詰所らしきところへと入っていった。

 特にやる事もないのでぼーっと水門のほうをみていると、屋根付きの装飾がついた船が近づいてきたかと思えば水門の方から勝手に開いて船が入っていった。


 顔パスならぬ舟パスかぁ。

 これも身分証の違いで受けれる特典の一つなんだろなぁ。


 それに外側から見た感じ漕ぎ手がいないが勝手に進んでいる。

 もしかしてあの船には動力がついているのか?


 今のところあの船以外には必ず漕ぎ手がついていたし普及率は高くはなさそうだ。

 これもギフトそのものか廉価版といったところなんだろう。


「待たせてすまなかったねぇ」


 おっと、戻ってきたか。

 ん? 詰所から戻ったエアデールさんの後ろに3人ほどの兵士がいるな。

 はて? 得意先に行くだけなのになんで兵士がついてきてるんだろうかね?

街を作るとなると考えることが多い・・・

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