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8-30 人を頼るなら根回しは実際ダイジ

 方針がまとまったところでオルフェと馬、それに出がけの準備をしている間にコアさんとおかみさんが作った大量のフィッシュフライを売り箱に敷き詰めたロレッタちゃんと3人で話咲亭を出て宿場エリアの中央広場へと向かう。


 時間としては朝を過ぎて大半の店が開店している頃であり、さすが中央広場というべきか沢山の人でにぎわいを見せている。


「これ全部売り切ってやりますよ!」

「お、おう。頑張ってくれ」


 気合十分って感じなロレッタちゃんをおいて俺たちは国境へと歩みを進める。

 身分証の有効期限内なら見せるだけで簡単な荷物チェックだけしかないとか大分楽だねぇ。


「これはこれは、今からご出立ですかな?」

「ああ、ちょっと外に用事がありまして」

「さようでございますか。道中お気をつけて」


 国外に出るための通路を歩いていたところ、入国をやってくれたおっちゃんとばったり出会う。

 こっちはともかく、日にいくつもの入国審査をやっているあっちが俺たちの事を覚えているとはちょっと意外だったな。


 あー、いや。これは多分俺がファストパス料金と言う名の割り増しを払ったからに違いない。

 ファンバキアにはまだ2日しか滞在してないが空気がそう言ってる気がする。


 おっちゃんにとって俺たちは早くも太客として認識されてるっぽいな。

 そーゆー事ならこっちもとことん利用させてもらおう。


「あー、そうだ。他にも身分証を発行してほしい人たちがいるんだが」

「はい、貴方と一緒に来ていただければ後はお気持ち次第でございます。はい」


 結構ぼかして言ったつもりなのに金に関することなら実に察しがいい。

 堂々と言ってくるあたりファンバキアはやはりワイロという概念はなさそうだ。

 まぁ、金を持ってる俺達にしたら好都合ではあるけどね。


「んじゃ、その時が来たらよろしく頼んます」

「かしこまりました」


 長話するような場所でも間柄でもないしさっさと話を切り上げて国境の門から出ると、相も変わらずくっそなげぇ行列だなぁ。

 うん、こりゃ金払ってでもさっさと済ませた方がいいや。


 長時間待たされてるのか明らかにイラついた視線を横を素通りする商隊に向ける連中もいるが、敵意を向けられてもどうしようもない。

 関係ないとわかっていても居心地は悪いのか心なしか体を縮めている御者の横を俺とオルフェは素知らぬ顔で通り過ぎる。


 お? すれ違う雑踏達の中に見知った顔を見つけたぞ。

 

「あれ、仙人様じゃないか。てっきり今日は街を満喫してると思ってたんだけどねぇ」

「多少手伝うつもりでこっちに来たんだ。馬とか入用だろ?」


 こちらに気が付いたエアデールさんが手を軽く上げたので、こちらも上げ返す。

 他はカニエスさんとデーンの2人か。


「それは助かる。すでに引っ越しの準備をさせているでな」

「交渉が失敗するかもしれないのに気が早いこって」

「何、こっちにとってもありがたい話だし上手くやるさね」

 

 酒が入ってないエアデールさんのこの頼もしさよ。


「では、こちらは急いでおるゆえ。これにて」

「あいよ。じゃあ今夜は話咲亭でー」


 3人はこれから交渉して戻って引っ越ししてだもんな。

 今日は大変そうだ。 


 そのままキャンプ地に向かって馬を走らせれば入国待ちの行列もなくなり、難民たちが住まうキャンプ地へと入る。

 ほどなく進めば白犬族のキャンプ地が……っと、見つけたぞ。あんだけ大きな目印があれば楽勝だな。


「やぁ、きたね。街はどうだったかな?」

「1日じゃ回り切れないほどいろいろおもしろいもんがあったぞ」


 新しく増えた氷漬けのオブジェの前にいたスケイラが声をかける。

 

「昨日もまた泥棒が来たのか?」

「前のは目立つように作ったのに命知らずだよねぇ。それともよほど余裕がないのかもしれないね」


 来るときに難民達の前を物資を積んだ荷馬車で横切ってるからなぁ。

 ここにエサがありますよって教えてるようなもんだったか。

 

「こりゃ、馬車で運んでる時に襲われるかもしれんなぁ」


 今も周りでは非番の人たちがキャンプ地の撤収作業をやっているようだが、大半が出払ってしまっているため規模に対して人が足りてない。

 このペースだとここを出発できるのは夕方くらいになるだろう。

 電灯がないこの世界じゃこうなったら真っ暗闇になるのも早いしなぁ。


 となると馬車でファンバキアまで向かうこの数キロが襲撃側にとって絶好のチャンスでもありラストチャンスでもある。

 まぁ、こられても俺達や三面堅が総出で迎え撃てば簡単に返り討ちにできるとはいえ、派手にやったら悪目立ちするし大量の積み荷を守りながら戦うのは面倒すぎる。


「そうだね、だから君が来てくれて本当に助かったよ」


 そういったスケイラはちょいちょいと手招きをして、俺達を大きなテントの中に招き入れた。

 テントに入り敷いてあった布をよけて、以前作った置き場へと入る。


「この辺はまだ全然手をつけてないのか?」


 整頓はされているが保存食が入ってる箱やら神器の壺やらがそこかしこに置いてある。

 引っ越すのならこの辺はさっさと運び出さないといけないんじゃ?


「いやいや、外や馬車にこんなものを置いたら盗みに来てくださいって言ってるようなもんでしょ」


 OH、それもそうだ。ある意味梱包されてるからさっさと運んでしまえとはならないか。


「だからね。こいつらはいったん君のダンジョンに運んでもらえないかな? キャンプを前提としてたから使わないものもあるし、必要なものはまた宿についたら出してほしい」

「ははは、俺を運び屋件倉庫に使うならそれなりのお代はいただくぞ」

「そこは盗賊達から分捕った分け前でチャラにしてほしいところだね」


 スケイラも俺が本気で言ってるわけじゃないとわかっての返答だな。

 そう言われりゃぁ、大層な額をもらった上になんやかんや入用になって使ったわけだし、そういう意味じゃ貸しはこっちの方が大きいか。


「運ぶのはここにある分だけでいいのか?」

「そうだよ。今片付けてるテントとかはもう使わないだろうし、少しおまけをつけて周りにおすそ分けするつもりだよ」


 お下がりで恩を売るというと少し聞こえは悪いが、これでトラブルに巻き込まれる確率を減らせると考えるなら悪くないアイデアだ。

 ついでに言うと、もらってなおたかろうとしてくるなら容赦なく返り討ちにできるってもんだ。


「よし、それじゃ早速仕事をするとしますかね」

「私はコウを呼んでくるよ。荷物の運び出しには彼の力があると便利だからね」


 そうだな、オルフェとスケイラにコウ、あとはダンジョンにいるアディーラとククノチがいれば運び出しもラクチンだな。

 さっさと終わらせて次のやる事にとりかかることにしよう。

動画編集と並行して書いてるので

来週は投稿できるかわかりまへん


後、何かキャラクターがらみで読んでみたいエピソードとかあれば募集しますよん

ネタが思いつけば書いてみるかも・・・

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