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8-17 ファンバキアといふところ3

 さほど長いわけでも通路を通り、たどり着いたのはいくつもの受付をもつ検問所のようなところだった。

 すでに何人か先客がおり、会話による入国審査や馬車の荷を改められているようだった。

 入国待ちの時、金を払った人たちはここに通されるようだな。


「それではこちらへどうぞ」


 おっちゃんに促されて俺達はカウンターの一つに誘導される。


「お客様方はファンバキアは初めてでございますか?」

「一人を除いて」

「さようですか、では簡単にこの国についてご案内させていただきます。はい」


 カウンター越しに座ったおっちゃんは1枚の用紙をこちらに差し出した。


「まず、重要な点としてこの国では税金というものがございません。代わりに国民来訪者問わず身分証を購入していただいております。つまりこの身分証の購入が税金のようなものとなっております」


 ほう! これまた全然地球とは違う統治方法だな!


「身分証にはいろいろ等級がございまして、最上級のものはそれなりにいただきますが各種公共サービスの優先利用を含めほぼすべてのサービスを無料で受けることが可能でございます。


 机に出した数枚の身分証と思われるものを指をさして説明してくれる。


「逆に最下級のものは無料となりますが、一部区域への立ち入り制限や公共機関を利用する場合は割増料金を支払うことになります」


 ほえー。とことん金の有無で区別と言うか差別されてるんだな。


「最下級以外の身分証は滞在期間の間1日単位前払いでのお支払いとなります。期日を過ぎますと自動的に最下級の身分証となりますのでご注意ください」


 シビアだなぁ。


「もし、ここで購入した以上の日数をお過ごしになりたい場合は国中に点在しております行政機関にて追加することもできます。はい」

「身分証の仕組みについてはわかった。で、俺たちはどれを買えばいいんだ?」


 おっちゃんは俺たちの滞在期間や目的をざっと聞くと、机に置いた身分証の中から一つを取り出し


「でしたら観光者用普通身分証でよろしいかと思います。こちらが詳細となりますので後ほどお目通しをお願いします」


 おっちゃんからなんかいろいろ書かれた用紙を受け取った。

 まぁ、読むのは後でもできるからいいか。

 

「お荷物の中に硬貨が大量にありましたらこちらの身分証に紐づけてお預かりさせていただくことも可能ですがいかがいたしますか?」


 え? 何? そんなプリペイドみたいな機能もあるの?


「大きなお取引やオークションで高額商品を落札された際、身分証1枚でお支払いいただけますので大変便利ですよ」


 オークション! そういうのもあるのか!


「オークションはファンバキアの名物ですから、たとえ落札する商品がなくともお楽しみいただけますよ。はい」


 興味もあるし暇つぶしには最適だな。

 確かに紙幣と違って硬貨って結構重いしかさばるしで一部預けちゃった方が楽ちんか。

 

 とりあえず革袋から適当に大型金貨を何枚か取り出し、俺とコアさんとオルフェの身分証にチャージしておくことにする。

 

「最後に国内では基本的に乗馬や荷馬車での交通が禁止されておりますので、お客様が乗ってこられた動物は入ってすぐにあります宿場町にてお預けになってください」


 ふーん。という事は港を飛んでたあの大鷲みたいなのは例外って事なのか。


「あれは最上級クラスの商会にのみ許されておりますから。我々一般市民には縁のない話ですよ」

「それじゃあ、移動は基本的に徒歩だけなんですかね?」

「いえいえ、わが国には水路が整備されております。主要な場所には巡回船が出てますので移動には困りませんよ」


 へぇ、そいつはいいな!

 確かにウマとかに比べりゃ輸送効率は段違いだし飯もいらねぇ。

 沢山商人がくるファンバキアだからこそ輸送効率を追い求めた街づくりになってるんかね?


 最後に馬に積んできた荷物の中身を改められている間にさきほど渡された用紙に軽く目を通す。


 ほぉー! この身分証なら巡回船の運賃は何回乗っても無料になるのか! 

 進入可能区域も一部行政区域や居住区を除けば大体のところはいけるっぽいな。


「お待たせしました。特に問題ないのでこれにて終了でございます。よい商いを」

「ありがとうございます」


 たいした荷は積んでないこともあり案外すぐ終わったな。


「ようやくおわりぃ~? ただ入るだけなのにめんどいねぇ~」

「その面倒な手続き全部俺にぶん投げて何言ってんだ。ほらこれ身分証、なくすなよ」


 もし紛失したらくそ面倒な手続きが待ってるらしいがその時はオルフェ自身にやらせてやる。

 

「おっちゃんから聞いた通り、まずは馬を預けられる宿から探すぞ」


 身分証があれば国境の通行の手続きは簡略化できるらしいが、白犬族のキャンプ地までは近いようでそれなりの距離はある。

 それならせっかくだし宿を取ってもいいだろう。


「できるなら美味しい料理を出してくれるところがいいね」

「パンフも何も判断材料がないから難しいだろうな」

「そうかな? ここが商人の都市なら顧客を掴むために向こうからいろいろアピールしてくると思うよ」


 それもそうか。


「それじゃ時間もあるし、聞き込みながらよさそうなところを探してみますかね」


 荷を積みなおした馬を引き連れ、俺たちは城壁を抜けて宿場区域へと向かい始めた。

 

ちと忙しくなってきたため

来週は多分投稿できない

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