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8-14 失踪事件、その詳細

「ここを警備してた私兵団も難民を管理してた職員ものきなみいなくなっちまってねぇ」


 うわぁ、そりゃ荒れるわ。あれないわけがない。


「とはいえ実はあたいらにとって悪いばっかの話でもないんだけどねぇ」

「そうなの? なんかいい事でもあったの?」

「不足した人員を補うために、難民から能力をあるものを雇い入れておるのだ」


 あれ? 白犬族はもともと警備の仕事やってなかったっけ?


「ククノチ殿に治してもらった連中をそっくりそのまま雇ってもらった。それに人手不足で皆の賃金も大分よくなった」


 ニカっと笑うカニエスさん。

 なるほど。人手が不足すれば賃金が上がるのは当然か。


「これは他の難民たちにも言えるねぇ。消えた人間たちには悪いけど一定期間以上行方不明が続いた場合は空いた住居に受け入れるという話もある。アタイらは帰れる場所があるから断ったけどねぇ」


 適応が早いというかなんというかたくましいなぁ。


「でもお金がいるとはいえ追加で警備の仕事なんて受けて大丈夫なの? 巻き込まれたりしない?」

「その点なら心配は無用だ」


 なーんか含みがある顔で答えるカニエスさん。


「なぜならもう犯人はわかっているからな」

「そうなの? 解決したら行方不明になってる人帰ってきたりしない?」


 帰ってきたらクビになったりしない? 大丈夫?


「いーや。行方不明者はもう誰も生きちゃいないみたいさね」

「マジか。相当ヤバイ事件だったんだな」

「そうだねぇ。しかも犯人の動機は復讐と金儲けだって話だから驚きだよ」

 

 復讐はともかく金儲けのために百人単位で殺すとかとんでもないやつだな!


「で、結局犯人は誰だってんだ? ファンバキアの偉い奴か?」

「じゃあそろそろ教えてやるさね」


 ここでエアデールさんはわざとらしく咳ばらいをすると


「ファンバキア大量失踪事件。その犯人は……おまえだ!」


 ズビシッという効果音が聞えそうな勢いで俺に指さすエアデールさん。


「そうか。犯人は俺だったのか! え? いや、ちょっと待って!?」


 待って待って!? 俺はダンジョンに帰ってたわけだし関係ないよね!?

 なんで俺が犯人なの!?


「正確に言うとあんたは共犯。首謀者はこの人」


 そういって次に指をさされたのはスケイラだった。


「と、ウチの娘」


 アイリはこんな大それたことは考えないだろうから。必然的に犯人はアイリの姉――マナミさんか。

 いやいや、そんな事よりも俺が失踪事件の共犯だと!?


「仙人様。ここに来る途中盗賊に襲われたことを覚えておられますかな?」

「うん。道中わざと襲われて返り討ちにしていったアレだろ。まだ最近だし覚えてる」

「では最初に襲われた時、族の一人が税関職員に似ていると私が言ったことは?」

「あ、あー!」


 サエモドさんの助け舟のおかげでナゾは全て解けた!


「つまり、そういう事?」

「はい、そういう事です」


 なるほど。あの盗賊連中の一部以上が私兵団とかのファンバキアの人間だったって事ね。

 通行料払えば襲われないとか妙なルールもそう考えれば納得がいく。

 

 商人側からすれば行くたびに持ってるもの大半取られたらいくら物が売れるっていってもこなくなるだろうし、盗賊側からすれば効率化の面もある。

 後は推測だが金をまきあげつつ持ち込めれた物の検閲も兼ねてたんだろうな。

 一石二鳥の面もあったんだろうが事情を知らない俺らにとってはどうでもいい事だ。


「というわけでこの件に関しては白犬族末代までの秘密だ。事情を知っているのは同胞達のみ、黙ってればばれることはない」


 確かに俺達が倒したのはあくまで盗賊であってファンバキアの人間ではない。

 これで詰められるようなら詰めてくるやつが盗賊の黒幕だと自白してるようなもんだ。


「わかった。関わったウチの連中にも言っておく」

「うん、じゃあこれでこの話はおしまいだね」


 首謀者の一人であるスケイラが軽く手を叩いて話をたたんでしまった。

 別に深く話す事じゃないしいいんだけど。


「それで俺達が持ち込んだブツは捌けたのか?」

「おかげさまでなかなかいい値で売れたよ。とはいえまだ借金全額にはおよばなかったけどねぇ」


 俺たちが来る前は治療費やらなんやらでマイナスの状態だったしそこは致し方ないか。


「特に先方が興味を示したのが仙人殿がくれた”ぷらすちっくこんてな”でな。大分高く売らせてもらった」

「へぇ。そいつは何より」


 あれはまだDPでしかだせないんだけど、高く売れるんだったらソフィアに精製できないか相談してみるか。

 あいつもうすっかり薬師だけど、本来は錬金術師だからむしろこっちの方が本業だし。


「サエモドからあんたが商人とのツテを欲しているって聞いてたから、簡単にあんたの事を教えたけど会ってみるかねぇ? 相手様はすごく興味を持ったみたいだよ」


 まぁ、実際のところは白犬族にあまり借りを作らせないためにつけた条件だったんだけど、向こうが興味を示してくれたのなら、


「そうしよう。仲介を頼む」

「そうこなくっちゃねぇ。次に会うのは今から三日後だから、それまでファンバキアの観光でもしてたらどうだい? 人が集まるとこだから歓楽街も金がある限りはいいところだよ」


 金がある限りとつくあたりさすが商人が集まってる国だなー。

 まだ盗賊から接収した金はあるし、そうさせてもらうかね。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 言われてみればそんな話あったな! 確かに大量にキルしてたわ! ただ、一年以上前のことだからか言われるまで忘れてたわ(>0<;)
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