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7-31 合流3

「うまっ! この干し肉超うめぇ!」

「こっちの”しりあるちょこ”ってやつも甘くて美味い! うう、こんな甘いもん食ったの久しぶりだよぉ」

「ここから先は……安全地帯……むぐっ! ごほっ! 肉が喉に……」

 

 おまえらよぉ、食うか泣くかしゃべるかどれかにしろよ。

 そういった瞬間、立ち止まり一心不乱に保存食を食う戦士たち。


 みんな食欲には勝てなかったよ……


「あーあ、これで彼らもコアさんのご飯の虜だね」

「知らねーぞー。食生活はレベルがあがると下げられなくなっからなー」


 スケイラとエンがちゃかすが、あんたらも似たようなもんだろ。

 いや、似たようなもんだからこその忠告か。数回なら大丈夫だよきっと、常習するようになったら手遅れだけど……


 俺たちの生暖かい視線をものともせず、戦士たちは出された保存食を綺麗に平らげた。


「いやー。生き返ったわー。本当に助かりました」

「正直まだ食い足りないけど、これ以上は待ってる仲間たちに申し訳ないからなぁ」


 これでようやく話ができるな!


「ケルン、お前のウマはどうした? ここまで乗ってきたんじゃないのか?」


 言われてみれば、ここにいる連中全員徒歩で騎乗してるやつがいない。


「生活のために売りました」


 売った金はテントや生活雑貨に回したらしい。

 ああそうか、戦士たちは身一つで来たわけだしサエモドさんたち行方不明だったもんな。


「そこから俺たちゃ難民に回される日雇いの仕事でつないで今に至るってわけさ」


 聞けば都市側の方も増える難民の扱いに苦慮してるらしい。

 そこで郊外の区画に難民用の居住スペースを作り、そこで受け入れているとの事。


「あいつら金を稼ぐことしか考えてないからな、難民の中でも元気なのを安く買いたたいてこき使ってるのさ」

「おかげで一日働いて、ようやく食っていける分しか稼げやしねぇ」

「むしろ戦でケガした仲間の治療費がかかる分マイナスだけどな」


 そういうのはどこの世界も変わらんなぁ。


「つまり俺たちがこれから向かうところは、その日を食いつなぐのに必死な難民共の巣窟だ」

「だからあんた達もその馬車と荷はしっかり守ってくれよ?」

「いまや盗み殺し人さらいは日常茶飯事だからな。俺たちゃ何も持ってないから襲われてないようなもんだし」


 あーそりゃまずいな。金目の物はウチのダンジョンに保存してあるが、この馬車には神器の宝石が埋め込まれてたりするし、食料も積んである。

 盗難には要注意だな。


「その辺は自治とかないのか?」

「ないなぁ。都市に住んでる連中は兵士や傭兵を雇ったりしてるみたいだけど、こっちまでは回しちゃくれねぇよ」

「難民たちは難民たちで自分らの事で精いっぱいだし」

「ここだっていつ戦争に巻き込まれるかわからないからなぁ」


 そっかぁー、こりゃあさっさと要件をすませておさらばしたいとこだな。

 今の白犬族の拠点は森の中だから早々見つかる事はないだろうし、ウチは占領してもなんのメリットもない荒野の中だからな。

 外の事はどうでもいいが、ダンジョンまで征服しようとするならDPになってもらおう。

 

「この辺だって元々盗賊の巣窟だったのに、最近は難民を取り込んでますます膨れ上がってるって話だし」

「そのせいで最近じゃ通行料を払っても襲われるって聞いたぜ?」

「あんたらよく無事だったなぁ」


 いやー。実はわざと襲われてたんっすよー。


「え?」


 できるだけ軽く言ったつもりだったが、まったく予想外の返答に目を丸くする戦士たち。

 当然と言えば当然よね。


「マナミのアイデアでね、全部返り討ちにして逆に連中がため込んでた金品を頂いてきたのさ」

「ま、あの程度俺たちにとっちゃ楽勝よ」


 言葉を失う戦士たちに追い打ちをかけるスケイラとエン。


「ええ、この方たちは一人一人が我々が束になっても勝てないほどの実力者達ですよ」

「……マジかよ」

 

 サエモドさんが肯定したことで半信半疑ながらも飲み込んでくれたか。


「それより仙人様。もうすぐ目的地が見えますよ」

「お、ついにか」


 話が切れた頃合いを見計らってサエモドさんが教えてくれた。

 人数が増えて話すことに集中してたら時間が経つのも速いな。

 

「なんだ、あんたは初めて来たのか?」

「それどころか、まともに外に出たのが初めてなんだわ」


 今までずっとお家に引きこもってたからなー。これから行く都市がどんな発展を遂げてるのか楽しみでしょうがない。

 だからこそ、もうとっくに空から都市を見ているアディーラには黙っててもらうようにお願いしてたし。

 


 ややなだらかな坂を超えると一気に視界が開けた。

 まず見えてきたのは青空に似たどこまでも広く続く青い海。


 地球に比べて大気がきれいなのか、太陽の光を波が乱反射して輝くさまは実に絵になる。

 さらに浮かぶは何隻もの船。


 漁船には見えない。

 ありゃ交易船かな? さすが交易都市の名前は伊達じゃないな。


 視線を下げると見えてくるのは目的地の交易都市。

 陸側を城壁で固め、海側には何隻もの船が停泊している。


 遠目でわかるのはここまで、後は中に入ってのお楽しみだな


「へぇ、なかなか立派な都市じゃないか」


 もちろん東京とかと比べると摩天楼と呼べるような建築物はないが、それでも俺が想像したよりは遥かに大きい建物もいくつかある。


「ええ仙人様、あそこが我々の目的地。ファンバキア商業共和国です」

結局名前が思い浮かばなくて

ランダマイザに頼ってしまった

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