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7-25 盗賊街道

「ちょいと待ちなおまえら、ここを通るには通行料が必要だぜぇ?」

「通行料は積み荷の半分だ。なんならはべらせてるそこの嬢ちゃんでもいいぜぇ?」


 今日も日の出から出発してそろそろ昼飯でも食べようかと思ってた頃、突然むさい男たちに囲まれた。

 まぁ、辺りを見てみれば、付近一帯を見渡せそうな丘に身を隠せる程度の植林と待ち伏せするには絶好の地形と言えよう。


 連中との会話は先頭を歩いていたスケイラに任せて、俺は視線で囲む連中を観察する。

 

 声をかけてきた男は普通に人間っぽい。

 だが、俺たちを取り囲む連中には犬っぽい耳をはやしてたり、より狼に近い獣人っぽい奴もいたりと人種の博覧会みたいだなぁ。

 こうしてみるとほんと異世界に来たんだなぁと実感するわ。


「馬車の中にもいい女がいるぞぉ!」


 俺たちの退路を塞いでいた連中が騒ぎだす。

 馬車の中にいたオルフェ・コアさん・アマツの3人が見つかったからか、それだけで歓声をあげるなんざ、よっぽど女に飢えてたんだろうなぁ。


 確かに囲んでる連中の中にケモミミ娘はいない。

 うーん。安心半分不満半分と言ったところかな?


 なぜなら俺たちはこれから取り囲んでる連中を皆殺しにする算段だからなぁ。

 うちのケモミミ娘は敵対するものは、老若男女すべて平等にデストロイするからいなくてよかった。


 連中に気取られないよう護衛としてサエモドさんの隣に座らせたククノチを含め、殺意を抑えて皆一様におびえる演技をしてくれている。

 ちょっとアマツあたりは演技が下手だから不安だが、逆にコアさんは演技力も抜群だからだましきってくれるだろう。


 ま、危機感なくはしゃいでるあたりばれる心配はまったくないか。

 取り囲んでる連中はざっと50人以上、対して俺たちは戦闘要員に見えるのは俺とスケイラ、それに三面堅の5人のみ、普通なら数の差で勝てるケースだもんな。


 そう、俺たちが普通なら……の話だが。


「あんたもよくみりゃいい女じゃねぇか」


 先頭で声をかけた男が無警戒にスケイラに近寄ってくる。

 この数におびえて声もでないとでも思ってるんだろうか?


 だとしたらこの男はとんでもない節穴の持ち主だな。


「へへ おとなしくしてりゃあ悪いようには――」


 風を薙ぐ音が男の声を遮った。

 少しの間をおいて、何かが地面を叩く音が軽く鳴る。


 地面をたたいたのは切り落とされた男の腕。


「ぐあぁぁぁー!」

「汚い手で触らないでもらえるかな?」


 腕を切られうずくまる男を尻目に、手にした薙刀を肩に乗せスケイラが冷酷につぶやく


「なっ!? てめぇ!」


 周りの男たちが殺気立つが、しでかした本人は涼しく流す。


「さて、猿芝居はここまでにしてさっさと終わらせようか」

 

 もう話すことはないとばかりにスケイラは薙刀をまわし始める。

 オルフェに聞いたところ、あれが彼女の構えなんだとか。


 スケイラのセリフが合図となり、こちらは迎撃の布陣を取る。

 俺は幌馬車の上へと飛び乗った。


 反対側の馬車へと目を向ければ、同じようにククノチが馬車の上へと姿を見せる。

 俺とククノチの役目は馬車を含め、中に避難したサエモドさんと師匠の護衛だ。


「下手にでてりゃあつけあがりやがってぇ!!」


 腕を切られた男が吠えるが、いつあんたらは下手にでてたんだ。


「てめぇら! 皆殺しだ! やっちま――」

 

 男の声を遮ったのは、連中に見つからないようずっと空中で旋回していたアディーラ。

 彼女は合図で急降下すると、男の脳天にジャマダハルを突き刺し、そのまま地面に叩きつけた!


「!?」


 視線を集めていた男が派手な音を立てて突然つぶされた。

 囲んでいた連中にとってそれは相当ショックだったらしく、襲うことも忘れて固まってらぁ。

 ふふ、伏兵とはこう使うのだよ。


 連中にとっては予想外だったのだろうが、こちらとしては作戦通り。

 そのスキをつき、おびえる演技をしていた3人が馬車から飛び出しそれぞれの持ち場につく。


「どっちが多く倒せるか競争しねぇか?」

「それで君のやる気がでるのなら」

  

 お互いの得物を抜き放ち、右側の攻めについたのはエンとコアさん。  

 なんかカッコイイ! ちょっとうらやましいぞ!

  

「こういうときが来るなら、なんかツープラトンの技でも練習しとけばよかったねぇ」

「俺たちには不要だろう」


 左側ではボクシングとカポエラの構えを取るオルフェとコウ。

 そんなつれないこというなよコウ。俺は見てみたいぞ。

 今度筋肉マンガを読ませてみるか、案外どっぷりはまるかもしれんな。


「むふー! 特訓の成果をみせちゃるよー!」

「ふふ、成果を見せるほどの敵ではないと、この賢のデーンは見るがのぉ」


 後方にはアマツとデーンの魔法コンビ。

 前衛がいないが、あの二人は攻防一体の魔法を繰り出すから不要だろう。

 

「くれぐれも巻き込まれないように頼むよ?」

「スケイラ殿の戦い方は一度見ておりますゆえ、心配は無用でありますよ」


 そして正面、最も敵が多い方面を受け持つのがスケイラとアディーラだ。

 スケイラは未知数の部分が多いが、アディーラの言い分を考えると心配は無用なようだな。


「それでは各員、敵をせん滅せよ!」

「応っ!」


 俺の檄に答え皆が動き出す。

 戦闘とは呼べない虐殺劇の幕開けだ!

大体想像はつくだろうけど

実際何を話したのかは次回

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