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7-15 飯後のビーチバレー

 ふぃ~食った食った。

 エビにホタテにイカにタコその他もろもろどれも絶品でございました。


 そしてやはりコアさんのソースは絶品だ!

 素材の味を引き立てるソースが何種類もあるから、何を食っても飽きない。


「うふふふ~。バーベキューもビールも絶品でしたぁ~」


 右手にタコ串、左手にジョッキをもったククノチが上機嫌に笑う。

 あーあ。結局ほろ酔いをこえてーら。


 目を離すとすぐこれだ。まぁ今日はいいけど。

 

「さて、次はビーチバレーでありますな。実は自分も楽しみにしておりましたよ」

「だねぇ!」


 たっぷり食って少し膨らんだ腹をかかえ、オルフェとアディーラがストレッチしながら談笑する。

 気が早いねぇ、ちょっとは休んだらどう?


「ウチはこの子たちを供養するけん、先に始めててよかよー」


 食べた骨や貝殻を集めた袋を持ったアマツがそう言い残し、ポータルから出て行った。

 まぁ、供養と言ってもお墓を作るわけじゃなく、感謝の念を送りながらDPになってもらうんだけどね。


「始める前にオルフェ、試しにバレーボールを出してもらってもいいかな?」

「いいよぉ」


 そういうとオルフェは右手を顔の高さにまでかかげると、その手に粒子が集まり丸く形どっていく。

 やがて粒子がなくなると、その手には見慣れたバレーボールがあった。


 これは多少の差異はあれど、コアさんが刀を出すのと同じだな。


「おー。これがバレーボールかぁ」


 そういうなりオルフェは両手でバレーボールをギュッとつぶした!

 オルフェの全力を受けたボールはひょうたんのようにつぶされて――


 オルフェが力を抜くと何事もなかったかのように丸形に戻った。

 万力のようなオルフェの力を受けてなんともないとは……さすがに強化されてるだけはある。


「すごいねぇ、これなら思いっきり叩いても大丈夫そうだよぉ!」

「ちょっと貸してもらってもいいか?」

「いいよぉ~」


 返事と一緒にボールが飛んできたのでキャッチしてみる。

 触感は完全に地球のボールと同じ、とてもオルフェの力に耐えられるとは思えないが……


 だが、力を込めてつぶしてみると明らかに弾力が違う。

 まるでそこだけ違う素材が使われたかのように硬い。

 

「なるほど、これなら大丈夫そうだな」   

 

 これでボールが壊れる心配はなくなったが、心配事はもう一つある。

 

「オルフェ、ちょっとアレに全力でそのボールぶつけてもらっていい?」

「うん、いいよぉ~」


 指をさした先にあるのは、オブジェとして用意した大岩。

 オルフェはボールを上に放り投げると――


「ていっ!」


 ジャンプしてスパイクを放つ!

 

 と、ほぼ同時に大岩の方から衝撃音が響く。

 視線をそちらに移してみれば、何事もなかったかのように転がるボールとそれと同じ直径の大穴を開け、多数のヒビがはえた無残な岩の姿だった。


 うへぇ、岩より硬いボールか。俺たちはともかく、まだ強化しきれていないアイリに万一当たったら死ぬな。

 

「よし、コート全体を俺の障壁で囲うからアイリはククノチと外にいてくれ」

「かしこまりました」


 そしてその二人を除いた俺たち四人がコートに入ったのを見て。


「障壁展開」

 

 透明な障壁でビーチコートをぐるりと囲う。

 これでボールが外にでる心配もなくなったな。


「今日は初めてだし、あまりルールにこだわらずにラリーを続けて楽しむことにしようか」

「うふふふ~どっちも頑張ってくださいね~!」

「ククノチ様、少しお水をどうぞ」


 アマツは不在、ククノチは酔っ払っていてアイリはその介抱をしているから、審判できるやつがいないしね。

 身体能力的にオルフェとコアさんがペアとなり、俺とアディーラがペアとなってお互い対峙する。

 

「いくよぉ~」


 ボールを持っていたオルフェからサーブしてゲームが始まった。

 まずはみんなが軽くバレーに慣れるためか、オルフェも軽くサーブを打ってきた。


「よっと」


 飛んできたボールを、ネット際に飛ぶようにレシーブする。


「お頭、いいボールだ」


 すかさずアディーラが飛んでスパイクを放つ。

 しかし、このスパイクも全力ではないようで、ボールはあらかじめ構えて待っていたコアさんの元に飛び込んでいく。


 コアさんも難なくボールをレシーブし、しばらくは軽いラリーが続いていく。


「ふふ、しっかりついてきてる! さすがアディーラだねっ!」

「オルフェもやるじゃねぇか!」


 ラリーが続くうち、二人はだんだん熱くなってきたようで、徐々にスパイクが強く鋭くなっていく。


「マスターどうやら私たちは二人のサポートにてっするしかないようだね」

「そうみたいだな」


 先ほどからオルフェとアディーラがお互いにスパイクを打ち合い、レシーブをする。

 それを俺かコアさんがトスをして二人がスパイクを打ち返すということが続く。


 いやもう、二人が放つスパイクはもはや俺とコアさんじゃ受けれないくらい強い。


「そろそろ全力を出させてもらうよぉ!」

「それはこっちのセリフだぜオルフェ!」


 二人が吠える!

 その宣言通りオルフェはコアさんのトスを受けて、全力のアタックを放つ!

 

「甘い! 見えてるぜぇ!」


 俺にはまったくわからないが、アディーラの視力ならオルフェがどこに飛ばすか予測がついてるらしく、先回りして受ける!


「お頭! できるだけ高くあげてくれ!」

「わかった!」


 レシーブされてふわふわ浮いてるボールの下に立ち、全力でボールを打ち上げる。


 アディーラは自らの翼を広げると、屈んで地を蹴り一気に飛翔する!

 そしてボールの高さまで飛びあがると――


「いくぜぇ!」


 そのままほぼ真下へと全力でボールを打ち出した!

 ボールは重力をも味方につけてどんどん速度を増して


「せぇい!」


 しかしっ! オルフェは正確に落下地点へとたどり着くと、アンダーハンドパスでボールを受ける!

 受けたときにオルフェの足元が膝くらいまで埋まってた気がするけど俺は何も見てないぞ!


「よしっ! 今がチャンスだね!」


 コアさんの宣言通りこの状況はヤバイ!

 なぜならアディーラはまだ空高く、コートの中には俺一人しかいない。


「ご主人いくよぉー!」

「ちょ! ちゃんと手加減してくれよ!」


 当たっても死にはしないが、正直俺には全力のオルフェのスパイクはほとんど追えない。

  

「てぇい!」


 無情にも渾身のスパイクで放たれたボールが俺めがけて飛んでくるっ!

 速っ! 避……無理!


 だがっ! ボールは俺の50センチほど手前の砂に着弾した!

 助かっ……


「ぐふぇ!」


 跳ね返ったボールが腹に直撃!

 ひざを付き、地面にうずくまる。 


 ぐぉぉ、効いた……

 コートを囲む障壁を出していたからか、自身を守る障壁がおろそかになってたわ……


「お頭! 大丈夫か!?」


 地面へと降り立ったアディーラが介抱して立たせようとしてくれたが、ダメージがきついのか足がふらついてまともに立てない。

 

 その後ククノチにより続行不可能と判断され、TKO負けになってしまった。

 オルフェ、アディーラ、おれがふがいないばかりにすまねぇ。


 とはいえ、全体で見ればケモミミ娘達は満足してくれたようだし、海で遊ぶ催しは成功したといえよう。

 ただ、その代償として今日の晩飯も胃が食べ物を受け付けず流動食しか食べれなかったことを追記しておく。



 でも流動食でも美味いあたり、さすがコアさんと言っておこう。


バーベキュー自体は特に何も思い浮かばなかったのでカットォ!

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