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7-13 海を遊びつくせ!

 空を見上げればいつも通り雲一つない青空が広がり、そのまま正面へと視線を移せば負けじとキラキラ輝くオーシャンブルー。

 吹き抜ける風も寒すぎず暑すぎず強すぎず心地よく、上半身裸な俺の肌を優しくなでてくれる。


 よく目を凝らしてみれば透き通る水の中に海藻がゆらぎ、その間を魚たちが気持ちよさそうに泳ぐ姿が見える。

 まぁ、あれ全部食用なんだけど、せめてその時がくるまでは幸せに過ごしてくれよっ!


 普段は食料生産施設として機能している海洋エリアだが、今日の目的は違う。

 はやる気持ちを抑えてゆっくり後ろを振り返ってみれば――


 鉄のポールが二つそびえたち、その間には魚を捉える投網のようにネットがきつく張られている。

 周囲にはまるで結界のようにしっかり長方形にしかれたそれは、まごうことなきビーチバレーコート!


 だがっ! だがっ! だがっ!

 俺の心を高揚させているのはそこではない!


 コートの中に佇むのは6人の水着ケモミミ娘たちだぁー!

 

 FUUUUUUU! 最高だぜぇ!


 あれ? 徐々に視界がにじんできた、せっかくの水着姿だというのにこれじゃ目に焼き付けることができないジャマイカ!


「あの……なんで仙人様は腕組みしたまま号泣してるのでしょうか?」

「あれはマスターの持病みたいなもんだからね。ほっといても大丈夫だよ」


 ああそうか。視界がにじんでいたのは、無意識のうちに嬉しさを目から垂れ流してたからか。

 腕で視界を遮るモノをぬぐい、あらためてたたずむケモミミ娘たちを視界に焼き付けよう。


 うん、べっぴんさん。べっぴんさん。一つ飛ばさなくてもべっぴんさん。


「マスター? まさか日が暮れるまでそうしてるつもりじゃないだろうね?」


 ……はっ!?

 コアさんの言う通り、眺めているのも悪くはないが今日の目的は海を遊びつくす事だった!


「すまんすまん。いや、海で遊ぶのは最初に出したとき以来だからなつかしくてな」


 あんときはちょっとした家庭用のプールみたいなもので砂浜と浅い海しかなかった。

 しかーし! 今はスキューバダイビングできるほど広い海にビーチバレーコート、さらにスイカもある!


「おもてなしの準備はばっちりよー!」


 ビーチバレーをやる前に海で遊ぶと聞いて、アマツははりきってなんかいろいろやってたなぁー。

 

「まずはー。これっ!」


 アマツが手を叩くと水面がゆれて水しぶきが飛び立つ!

 水面を破って高く空中を舞ったのは――何匹ものマグロッ!


 うん、ウチの海にはイルカがいないからね。


 空中を泳いだマグロはやがて水面へと戻り、今度は水の中を気持ちよさそうに回遊している。

 アマツは人魚形態に戻ると、あらかじめ用意していた特殊な手綱をマグロに取り付けて――


「むふー。これで水上スキーもできるっちゃよー。ごーごー!」


 アマツがマグロに合図を送ると一斉にマグロは加速して、アマツはその勢いで水面から引っ張り出される。


「風がきもちよかねー!」


 空中で人間形態になったアマツは足を水面につけると、マグロに引っ張られながら水上を勢いよく滑っていく。

 

「何あれ楽しそう! 僕もやりたい!」


 オルフェはああいうの好きだもんね。


「自分も興味をそそられますな!」


 アディーラもか。


「他にもいろいろ遊具を用意したから、まずは各自海を堪能して昼食後にビーチバレー大会をしましょう」

「おー!」


 自分の掛け声で思い思いの場所に散っていくケモミミ娘たち。

 さーって俺は何しようかな?



「いーーーーーやっふぅぅぅーーーー!!!」


 ダンジョン操作で高波を作り出し、昔テレビで見たプロのサーファーのように崩れる波の合間を駆ける。

 もちろん地球にいたころはサーフィンやるほどリア充ではなかったが、DPで身体が強化されたおかげか数十分ほど練習しただけで上手く波を乗りこなせるようになった!


 地球に比べりゃ海もキレイでいい高波だし、何より周りに人がいねぇ!

 いるのはケモミミ娘だけだ!


「あはははは! たーのしー!」


 幼稚園児並みに知能指数が下がったオルフェがサーフボードを巧みに操り、高波を利用してハイジャンプをかます。 

  オルフェもサーフィンは当然初めてのはずだが、もうここまで波を乗りこなすとはな……

 

「やっほーーい!」 


 落下の勢いも利用し、波の側面に着地して加速すると水切りの石のように水面を跳ねるオルフェ。

 着地した時に跳ね上がった水しぶきがオルフェをさらに輝かせる。


「おわっ!? こいつはバランスがうまくとれねぇ!」


 水上用のスキー板を履いたアディーラがわめきながらマグロに引っ張られてオルフェの隣を並走しておる。

 アディーラはオルフェが出した横やりの波に翻弄されて、バランスを取るだけで精いっぱいのようだ。


「おわぁっ!?」


 あ、転んで派手な水しぶきを上げて沈没していった。

 と思った瞬間に、水柱をあげてアディーラが水面から出てきた。


「はははは! やべぇ! 超楽しいこれ!」


 楽しすぎてテンションが爆上がりしたのか、アディーラはそう叫ぶと水面に着地すると漂っていた手綱を手に取るなり――


「もう一回だ! 頼むぜぇ!」


 アディーラの言葉はわかるはずもないが、マグロは言われた通りに再び加速してアマツを引っ張っていった。

 多分アマツに「誰かが手綱を取ったら泳げ」って調教されたんだろう。 

 

 そんなやりとりを見つめている間にも、沖では再びビッグウェーブが作られたようだ。


「オルフェ! でかいのが来るぞ!」

「わかってるよぉ!」


 俺とオルフェはサーフボードに立ち、再び波に乗る。

 今度は波の上に乗り、波とともに風としぶきを切って進む。


「風が気持ちいいねぇ! ご主人!」

「まったくだ!」


 しばらく波の動きに任せたまま、サーフィンを楽しんでいると、ふと水底に不自然な水玉と人影が見えた。

 今そこにいるのか。ならちょうどいい。


「オルフェ! 俺ちょっと潜ってくるからサーフボード任せていい?」

「わかったよぉ!」

「サンキュー! とぉっ!」


 オルフェの返答を待って、サーフボードからジャンプして空中へと飛び立つ。

 そのまま障壁をまとって水中へと飛び込んだ。


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