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7-8 ストーリータイム

今回は元ネタの都合上

下ネタ表現があります。



「あっ! せんにんさまだ! こんにちはー!」

「アイリさまもいるー!」


 ははは、ちびっこ達は今日も元気があって大変結構!

 マナミさんからの依頼、それはチビッコたちの面倒を見ることだった。


 先ほど聞いた通り白犬族は今総出で働きに出ているが、そうなるとどうしても子供の面倒を見るまで手が回らない。

 子供たちもなんとなく察して今はおとなしくしてくれているらしいが、やはり少なからずストレスをためてこんでいるようで、マナミさんはなんとかストレス発散させられないか悩んでいたようだ。


「ほれほれー。お菓子とジュースをやるから並べ並べー」


 集落からほど近い原っぱに子供たちを集めて、コアさん謹製のお菓子を配る。

 

「仙人様の紙芝居が始まりますよ。みなさん仙人様が見えるように座ってくださいね」

「はーい」


 まぁ、紙芝居っていうよりは正確に言うと障壁芝居?

 アイリをウチのダンジョンから呼び出した際、お菓子と一緒に持ってきてもらった絵本を手に取る。

 挿絵をそのまま障壁に映し出せば、チビッコたちみんなにも見えるというわけだ。


 俺の後ろに大きな障壁を展開し、1ページ目にあった挿絵を障壁にそのまま映し出す。

 するとお菓子を食べていたチビッコたちの視線が一斉に障壁に映った挿絵……かわいらしい妖精のイラストに視線が集まった。


「準備はいいかな? じゃあ始めるよ」


 静かになった頃合いを見計い、朗読を始める。


「むかしむかし、あるところにリッキーというかわいらしい妖精が住んでいました。リッキーはお友達のデイジーに会うために、彼女が住む丸太小屋へとむかいました」

「アディーラお姉ちゃんみたいな羽が生えてるー」


 まぁ、キラキラしてるところはちょっと似てるな。そういうことなら


「アディーラお姉ちゃんになったー!」


 障壁に貼っているテクスチャーのイメージを変えれば、リッキーをかわいくディフォルメされたアディーラにすることもたやすい。

 そしてその方が子供たちの評判もいいからなっ!


「リッキーがドアをトントンと叩くと、丸太小屋からデイジーがニコニコ笑顔で出てきました」

「ククノチお姉ちゃんに似てるー?」

「えー? 似てないよー?」


 これは多分色だけで判断しているな。

 まぁいいや、これもククノチに似せちゃおう。


「ほらほらー、続きを読むぞー」


 やいのやいの騒ぐチビッコたちに一言いってからページをめくり、挿絵を障壁に投影してっと、


「デイジーはリッキーをリビングまで招き入れました。するとリッキーは突然デイジーをソファに押し倒し、上にのしかかるとデイジーの服をはぎ取り……」


 ……ゑ?


「あれ何やってるのー?」

「ボク知ってる! この前パパとママがねー!」

「ストーップ! それ以上は言っちゃダメです!」


 ……はっ!


 思考停止しているあいだずっと障壁にアレな挿絵を映しっぱなしにしてたせいで、とんでもないことに!


「これはなし! 次のお話を読むから! しずまれ! しずまりたまえー!」


 なんとかなだめながら、ページをめくって別のお話を探し出す。

 おっ、これなんかよさそうじゃないか?


 急いで障壁に映る挿絵を騎士に変えると、子供たちの視線が一斉に釘付けになった。

 よし!


「むかしむかし、あるところにロビンというとても勇敢な騎士がいました」

「おー! かっけー!」

「ボクもぞくちょーみたいな戦士になるんだ!」


 ああそうか、白犬族にとっては騎士よりは戦士なのか。


「彼はとても勇敢だったので、死ぬことを恐れていませんでした」

「ぞくちょーもそんな事言ってたよねー?」

「シチューにカツありだったっけ?」

「それを言うなら”死中に活あり”ですよ」


 言い間違いにやんわりと指摘するアイリ。

 なんていうか定番の言い間違いよのぉ。


「胸を剣で貫かれても、その身に無数の矢を受けようとも、たとえどんなに無残な殺され方をされようとも勇敢なロビンは恐れることはありません」

「おー! かっけー!」

「せんせんだいさまみたいー!」


 せんせんだいさま? 先々代族長ってこと?


「先々代様は交易先で盗賊に襲われた際、部族の隊商を逃がすために護衛数名と残り、盗賊数十名を道連れに戦死されました。後ほど回収されたご遺体には無数の傷があったそうです」


 子供たちの反応に戸惑っていた俺を見て取って、アイリが補足してくれた。

 命を懸けて部族を守ったヒーローってわけね。なるほど。


「せんにんさまー! つづきつづきー!」

「はいよー」


 チビッコたちがひとしきりはしゃぎ終わるのをのを待ってから、次のページを開いて挿絵を障壁に映す。


「そう、たとえ頭蓋骨が砕け落ちて、脳みそが噴き出て、心臓がえぐり取られ、タ〇〇ンがつぶれて、こうもんが……」


 いやいやいや、大分デフォルメされているけど絵本としてどうなんだこれは!?

 

「あの……仙人様?」


 はっ!?

 アイリにうながされ顔を上げてみれば


「……?」


 そこにはキョトンとした顔のチビッコたちが!

 

「ちょっと待って! これもなし!」


 なんか内容がおかしい絵本を閉じて表紙を見てみる。

 そこに書かれていたタイトルは……”フェアリーテイル・フライングサーカス”?


 ――あ! これって確か


「アイリ、これ絵本に見せかけたスケッチ(コント)台本だわ」

「そうなんですか?」


 そうなのよ。

 きわどいネタを平気で公共放送で流す連中だったからな、この人たちならやりかねない。

 ちょっとこいつは子供たちに聞かせるには早すぎる。


「それじゃあ、代わりに俺の世界に伝わる物語を話そうか」

「はーい」


 桃太郎とかかぐや姫などを障壁に映して言い聞かせる。

 若干うろ覚えではあるが、なんとか乗り切った!



 ――後日――

 絵本の内容が子供たちから親に伝わり、そこからマナミさんに伝わってしっかり絞られてしまった。

 これは俺のせいなのか!? 


1年越しではありますが

偉大なるコメディアン、


モンティパイソンのテリー・ジョーンズ氏のご冥福をお祈り申し上げます

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