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6-64 VS エクスゴブリン

 まず最初にしないといけないのは、先ほど吹っ飛ばされたオルフェとアディーラの回復だな。

 幸いエクスゴブリンは壁や床を壊すのに夢中で、こちらからちょっかいをかけなければ大丈夫そうだ。


 さっさと立て直してしまおう。


「いったーい!」

「うう、不覚をとったでありますぅ」


 駆け寄り、未だ壁にめり込んでいた二人をひっぺがす。

 二人ともちょっと血が噴き出てたり、変な方向に腕が曲がってたりしてたけど、生きてれば軽傷だ!


 回復薬とククノチの魔法を併用して速やかに治療する。

 この二人だからこの程度で済んでいるが、恐らく俺を含む残り4人はまともにアレを食らったら即死する。

 必然的に盾役は決まったな。


「もぉ~、しょうがないなぁ~」

「精一杯奮闘させてもらうでありますよ」


 二人もそれがわかっているのか、しぶしぶながらも引き受けてくれた。

 さて、これでこちらの立て直しは完了。ふたたび視線をエクスゴブリンに向ける。


 そこには壁を破壊するのにも飽きたのか、上の空で何もない天井を眺めているエクスゴブリンの姿が!

 

「よし! アマツ、アディーラ! 遠距離攻撃で一気に仕留めるぞ!」

「わかったっちゃよー!」


 コイツ相手に接近戦は危険だからな。まずは遠距離で攻める!

 俺が矢を取り出すのと同時に、アマツの杖の先から水が染み出し、アディーラの周囲には光の輪がいくつも生み出された。


 俺たちの殺気に本能が気づかせたのか、エクスゴブリンがこちらを向く。

 だが、遅い!


「”あめあられ”!」

「”光の戦輪(ライト・チャクラム)”!」


 矢に加え二人が放った水の弾丸と光の戦輪がよける隙間がないほどに空間を埋め尽くし、エクスゴブリンに向かって飛んでいく。


 奴は……避けない!

 というより避けるという選択肢も、奴の脳みそからはなくなっているのだろう。


 歩みを進めようとしたエクスゴブリンに、戦輪が肩を切り裂き、矢が胸に命中しさらに無数の水のつぶてが奴を打ち据える!


 ――ように見えたけど。矢は胸部に刺さらずはじかれ床に落ち、戦輪にえぐられたはずの肌には傷も見えず、水の弾丸も奴にとってはゲリラ豪雨程度なのか、多少動きはにぶっているものの、こちらに突進する構えを見せる。


「させないよぉ!」

 

 真横からオルフェがフライングトゥキックで頭を蹴り飛ばす!

 巨体が横に飛び、受け身も取らずに奴は轟音を立てて横向きに倒れた。


 そのスキにコアさんは奴の頭付近に回り込み、両の手で刀を逆手に持ち振り上げて――


「ふっ!」


 気合をはき、エクスゴブリンのノドを目掛け、全体重をのせた切っ先で突く!


 金属が鈍く震えたような、少し不快になる高い音が部屋中に響く。

 少しの間をおいて、何か重いものが床に落ちた音がどこかから消えてきた。

 

 反射的にエクスゴブリンから視線をはずして視界内に入れてみれば、それは半ば程から折れた剣の先。


 ――!?


 慌ててコアさんの方に視線を戻す。

 それは剣が突き刺さったように見えてはいたが、よく見てみれば血も出てないし、刀が折れた分だけ刺していたように見えていただけだ!


 うっそだろ!? ノドだぞ!? どんだけ硬いんだよ!?

 コアさんは失敗したのを悟ると、すぐにその場からバックステップを取って――


 そこに、エクスゴブリンが腕を振るう。

 奴にしてみれば、うるさい蚊を払うかのように右手で頭の周辺を払っただけに見えた。


 コアさんは折れた刀で受け、大きく後ろへと飛ばされたが、何メートルか飛ばされたものの、コアさんは自らの足でしっかりと地面に着地した。

 自ら後ろに飛んでいたこともあり、勢いを殺せたことで大したダメージは受けていないようだ。


 エクスゴブリンは何事もなかったように上半身をゆっくり起こす。


「なら、これでどうさね!」


 先ほどの”あめあられ”でずぶ濡れになったエクスゴブリンとの間に水の導線を作ったアマツが叫ぶ!

 そして自身の杖を導線の先に入れ、


「”すいらいげき”!」


 アマツの全身から電撃が湧き出る!

 電撃は纏まり稲妻と化し、杖から水に伝わりエクスゴブリンへと向かう。


「!!」


 電流を全身に浴びたエクスゴブリンは身を震わせ――

 

 最初にちょっと震わせただけだった。エクスゴブリンは何事もなかったかのように身を起こす。


 そして、アマツに向かって飛んだ!

 プロレス風にいうならフライングボディプレスの体勢だが、速度と質量が桁違い!


「アマツちゃん! 危ない!」


 間一髪ククノチが自らのツタでアマツを引き寄せ、先ほどまでアマツがいた場所をエクスゴブリンが床ごと押しつぶす。

 そしてまたかんしゃくを起こし、両手両足で床を何度も叩いてガレキの山を量産する。


 それはいいけど、いやよくもないけど、腕を振り回すたびにガレキを無差別に飛ばすのはやめてほしい。

 あの速度は当たり所が悪かったらグチャってなっちゃうから!


 ああくそ! あっちには刀も電撃も効かないが、こっちはやつの何気ない行動で死ぬ危険がある。

 しかもあいつは戦闘をしているという意識もなく、ただ好きなように暴れてるだけっていうのが腹立つ!


 でもそのおかげでオルフェがやつを蹴ればオルフェに向かい、その途中でアディーラがちょっかいを出せばアディーラに向かって殴りかかりに行くので、こちらで制御してやれば行動自体は単純で読みやすい。 

 

 だから後は、相手の防御力を上回る一撃を繰り出せばいいだけなのだが……

 一応まだあいつに試していない技はある。今の俺たちが出せる最大最強威力の切り札と呼ぶにふさわしい必殺技が。


 ただし、それはコアさんからはロマン砲と評されたほどの使いにくさなんだよなぁ。

 正直一発でも攻撃をもらったら死ぬ相手に使う技じゃないことはわかっているが……


 しかし、奴の防御力を超える技はこれ以外に思いつかないし、やるっきゃないか!

作者が考える(肉体的な)耐久力の強さランキング(現時点)


オルフェ>アディーラ>>>主人公>=コアさん>>ククノチ>アマツ


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米糠稲穂様よりレビューをいただきました!

ありがとうございます!


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