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6-54 突入! ゴブリンダンジョン

 ポータルをくぐり俺たちはダンジョンに侵入する。

 中身はコアさんが言っていた通り洞窟風。ところどころ魔法の光がただよい視界は悪くない。


「あの先に待ち伏せがあるんだよな」

「そうだねぇ」


 そして奥には別の空間へと渡れるポータルがある。

 なんも対策してなきゃ、そのままあの世にまで繋がってるのは間違いない。


「よし、まずは安全地帯の確保といこう。ククノチ」

「はいはいー」


 せっかく初めてよそのダンジョンに踏み込んだんだ。試したいことはいろいろある。


「”ゆりかごの草”」


 そうつぶやいたククノチの足元から芝のような草が徐々に広がっていく。

 芝は広がり続け、通路の端についても壁に沿うように広がり、さらには天井にまで侵食し、フロア全体を草で埋め尽くしていく。


「ウチのダンジョンと同じなら、これでこのフロアを改造することはできなくなったな」


 ダンジョンを拡張したり設備を作るには、壁や床にダンジョン設備以外のものがないことが条件だからな。

 こうして別のもので覆ってしまえば、ダンジョンマスターがダンジョンを改造しようにもできない事は、ウチのダンジョンでは確認済みである。

 ついでに言うと、これで感知系のワナを作動させたり、根が侵食するなどして一部のワナを無効化することも可能だ。


 今ごろ敵のダンジョンマスターは、この辺りをいじれない事に泡を食ってるんだろうか?

 ま、ウチと同じかどうかはわからないから、油断はできないけどな。


「よし、次は俺の番だな」


 ここでウチのダンジョンと空間を繋げられるのかというのをまず試さないとな。

 これができるかできないかで、この後の戦略はがらりと変わる。それに、万一の事態でも空間魔法を使えば逃げられるという保険が出来れば、大分心の余裕もできるというものだ。


 先ほどと同じようににぎった右手に魔力を込め、繋げるべき場所をイメージ!

 

 ――いける!


 十二分にイメージが整ったところで手を広げれば、そこを起点に俺のダンジョンに繋がる空間のトンネルが開く。

 つながったトンネルの先には、これからの作戦で使うものを取りに行った人物が待っている。


「主さーん。言われた通り限界まで持ってきたとねー」


 トンネルをくぐって姿を現したのはアマツ……と、持っている杖の先には1メートルを超える大きな水玉。

 

「おーう、お疲れさんアマツ」

「ういー」


 回復薬を飲みながらねぎらうが、アマツは軽く返事をしてくれたものの、その顔には汗がビッシリ張り付き、なんとなく表情もつらそうである。


 まぁ、無理もない。 

 アマツの杖の先にある水玉は、大きさこそ先ほどゴブリンを殲滅した”あめあられ”に使った水玉と同じくらいだが、今回のこれはアマツの魔力限界ギリギリまで圧縮されている。

 その水の量は文字通り桁が違う。

 変にくすぐったりしたら制御できなくなって暴発しそうだなぁ、やらんけど。


「早速始めよう。アマツ、準備はいいか?」

「もちろんよー。というより早うやってほしいとよー」

 

 俺が回復薬が入っていたビンを投げ捨てると、アマツは水玉がついた杖先を奥のポータルへと向ける。


「障壁発動!」


 そこに俺がアマツと水玉を分け、通路いっぱいに障壁を張れば、


「よし、やっておしまいなさい!」

「はーい。やっと楽になれるとよー」


 障壁を挟んだ反対側にあった水玉が膨張してはじける!

 魔力の戒めから解き放たれた大量の水は、全方位に広がり、まず俺が張った障壁に激突した!


「ひぁっ!」


 一番近くにいたアマツが、障壁を振るわせ伝わってきた衝撃を全身で受け、尻もちをつく。

 障壁にぶつかり行き場をなくしてなお膨張する水は、激流となって奥のポータルへと流れだす。


 さてさて、連中は軍隊が攻めてくる事を想定していたようだが、果たして水攻めされることまで考えていたかな?

 こいつはウチのダンジョンの温泉エリアからアマツがもってきてくれた大量の温泉水だ。ウチの源泉はいい湯だぞ、遠慮なく浸かってくれ。

 ちょっと量が多くて溺死するかもしれないけどなっ!

 

「主さん、お待たせっ! 準備完了っちゃ!」


 尻もちから立ち上がり、魔力回復薬を飲み干したアマツが障壁に挟まった自らの杖を握りなおした。

 それを見て俺はアマツを挟むようにさらに障壁を出す。


「よし、敵はほとんど無力化できてると思うが、一応ワナには気をつけろよ」

「ほーい」


 ま、大抵のワナも水流と水圧で無効化はできてるとは思うけどね。

 警告の言葉を投げてから奥の障壁を解除すると、アマツがいる空間に水が流れ満たしていく。


「行ってくるっちゃー!」

 

 人魚形態に戻ったアマツは、今だ水があふれだす杖を握りしめ、激流をなんなく泳ぎ奥のポータルへと消えていった。

 

「よし、みんなはアマツが戻ってくるまで休憩していてくれ」

「ここに入って僕まだ何もしてないのに休憩するのぉ?」


 オルフェが苦笑しながら芝の上に腰を下ろす。


「全員がいきなり全力を出す必要はないからな。ま、ここは温存だと思ってくれ」


 俺は障壁の制御があるから休めないけどな!



「主さんー。大体終わったよー」

「おーう、お疲れー」


 水がこちらに漏れないように障壁を制御する事しばし、いつもの軽い口調を伴ってアマツがポータルから姿を現す。

 うん、無事にうまくいって何よりだ。


「よし、それじゃあ排水するぞ、足場を作るからみんなそれに乗ってくれ」


 洞窟の半分ほどの高さの障壁を出し、自分を含め皆が避難した後に壁の下部分を解除っと。

 そうすれば溜まっていた水は、障壁の下を潜り抜け、俺たちの横を流れて通り過ぎ、出口へと向かう。


 水の量を考えるとここは第三階層だから白犬族のいる第二階層まで流れちゃうかな?

 ちょっとびっくりさせちゃうかもしれないけど、後で説明すればいっか。


 水流に乗ってポータルから何かの残骸に混じってゴブリンも流れてくるが、みな溺死か感電死しているようでピクリとも動かない。

 

「この様子なら防衛線はちゃんと破壊できているようだね」

「そうだな、こちらの犠牲はなし、上々だ」


 戦わずに勝てれば最上って昔の偉い人も言ってるしね。ちょっと意味が違うか?

 そのまま排水が終わるまで流水を眺めている事数分。


「よし、大体流れ切ったようだな。進もう」

「おー!」


 水の流れが弱まったのを見てアマツが杖に水を吸収すれば、もう大体元通りだ。

 俺たちは乗っていた障壁を降りると、多少ぬかるんだ地面を歩き、奥のポータルへと歩みを進めた。

稲作がブーム・・・

だがウチの小説は収穫は少し前にやってしまった。

ぐぬぬ

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