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第四十六章 同居生活十三日目 リルVSロード

 今回もよろしくお願いします。

 「少しはマシになったんだろうなぁ!」


 そう叫びながらロードは愛用の大剣を繰り出してくる。


 「光の盾ライト・ガーディアン


 私は杖の状態を盾に変える。先端の琥珀の形状が厚い盾となってロードの攻撃を防ぐ。


 「てめぇ…。全てを砕く刃クラッシュ・ブレイドで砕けないたぁ、どういうこった。」


 「説明する必要はないでしょう?前回のように負けるわけには行かないのよ!」


 私はロードと距離を開けつつ、魔術を放つ。


 「交差・氷炎槍クロス・インブレイスランス!」


 炎と氷の槍が交差し、ロードに放たれる。


 「俺に魔術は通じねぇぞ!」


 ロードは大剣を振り下ろし、私の魔術を打ち消した。


 「なら…光の戦斧シャイン・ハルバード


 私は杖の形状を盾から戦斧に変えた。柄がながくなり、先端の琥珀は戦斧の刃の形になる。

 

 「そんなもん、一瞬で砕いてやらぁ!」


 ロードの大剣と私の戦斧が火花を飛ばして衝突する。


 「くっ…。」


 ロードの大剣の一撃は重い。まともに当てあっていては私の体がもたない。


 「氷結結界フローズン・ケイジ!」


 私は後ろに跳びつつ、魔術を発動する。瞬間、周囲は凍りつき、ロードの足を拘束した。


 「こんなもんで俺を止められると思うなよ…。」


 そう言いながらロードは大剣を振りかぶる。彼の大剣が氷を砕いてしまう前に、私は次の魔術を発動する。


 「させない!意思を持つ棘ウィッシュ・ローズ!」


 氷を貫きつつ、ロードの後ろから棘が数本出現し、ロードの大剣を縛りつけ、その動きを止めた。


 「これで止めよ!光の刃シャイン・ブレイド!」


 私は戦斧から形状を変え、杖の柄を短くし、光の刃を具現化した。


 「はあああっ!」


 私は光の刃をロードに突き刺そうとした。


 「なめてんじゃねぇぞ…。」


 そんなロードの声と共に、彼の大剣は棘を切り裂き、氷をも砕いた。


 私の身体を巻き込みながら…。


 「ぐっ…あああ!」


 私はロードの大剣を防ぐこともできずに吹き飛ばされた。致命傷ではないが、骨は何本か折れ、血が流れ出る。


 「ううっ…。」


 「はは、結局お前は俺には勝てないんだよ。」


 そう言いながらロードが近づいてくる。このままでは、殺される。


 だが、身体は起き上がろうとしても、動いてくれない。光の刃も消え、もとの琥珀の杖に戻っていた。


 「雄我…。」


 無意識に彼の名前を呼んだ。彼の顔が、表情が、頭の中に思い出されていく。


 これが走馬灯っていうものなのかな…。そんな風に私は思った。


 私はここで死ぬのだろうか?同じ相手に負けて?


 それは嫌だ。悔しい。せっかくレイスの形見を犠牲にしてまで魔術を解放したのに。雄我を守るって約束したのに。


 だから、私は…。


 「負けるわけには…いかないっ…!」


 意思が言葉に、声に出される。


 「無駄だぜ。お前はここで終わりだ。」


 そう言いながらロードは私の前に来て、大剣を振りかざした。


 「さよならだ、魔術師。」


 大剣が振り下ろされる。

 

              ◇◆◇◆◇


 「ふふ、貴方のお仲間が一人、私の仲間に殺されたようですよ?」


 唐突にロストが俺にそう言ってきた。


 「な、嘘だろ…。」


 「いえ、あちらを見れば、その結果は一目瞭然…。」


 ロストとの距離を開け、俺はロストが見ているほうに目線を送った。


 だが、倒れたのは大きな鎧を纏った男…。ロードのほうだった。


             ◇◆◇◆◇


 「はあ…はあ…。」


 間一髪だった。大剣は私に振り下ろされることはなく、私の傍の地面に突き刺さっている。


 「てめぇ…。そんな技を…がはっ…。」


 そう声を出しながら、血を吐き出し、ロードは倒れていく。鎧の顔を覆った部分から、血が流れ出た。


 「ふふ、私の…勝ちね…。」


 彼が大剣を振り下ろす瞬間、私は精一杯の力を振り絞り、杖の先端についた琥珀をロードのほうに向けた。そして、琥珀を光の刃に変え、射出したのだ。


 そして、光の刃は彼の鎧を砕き、彼の心臓を貫いた。


 だが、もう身体は限界だ。意識が遠のいていく。私はこの戦いではもう動けないだろう。


 「雄我…勝ちなさいよ…。」


 私はそう呟きながら、一休みすることにした。


              ◇◆◇◆◇


 「残念です。彼が負けてしまうとは思いませんでした。」


 目の前の男、ロストはロードが倒れたのを見て、そう言った。


 「ですが、あの少女はもう、戦えませんね。相手の戦力を減らすことができただけでも、良しとしましょう。」


 そして、そんな風に言って俺に向き直る。


 「仲間がやられて、なんとも思わないのか?」


 俺はロストのあっさりした様子に思わずそう聞いた。


 「なんとも思わないわけではありません。彼は、私の仲間です。ですが、彼は戦って死にました。彼が戦い、負けたのならば私は何も言えませんよ。」


 「…。」


 ロストも流石に仲間の死に何も感じないほど、冷酷ではないようだ。


 「ですが、仲間の死を悼むことなど、後でも可能です。貴方だって、彼女が傷つけられたのですから、同じでしょう?」


 「そうだな。」


 そうだ。これは命を懸けた戦いだ。俺はまだ、人の死に慣れていない。今までの戦いで、俺の目の前で死んだ奴はいなかったからだ。


 いや、人の死になど、慣れたくはない。それが自分の仲間となれば、尚更だ。


 「さぁ、続きを始めましょう?」


 そう言いながら、ロストはこちらに向かってくる。


 『主よ、雑念は捨てろ。今は目の前の敵にだけ集中するのだ。』


 『わかってる。』


 俺は黒竜に応えつつ、ロストと攻撃を交え始めた。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。次回も読んでくれると嬉しいです。

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