第三十一章 同居生活九日目 朝
お久しぶりです。今回もよろしくお願いします。
「ん……。」
俺は目を開ける。ずいぶん長い間眠っていたような気がする。ゆっくり、ゆっくりと目を開けていくと目に映ったのは見慣れた自分の部屋の天井だった。
「えっと…俺はどうなったんだっけか…。」
俺は寝ぼけた頭の中を整理して状況を整理する。俺は確か、黒いフードパーカーのような服を着た少女に鎖で宙に縛り付けられ、鎌を振るわれそうになった。本来なら死んでいるはずだが…
「リルが守ってくれたんだったな。」
そう、鎌が俺の体を切り裂こうとしたその刹那、リルが彼女の魔法である守護によって少女の鎌を弾き、俺を守ってくれたのだった。
「あとでリルにちゃんとお礼を言っておこう。もちろん、コロンと凛にも…。」
そう呟きながら、俺はまぶたが重くなっているのを感じた。まだ疲れが抜けていないんだろう。当たり前だ、何せ自分は死に掛けたのだから…。
「すぅ…すぅ…。」
そこで俺は自分の近くから誰かの寝息が聞こえていることに気づいた。目を向けると、そこには俺の手を握りながら俺のベッドに寄りかかるようにして寝ているコロンの姿があった。コロンの手には確かな温もりがある。
「ずっと付き添ってくれたいたのか…。心配かけちゃったな。」
俺はそう呟きながら、コロンの頭を撫でる。
「おやすみ、コロン。ありがとうな。」
そして俺はそのまま睡魔に身を任せ、眠りに身を落としたのだった。
◇◆◇◆◇
「ご主人様…。ご主人様…。」
俺を呼ぶ少女の声がする。そう、この声はコロンのものだ。
「ん…。」
俺はその声を聞きながら、目を開ける。そこには確かに俺の愛する人、コロンの優しい顔がある。
「あ!よかった。目が覚めたんですね、ご主人様!」
そう言いながら、コロンはベッドに寝ている俺に覆いかぶさるように抱きついてきた。
「ああ、おはよう、コロン。心配かけて悪かった。」
俺はコロンの頭を撫でる。コロンは目に涙をためながら、俺に抱きつく腕に力を込めてくる。
「よかった…ご主人様がもう起きないんじゃないかと思って…私、私…!」
「大丈夫。ありがとな、コロン…。」
相当心配してくれたのだろう。そして俺が少し目を覚ましたときに付き添っていてくれたコロンの姿を見たことを思い出す。
「と、とにかく、お腹空いてませんか?あ、それともお風呂ですかね…いやいや、それより、体に異常はないですか!?」
「ああ、大丈夫だ。リルと凛はどこにいるかな?」
「二人ならリビングで朝ご飯を食べていますよ。」
「朝ご飯…俺はどのくらい眠ってた?」
「えっと…帰ってきたのが一昨日の深夜でしたから…。丸一日は寝てましたね。」
「そうか…。」
俺が起きたのは昨日の夜…ということでいいのだろうか。まぁ、あまり深く考えなくてもいいだろう。とにかく今は、自分が無事だったことを喜ぶべきだ。
「とりあえず、二人のところへ行こう。朝ご飯を用意してくれるかな?」
「はい!もちろんです!」
コロンはとても嬉しそうに笑いながら俺の手を引いていく。
「ほらほら、行きましょう、ご主人様!」
「そんなに急かすなって…。」
俺はコロンに手を引かれながら自分を部屋を後にした。
◇◆◇◆◇
「あら、雄我、おはよう。ずいぶんなお寝坊さんね?」
「雄我さん!よかった…。目が覚めたんですね。」
リビングに入るとリルと凛が俺を見て笑顔を浮かべる。
「おはよう。心配かけて悪かったな。」
「いいのよ。体は大丈夫かしら?」
「ああ、大丈夫だ。リルが守ってくれたからね。」
そう言いながら俺はリルの頭を撫でてやる。
「あ、当たり前よ。契約のときに言ったでしょう、貴方を守るって。」
リルは顔を赤らめながら俺にそう言ってくる。
「凛もありがとうな。」
「いえ、私はたいしたことはしてませんから…。」
そう言いながら、凛は顔をそらしてしまった。頬が赤いのを見ると、照れているのだろう。
「あ~!リルずるいです!ご主人様!私ももっとなでなでしてください!」
「お前はさっき部屋で撫でたろ…。」
そう言いながらも、俺はリルに嫉妬して迫ってきたコロンの頭を撫でてやるのだった。
◇◆◇◆◇
「ご主人様、ご飯の用意ができましたよ!」
「ありがとう、コロン。」
キッチンからコロンが俺を呼ぶ。
コロンが朝食を用意してくれている間に俺はシャワーを浴びてきた。まぁ、丸一日寝ていたようだし、体は清潔にしておきたいからな。
「いただきます。」
席について、コロンが用意してくれた朝食を口にする。いつも通りの、コロンの美味しい料理だった。
「ごちそうさまでした。」
料理を食べ終えて、そう言いながら席を立つ。
さて、今日は何をしようか。家事も買出しも基本的にコロンが全てこなしてしまうので、俺は基本的に暇なのだ。
「雄我、暇なら私と買い物にでも行かない?」
何をしようか考えていると、リルが俺にそう声をかけてきた。俺が暇なのを見抜いたなこいつ…。
「だ、だめです!なにさりげなく二人きりで出かけようとしているんですか!」
リルの言葉を聞いていたのかキッチンで皿を洗っていたコロンがリルに向かって叫ぶ。
「あら、いいじゃない。貴方は忙しそうだし、雄我が暇そうだから誘っただけよ?なにか問題でもあるのかしら?」
リルはコロンを見ながらそんな言葉を返す。
「大問題ですよっ!二人きりでお出かけなんて…まるでデートじゃないですか!」
「デ、デート!?」
コロンの言葉に反応してしまったのはリルではなく俺だった。確かにリルは可愛いし、そう言われると変に意識してしまう。
「あらあら、意識しちゃって。可愛いわね。ふふ…。」
リルは俺の顔を見ながら楽しそうに笑っている。しまった。顔に出てしまったか…。
「ご主人様!なに顔を赤くしてるんですか!だめです!却下ですー!」
「ばっ、赤くなんてないだろ!」
余計に意識してしまって、恥ずかしくて声が大きくなるのを感じる。
「じゃ、じゃあリル!お前はどうなんだ!お前は俺とデートしたいのか!」
俺たちの会話を見ながら余裕そうに笑っているリルに俺は言う。
「あら、当たり前でしょう?」
リルはそんな答えを返してきた。
「え?いやいや、あっさり過ぎだろ!」
なんでそんな風にしれっと返せるんだこいつは…。
「ふふ、なんで私が貴方を誘ったと思ってるの?そんなの、わかりきっているでしょう?」
リルは俺をからかうように言ってくる。やれやれ、ずいぶん遊ばれてしまったようだ。
「ご、ご主人様!だめですよ!家で私とイチャイチャしましょう!すぐ家事を片付けますから!」
「無理に急ぐと仕事が雑になるわよ~?ふふ。」
リルはコロンが急いで家事を始めたのを見つつ、楽しそうにそう言った。
「うう…。家事はちゃんとしますけど…とにかく、二人きりはダメです!ダメなんですー!」
「そんなに嫉妬しなくてもいいじゃない。雄我が本当に愛しているのは貴方なんだから、どーんと構えていればいいのに。ね、雄我?」
「え?ああ、そうだな。」
突然そんなことを聞かれて、俺は軽い返事を返してしまう。
「ほら、雄我もこう言っているんだから、いいでしょう?じゃあ、いってくるわね。」
そう言いながらリルは俺の手を掴み、リビングから出て行こうとする。
「あ!ちょっと待っ…。」
コロンが言い終わらないうちにリルは俺をリビングから連れ出した。
「おい、そんなに急ぐなって。」
「ふふ、急がないとコロンが追ってきちゃうでしょう?」
そして俺とリルは玄関から外に出たのだった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。次回はいつになるかわかりませんが、また読んでくれると嬉しいです。




