「ゾンビじゃないゾンビをゾンビと呼ばないでほしい話」
「私たちは、不必要なものだけが必需品である時代に生きている。」
――オスカー・ワイルド
リビングデッドを一括にゾンビと呼ぶ人も多いが、これだけはハッキリと言っておきたい。いくら何でも、オレをゾンビ呼ばわりするのは大変遺憾だ。オレには米沢牛という、立派な仮名があるんだ!
ゾンビとは何か? 有り体に言えば、「人間性を失ったリビングデッド」のことだ。
そもそも人間性とは何か? 乱暴に説明しよう。他人の人間性を踏み躙る奴には、すでに人間性がないと言える。見分けるだけなら、わりと簡単だ。
例えば、会うたび、会うたび、「健康にいいから」と、お酢を勧めてくる相手がいたとしよう。「いや、自分には合わないから」とゲンナリしながらお断りしても、「そうおっしゃらないで! 良かれと思って勧めることですよ」と言われ、また会うたび、会うたび、お酢を勧められる。だとしたら、そいつは間違いなくゾンビだ。諦めるしかない。
ちなみに今の話で「お酢」を「寄生虫」に置き換えれば、この世界に数十億と彷徨っているゾンビが、常日頃、良かれと思って周りに勧めているものに早変わりする。
いや……別にこれは笑い話じゃない。
ゾンビは全員、良かれと思って勧めている。身体にいいことだから勧めている。
それだけじゃない。人生をもっと有意義にすごせる。将来に孤独や不安を感じなくて済む。いつか必ず、自分の手で夢が叶う。衣食住の心配も、一切なくなる。
賢いナンシーを選べば、聡明な参謀が味方につく。明るいケリーを選べば、ユーモアたっぷりな相棒ができる。優しいヘレンを選べば、思いやり深く大事にされる。
ただしオレは、リオもリビングデッドになってほしいとは思っていない。オレはまだ人間性を失ってないんだ。だからオレのことを、ゾンビと呼ぶんじゃない!
ちなみにオレのおすすめは、ヘレン型だ。




