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注:オレは人のココロを操るゾンビですが、人体に有害でも無害でもありません  作者: 私物
第一章 消息代理人という旅人は、真逆で矛盾にできている
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「ゾンビじゃないゾンビをゾンビと呼ばないでほしい話」

「私たちは、不必要なものだけが必需品である時代に生きている。」

 ――オスカー・ワイルド

 リビングデッドを一括(ひとくくり)にゾンビと呼ぶ人も多いが、これだけはハッキリと言っておきたい。いくら何でも、オレをゾンビ呼ばわりするのは大変遺憾(いかん)だ。オレには米沢牛という、立派な仮名があるんだ!


 ゾンビとは何か? ()(てい)に言えば、「人間性を失ったリビングデッド」のことだ。


 そもそも人間性とは何か? 乱暴に説明しよう。他人の人間性を踏み(にじ)る奴には、すでに人間性がないと言える。見分けるだけなら、わりと簡単だ。


 例えば、会うたび、会うたび、「健康にいいから」と、お酢を勧めてくる相手がいたとしよう。「いや、自分には合わないから」とゲンナリしながらお断りしても、「そうおっしゃらないで! 良かれと思って勧めることですよ」と言われ、また会うたび、会うたび、お酢を勧められる。だとしたら、そいつは間違いなくゾンビだ。諦めるしかない。


 ちなみに今の話で「お酢」を「寄生虫」に置き換えれば、この世界に数十億と彷徨(さまよ)っているゾンビが、常日頃、良かれと思って周りに勧めているものに早変わりする。


 いや……別にこれは笑い話じゃない。

 ゾンビは全員、良かれと思って勧めている。身体にいいことだから勧めている。

 それだけじゃない。人生をもっと有意義にすごせる。将来に孤独や不安を感じなくて済む。いつか必ず、自分の手で夢が叶う。衣食住の心配も、一切なくなる。

 賢いナンシーを選べば、聡明(そうめい)な参謀が味方につく。明るいケリーを選べば、ユーモアたっぷりな相棒ができる。優しいヘレンを選べば、思いやり深く大事にされる。


 ただしオレは、リオもリビングデッドになってほしいとは思っていない。オレはまだ人間性を失ってないんだ。だからオレのことを、ゾンビと呼ぶんじゃない!


 ちなみにオレのおすすめは、ヘレン型だ。

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