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HERCURES  作者: らんぼー
その名はHERCURES
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3/3

赤髪の女

主戦場となる街を離れ、裏路地から自陣へと向かっていた。


「...裏切り成立してるから捕虜ボーナスはナシか」

「今の御時世野良ばっかですぐ裏切っちゃうし捕虜で稼ぐのはナンセンスっしょ」

「殺してもバレるってんならこうするしかないだろ」

「まー確かに。 ってか互いに得ないことわかったんだし拘束解いてくれよー」

「それもそうだな」


キネルの拘束具に手をかけ、今日は何を食おうかと考えていた時だった。


…ッ!



キィイイ…ンッ!…



反射的に体が反応した。甲高い金属音があたりに響き渡る。

それは上からきた。フードを被った見覚えのある兵士。弾倉を落とした兵士である。狙撃銃背負ってるし間違いない。

そのいかにも使い込まれていないほぼ新品とも見受けられるナイフと俺のブレードがキリキリと鳴っている。


「くっ…!」


火花と共に勢い良く俺から離れる。コイツは近接に関して素人のようだ。さっきまで同じ仲間だったやつが何やってんだ?

とりあえずコイツも拘束しよう。


「っだあああああ!!」


刃をこちらに向け、突っ込んでくる。右に避け、手首を掴んだ


「あっ」


手首を軸に体を入れ替え、相手の背中を取る。そのまま敵の体を自分の背中に乗せ、大きく振りかぶった。



ドッ


鈍い音とともにその狙撃兵を地面に叩きつけた。すかさず拘束する。


「何してんの」


フードの下が明らかになった。綺麗な赤髪。コイツ女だったのか



「ぐっ…! キネル!あんた何で見てるだけなのよ!」


女は腕を拘束された男を睨む


「ん〜、助けようにも何もできないし?」

「…お前ら仲間なのか?」

「効率的に稼ぐための仲間…ってやつ?」

「なるほど」

「とりあえずソイツ離してやってくんね?」

「それはできない。まずは武器を捨てさせてからだ」


腕を踏みつけている足に力を込める。


「ぐッ…!」


女は力なく凶器を手放した。すかさず回収する。

少しずつ力を緩めると、女は勢い良く離れた。


「っふぅ… もうっ!

戦闘終わってるんだからここで争ってもお互いに得はないでしょう!?」

「お前らが仲間とわかった以上、なんとなく身に危険を感じた。てか先に襲いかかってきたのはお前だ。」

「私達も野良よ!稼ぐための仲間ってだけ!」

「あーつまりアレか?MC(共同稼体)ってやつか?」


"戦争"と一般的に言われる戦闘以外での殺害ではPPは手に入らず、ただの殺人となってしまい、SOPがある以上必ず身元がバレて警察に捕まってしまう。中にはSOPがない兵士だけで構成された暗殺専門の部隊もこの世界の何処かにいるようだが。

企業、国などの大きな組織が別の組織に戦争を仕掛ける場合、MEEDが仲介役となり受理されれば「戦争」になる。基本的に理由は何でも良い。利益のためでも、個人的な恨みでも戦争は起きる。ここで自分ら兵士が雇われるわけだ。組織専属の兵もいれば、自分らのような野良兵もいる。その野良兵の中で効率的に稼ぐため、組織を構成している共同稼体、一般的にMC(Make Community)と呼ばれている組織もある。コイツらはそれのようだ。


「そう。俺らは『HERCURES』ってモンだ。いつでも仲間は募集してる。」

「ねぇ、もし良ければだけど、私達の仲間にならない? アンタ強いし。」


HERCURES…!

確か100人ぐらいで構成されていて、世界中にメンバーもいてなかなか稼いでるって話だ。俺が知ってるんだから相当有名だぞ…!


「そんな大手がこんな簡単にスカウトしていいのか?」

「元々私達はアンタを探しにこの戦闘に参加したのよ」

「紅い目に銀髪。君が『ユーリ・カーマイン』だろ?」

「キニーナにスゴい奴がいるって、私らのリーダーの命令でね。もちろん無理やり連れてこいとは言われてないから、安心して。」


HERCURESのリーダーは俺を知っている…ってことか?

いや考えなくてもこんなチャンスはめったにないってことはわかる…!


「妹も…連れて行って大丈夫だろうか?」

「ああ、それも聞いてるから問題ない」


やった…!これでノアにまともな暮らしをさせてやれる…!


「よろしく…頼む。」

「よろしく、キネル・ハワードだ。」

「イリア・ハート。よろしく。」


人と握手するなんて何年ぶりだろうか。妹以外とこんなに会話したのも久しぶりだ。今日はいろいろありすぎた。

裏路地を抜け、キニーナをあとにすると、一台のトレーラーが停まっていた。後ろの座席を開け、乗り込むと運転席に座っている男がこちらを向いた。


「よぉ兄弟」


自分のことを『兄弟』と馴れ馴れしく呼び、ガタイのいい男。

リックだった。


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