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HERCURES  作者: らんぼー
その名はHERCURES
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プロローグ


――今日も暑いな。

兵士輸送車にゆられていると、向かいに座っているガタイの良い男が俺に話しかけてくる。


「なぁお前、どこから来たんだ?」

「......?」


最初何を言っているのか分からなかった。


「なんだよ、聞こえなかったのか? もう一回言うぞ。名前は?」

「......ユーリ」

「ユーリっていうのか! 俺はリック。これから一緒に戦うんだろ? 仲良くしようぜ」

「......」


あーこのパターン。本当にめんどくさい。この戦いが終わったらすぐに別れるというのに。

なんで親しくしてくるんだ、別れが惜しくなるだけだろう?


愉快そうに話す大男の話を適当にあしらっていると、戦場が近くなってきたらしい。銃声や悲鳴が聞こえてくる。

周りの兵士が準備をし始めたので俺も仕方なく持ち物の確認をし始める。



「お前すげえなぁ!結構つぎこんでんじゃねえか!」

「こいつとハンドガン、ブレードは自前――」

ってこいつもなかなかだな。デカイのが好きなのか?

リックの腰には数十個の弾頭と二個のグレネード、背中に軽機関銃とRPG-7を背負っていた。いや絶対重いだろ。


俺はというと、自前のハンドガン一丁とブレード。

そして自分なりにカスタムした自動小銃(アサルトライフル)。


「ほぉー。なかなか手入れしてるな、イイねェ」

「こんなの普通に稼いでいればすぐに手に入る」


7年前に始まったこの戦争は、もう正直、どの国も何のために戦ってるのかわからないというひどい状態だ。

ならこの兵士達は何のために戦っているのか。

答えは、金だ。最初に言っていた通り、この戦争に参加する兵士たちはみんな金のためにここにいる。

戦いで成果を上げれば上げるほど、今では一般的となっている世界共通の電子通貨、PP(パーソナリティ・ポイント)が支給される。この銃はPPをつぎ込んで改良を重ねていった、言わば愛銃だ。

人々はこのPPを消費して生きるための食料や、服、武器や兵士などを購入する。そしてPPを通して経済は成り立っている。

戦争によって社会は成り立っているのだ。


戦争は変わった。


2037年に起きた第三次世界大戦以降、各地で紛争や戦争が絶えない時代となり、PMC(民間軍事会社)が急速に台頭。

無人兵器「ドローン」の開発競争やSOPチップによって制御された兵士、武器、兵器、戦場の制御管理を行う。「SOPシステム」の確立を背景として合理的な戦争経済が成立し、戦争はビジネスへと変わっていったのだ。

SOPシステムとは、すべての人間、兵器などに埋め込まれたICチップによって、MEED(SOPシステムを開発、この仕組を世界に広めた組織。今ではこの世界の中枢となってしまっている。)がその人間の感情、行動を抑止し、戦争をスムーズに遂行させるためのシステムである。

ID登録された兵士は、ID登録された銃、兵器を使い戦争に臨んでいる。そしてその兵士たちは仲間が死んだり、目の前で家族が殺されたりしてもこのシステムによって悲しむこともできず、ただ敵を撃ち続けている。

ただ悪いことだけではない。このSOPシステムは医療機関に関しては大きな恩恵を与えている。健康診断などをする必要などがなくなり、体に異常があればすぐにわかるようになっていた。SOPシステムは今ではこの世界にとってなくてはならないものとなっていた。

しかし、このシステムが非人道的だということで2040年に多くの国々が次々にMEEDを批判したが、医療機関、多くの軍がMEEDの弁護に回り、瞬く間に今の世界を作り上げてしまった。





車体の揺れはおさまり、やがてエンジン音も聞こえなくなった。

この車を運転していたであろう兵士がこちらに振り向き、『おりろ』と合図をしてくる。


「さーて、行くか兄弟」


本当に馴れ馴れしいなぁ 恥ずかしいからやめろ。

飢えた兵士たちは車を降り、戦場へと歩みを進めた。


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