ログ#27「挑戦②」
フブキの追跡ごっこに光学迷彩を使って遊びたいとスミリが言い出したが簡易の光学迷彩の起動では使用に難が有って…………。
「まずは軽く練習して感覚を掴む所からだ」
ヴァイスが2人のオーロラを切って説明に入るとスミリは戻った事にビクッとなるも素直に受け入れる。
「うわ、見えてる〜〜!
えっえーーー変な感じだぁ!!
ほっほーい!!
って、そんなことしてたら見失わないか?」
「まだ村の中にいる、安全が1番だ」
ヴァイスは言いながら両手の人差し指で四角形のジェスチャーを作る。
「お!?
私にくれたダブレッターン?魔道具って奴だな!
今部屋にあるけど?」
「ダブレッターンって、いやいや常に持ってろよ。
はぁ、今度持ち運べるようにボルダーでも作るかな」
「えーーやった!?
わーい!!」
「だから練習はするぞ。
スミリに回したタブレットの情報の大元はこっちで集計管理してるものだからな、こっち側で把握出来るんだ。
言ってなかったか?
まぁ目標は速度からいって馬車で移動してる」
「目標とか、なんか捜査みたいだな」
「茶化すな」
「危っ!?」
「おっと大丈夫か」
「スベっちゃった、ありがとうな」
「先が思い遣られる」
「えへへへ〜照れるな〜」
「照れるな」
道すがらオーロラの出力を下げた状態で移動訓練をする。
スミリの運動神経にヴァイスは木々を跳んで移動する種族は違うな〜と改めて実感させた。
「出力を通常にするぞ」
「むっふん!
どんと来い!!」
◇◇◇
「私、上が良い♪」
「上が良い?」
そう言ってスミリは壁を走り屋根を翔ける。
「これは二手に分かれる必要があるのか?」
(気分とかなんだろうな〜)
考えるのを諦めたヴァイスが平地から追い駆ける。
ヴァイスの瞳には光学迷彩化されたスミリの姿形がハッキリと視認出来ている。
エンハンスドされた肉体且つ同じ装備のガントレット部位の左右だった事も起因して目視でもヴァイスにはスミリを見失う理由は無かった。
「追い越すな」
「うわっ、びっくりした!?」
「先回りにしても行き過ぎだ」
「楽しくてな。
ついつい、てへっ!」
「……、目視でフブキを捉えたか?」
「おおう、変な感じだけど見えてる!
………おおおおおおおおう!!
見えてるーー!!
改めて、こう私は透明なのに見えてるのって凄いんだな!!!
凄〜〜い」
立ち止まった事で全身を包むオーロラ状態からの視界に興奮が遅れてスミリを昂ぶられせる。
「声、声!!
ボリューム下げろ!」
「その声が大きいぞ!
はっはーん!!」
笑うスミリにヴァイスは頭に手をやり呆れるしかなかった。
「これは………おつかい、かな?」
「馬車で待機している使用人達に1人で店にいる、お坊ちゃん。
初めての買い物って奴だろうな」
「遠いし何言ってるのか、さっぱりさんさんだな」
(映像の音声ONにすれば何を言ってるか分かるんだが、そういう事じゃないんだろうな)
「こほん、‥‥‥え〜と 〝だから売れと言ってるんだ。
ですから田舎なもんで売り買いしてないんだってば!
だったら良い値で買うっ、どうだ!
んなら100パルルでどっすか?
高いわ!!
ただのリンゴに100はボッタクリだろうが!
そっちが買いたいとか言うからでしょ。
嫌なら帰ってくれんかな。
ぐぬぬぬぬぬぬぬっぬ。
分かった、……100パルルだ。
まいどあり〜
ぐすん、お小遣いがぁ〜!!
二度と来るかぁーーーーーー!!〟 だとさ」
「ほへぇ〜フブキの声だった………。」
感心と驚愕から普段のスミリには無い大人しい様子で本心から漏れた言葉は次には爆発する。
「えーーー!!??
どうなってるんだ!
どうやったんだよ!!
教えろヴァイス!!」
「読唇術だ。
声を変えたのは特技と言うよりは体の機能だな。
素で出来る奴もいるが……。」
「ほへ?」
「やめろ、やめろ。
喉痛めるぞって……ここまでだな」
「なんで!?」
「雨が降る。この惑星、魔力のおかげで天気も急激に変化するから気象衛星も予報予測も意味を成さない。」
「それとなんで終わりになるんだおぉ〜!?」
「雨は水だろ」
「あっ、濡れるからだ!?
故障するからだな!!」
「う〜ん、違う。
濡れても問題はない。
水中に長時間、浸かったら壊れるかも知れないが今回は違う。
雨が降ると周りの背景と………面倒臭い。
ざっくり言うと壊れるからだ。」
『違います』
「良いんだよ、言っても分かんないんだから
はい中止!
室内で脱げよ」
「今度、詳しく教えろよヴァイスゥ!!」
「分かった。分かったから追跡ごっこは終わりだ」
「ほほう。
追跡ごっことな?
何処からの視線と声が聞こえてはいたがこんな事をしていたとわなぁ!」
「フブキぃ!?
ち、違うぞ!
これは違うんだ!!
私がだな!」
「何が違うってぇ〜??
ヴァイス貴様ぁーーーー此処で会ったがウンン!?」
「ヴァイスは今日も容赦ないな」
「気絶させた。
コイツの使用人に引き渡してくる。」
「だっ大丈夫か?」
「石に転げて道端で失神してましたよ〜とでも言えば問題ないだろ」
「え〜〜〜、流石にコイツもそこまでマヌケでは無きにしも有らずなのか?」
「知らん」
背中を摘まれ猫のように担がれた伸びたフブキは無事に老執事の待つ馬車に送り届けられた。




