ログ#9「紹介」
この惑星の文明にそった服装を着込んだヴァイス。
勿論中にはアンダースーツを着ているのだがスミリの父親トミーの計らいで客間からヴァイスの部屋を用意される。
その際、庭を借りたいと申し出ると屋敷の真ん中にある庭園を貸してくれる事になりヴァイスは庭園の使っていない場所を提案する。
それでも壊れないようにトミー達と大事な物や必要そうな物を退けたりと掃除して、ついに宇宙艇を設置した。
「帝国の最新の家は移動出来るんだね」
「帝国っ!?
そ、そう……い、いえ、そんなことは有っりませんよ〜」
「そうなの?」
「これは個人的に開発した物で市場なんかには出回ってません(汗汗汗)」
「残念だぁ〜」
「はっはい。
量産出来るようになったらトミーさんにもお譲りに出来たらな〜なんて……はははは。
出来ないと思いますけど。」
即座にギバーリンク・モードでNSと連絡を開始する。
『ちょくちょく出てくる帝国に付いて調査開始だ。
ボロが出そうだ』
『かしこまりました。
捜索範囲を拡大します。
偵察機を──』
『まて!
一様は彼らが家に入ってからだ。
魔法があるんだぞ』
『分かりました。
では。』
『あぁ』
「おい遅いぞヴァイス!!
何をやってるんだ。
待ちくたびれた、ほら行くぞ!」
「お前はデート前の彼女を待つ彼氏か!
………コホン……では行ってきます。」
「うんーーー行っといで!!」
ここは庭園、玄関では無いが見送るトミーは感動で大粒の涙を流して手を振った。
その姿にヴァイスは〝あの人、大丈夫か〟と柄にもなく心配したという。
◇◇◇
グロウ族の村。
隠れ里の広場にヴァイスがいた。
スミリと同年代から誤差はあれど上から下に小さな子供も彼を物珍しいように見る。
「彼らは私の作った自警団のメンバーだ!」
「よく言うぜリーダー!
シラヌイの事、覚えて無かったんだろ」
「そっ、それは………仕方ない!!」
「俺は覚えられて無かった…………。
ヴァイス…さん……よろしく。
改めてシラヌイだ、、です。
くすん」
「あ、あぁ。
よろしく」
「俺はゴンズイだ。
副リーダーやってる、よろしくな。
………お嬢を頼むな。
無茶するから!」
短髪の槍を持った男が小声で最後に言うと握手する。
「僕はキブシ、影薄いって思ってたけどシラヌイに勝てて嬉しいんだ。
仲良くしてね」
自身の無さが表情に出ているがシラヌイに合の手のようにツッコミが入り笑いが起こる。
「チガヤ、よろしくね」
短い自己紹介だけして、その女性は去っていった。
「私達は双子、こっちがニガナで。」
「こっちがトベラ。」
色違いの服装の双子の少女が交互に挨拶をする。
「貴方がヴァイスね」
「確かに逞しい?」
「シラヌイに勝つのも頷ける」
「勝ったの?」
「そうだぞ!
バァンとやってペペンでベベンだった。」
スミリが入って説明するが要領を得ない。
「副リーダーその2、俺はシランだ。
スミリやゴンズイがやらない組織運営をやってる。
宜しく。
後ろにいるのは妹のエビネだ。
スミリの親友だから手は出すなよ。
出しても私が君に制裁を出すけどね」
ゴーグルをしていて日に焼けた小麦色の体格の良い青年だ。
「勿論だ、そんな気はない」
妹のエビネは会釈すると兄の後ろに隠れてしまう。
「ではワタクシの番ね。
この自警団のスポンサーのユーリよ。
スミリに変な事、したら……コ・ロ・ス・からね!!」
「心配ない。
私の旦那だ」
心の中でヴァイスは結婚とか旦那とかまだ了承してないんだが?と思ったが今は黙っていた。
「ユーリも親友だ。
ユーリは村長の孫娘で凄いんだ!」
「そんな事ありません!
スミリの方がもっと凄くてパワフルキュートだもの!!」
「えへへ!
ありがとうユーリ♪」
「いいえスミリ♪」
「あへへ、ユーリ♪
あっ、忘れてた。
んでこのオチビ達は順にウツギ、トラノオ、レンだ。」
下を見ると5・6〜10歳の子供がお辞儀したり遊んでたりとワチャチャしていて五月蝿い。
その子守をしているのは双子達等だったが1人、紹介されていない大人がいた。
目が合い、彼が口を開く。
「儂はこの自警団の御目付役兼子守り兼世界の究明の研究者をしているクチナシと言う者だ。
実を言うと、この御目付なんだが村の大人達からバイトとしてって話だったのに今じゃ大変大変で、変わってくれないか!?」
「………余所者の俺には無理だと思うが?
村の信用が無いからな。」
「そっそっか、そうだな。
また儂の研究が滞るぅぅぅぅう痛てて」
口を掴まれ引っ張られて話が終わり、彼はお馬さんごっこに突入していく。
涙目でバイバイして、子供のトラノオをバイバイと手を振る。
ヴァイスは振り返して体をスミリに戻す。
「自警団ってのは何してるんだ?」
「決まってるだろう!!
宝探しだ!」
「それはリーダーの趣味なだけだ。
村の戦士達じゃ手の足りない村の外の警備や村のあれこれを手伝ったり。
最近だと周辺からその先の町近くまでの見回りとかな!
帝国の貴族が此処を狙って、ちょっかい出して来てるってのに幹部連中は危険を危険だとも思ってない。
だからまぁ秘密の村長直轄部隊みたいなもんかな」
ゴンズイがスミリの言葉を訂正して活動内容を話す。
ヴァイスは子守りやらの手伝いをお願いされてる時点で秘密ではないよなと思った。
「ヴァイス、この流れは分かるな!」
期待に胸を張り、大いに膨らんでいる胸にスミリに言い放つ。
「分からないな。
だから帰っていいか?」
「ダメだーーー!!
それに私が自警団の活動中、どうするんだ?
離れられないんだぞぉ!!!」
「そうだった。」
この世の終わりのように頭に手をやるヴァイスとニヘリっと勝ち誇ったスミリ。
「紹介しよう!
期待の新入メンバー!
私の旦那でシラヌイ?に勝ったヴァイスだぁ!!!!
歓迎しようじゃないか!」
「歓迎しないでくれ、入りたくない!」
一同は村を練り歩く。
ヴァイス見たさにやってくる者から友好的な者や余所者を嫌う者、村の数少ない店で果物やお菓子を買って自警団のアジトらしいクチナシの自宅でパーティが始まった。
そこには帰っていたチガヤやクチナシも居り他のメンバーなのかも分からない人たちも居た。
やがて新人祝いに狩りに行こうとスミリが言い出しヴァイスは付き合うしか無かった。
その道中、長居する気が無かったにも関わらずこの村に住み着くには大人達には愛想良くしておくかと道行く人たちに挨拶をしたり人当たり良く振る舞った。
彼らも完全に拒絶するのでは無く対応もそれぞれで感触よく出来たなとヴァイスを安堵させた。
その中にこの村の幹部の部下や本人が居るのを知りながら……………………彼らは心内では騙されているとヴァイスを甘く見ては排除する手筈を着々と進めていた。
門を出ると少しして鳥居が並びそこを抜けると景色が代わりヴァイスが墜落した森とは違う森を目指す。
「あの建造物も魔法なのか?」
ヴァイスの問にウツギが答える。
「村を他の人や動物から隠すために造られた魔法の門だってさ。
詳しくは誰も知らないけど子供の頃からそう聞かされてるんだ」
「ヴァイスは魔法に興味があるの?
だったらクチナシさんに聞いてみたら、クチナシはそう言う研究してるから」
キブシが言い、各々がヴァイスに質問したり逆に質問されたりと、そうこう話していると普段、グロウ族が使っている狩場に到着する。
「ヴァイス!
競争しないか?
どんなの狩れるか対決だ!
1番凄い奴を持ってきた奴が優勝な!」
「おい勝手に始めるな!!」
「スミリはいつもこんなもんさ!」
「ヴァイスは大変な奥さんを貰ったな!
まぁ頑張れよ!
じゃ俺達も行きますかッ!!」
全員が颯爽と森に消えていく。
木々の上を走り飛ぶように飛んでゆく姿は忍者やムササビのようで集合場所は此処なんだなと思いながらヴァイスは邪魔な草木を掻き分けて森に入っていく。
時刻は昼過ぎの事だ。




