ログ#6「隠里」
1話辺り約3千文字です。
たまに極端に増減している回もあります
雨の中、暫く飛行していたがスミリが雲の上が見てみたいと暴れ出し現在は晴れている場所を飛んでいた。
「しかし凄いな。
このバァイックンという奴は!!」
「バイクな」
「雲の上が晴れているなんてな。
気持ち良いなぁ〜
………でもさっきは早くて聞けなかったが何で雨に濡れなかったんだ」
「わかりやすく言うと魔法みたいなガード方法があるんだ」
「ヴァイス………お前は魔法が使えんとゆってたではないか。」
「…………知らん」
「それは無理があるぞ。
お前ウソ付くのヘタクソだな」
「うるせぇ。
叩き落とすぞ」
「ほぉ〜へぇ〜
落とすのか?
落ちたら離れてしまい、お前死ぬぞ?」
「………。」
「なんなら私が死んでも死ぬんだぞ」
「そうだった」
『少佐のこのような姿を見る日が来るとは。
長い付き合いですが感慨深いです。』
「やめてくれ。
ほらもう着くぞ!!」
「お〜〜本当だ!
早いな普通ならもっと掛かるのに!
へ〜上から見下ろすとこんな感じなのかぁ」
「ヤバいな気付かれる。
カモフラージュしてから近場に下りる」
「広場に降りないのか?手っ取り早いだろう?」
「勘弁してくれ、っ!?」
降下していると飛来物がヴァイス達に素早く向かってくる。
「矢だな」
「回避するぞ。
何故バレたんだ………。」
大きく旋回しようとして突如として爆発、白煙が空中に広がった。
◇◇◇
手を翳す事なくバリアーで爆風から守り、パッとバイクを瞬時に収納、スミリを抱えて落下を加速させる。
村周辺の茂みにフワッと下りる。
「怪我ないか」
「あ、ああ。
おっ下ろしてくれぇ〜〜」
赤面しながらバタバタするスミリに地面に両足を付けて下ろす。
息を整え落ち着かせようとするがヴァイスが、それを遮る。
「直ぐ後ろに隠れろ」
「何をッ──!?」
高速の矢が地面に刺さる。
庇うように後ろに追いやられ少し転けそうになる。
そこに素早い速度でやってきた青年が現れた。
走って跳んできたのか着地すると弓矢を背に預けると剣を抜く。
「見つけた……ぜ。」
「誰だテメェ、あぁん!
あの矢も、お前だなア"ァ"!!」
「ガラが悪いぞ!?
いきなりどうしたヴァイス!」
「こういうのは威嚇が必要なんだよ」
スミリの方を見て言ってから背中に手を伸ばして銃を取り出そうとして止めると前転して剣撃を避ける。
「なんだソレ?
凄ぇ〜な。
でもやってる事は頂けねぇ〜よな」
「はぁ?
なんなんだ、この星は……。
まったく、シッ!」
前転した事で泥だらけの低姿勢から駆ける。
手刀で倒そうとした瞬間、青年の構える剣が発光すると刀身に魔法陣が出現した。
「ちっ、また魔法かぁ!」
「あれは………。」
アゴに手を当てるスミリと魔法の攻撃の回避に切り替えたヴァイス。
刀身が淡く光り、切れ味が増した剣でヴァイスが避けた事で岩や木々を斬り倒していく青年。
微かにヴァイスの上着に傷を付けた。
雨は尚、強く振り注ぎ隠れ里のスミリを捜索する声を掻き消していた。
◇◇◇
ヴァイスはこの文明の服装を持っていない。
そのためアンダースーツの上に戦闘用の簡素な上下を着ていた。
その服装が泥だらけに成りながら未知の攻撃の回避に専念している。
隙を見て一発ダウンを狙ってみるが、その隙が見当たらずヴァイスは殺すかをそろそろ真剣に検討を始めるた。
「なかなかヤるな。
でも‥‥‥もう終わりだぁ……ぜ!!!」
「ヴァーーーーイス!!!!!」
腹部の上着が斬られ雨風に生地が舞う。
「なにぃ!?」
掴まれた剣を動かそうとしてガタガタと刀身と鍔、柄の金属と金属が当たる音をさせる。
「捕まえたぞ。
手こずらせやがって!!」
そのままエンハンスドされた腕力で刀身を握り潰し折る。
「そんなのありかよ」
「ありだ。
まさか上着を切られるとは思わなかったよ」
折れた半分の剣が落ちて泥濘んだ地面に刺さる。
拳を作りアッパーをしようとしてスミリが大声を出して止めて振り返る。
「あーーーーーーーー!!!」
「うるせぇ」
近付いてきたスミリが青年の前に立つ。
青年の方はヴァイスに負けた事を認めていたのか柄から半分しかない刀身の剣を手放し両手を上げていたがスミリが近付いた事で下げようとして思いっきり殴られる。
その事に遅れて気付いたのか頭を抑えながら、えっ?えっ?え?とスミリやヴァイスを見やる。
「お前は隣村か何処かの男衆だろう?
あの矢はお前だな」
「いや…………えっ?
ガキの頃からスミリの近所に住んでるシラヌイだけど」
「…………誰だ」
「…………知らないのか?
どう見ても同年代だろ?
同じ村なら顔見知りだろが」
「いや〜分からんな。
ハッハハハハハハハハ!」
「笑ってる場合か。
シラヌイ、お前はスミリを助けに来たって事だな」
「そんなんだけど。
俺ってそんなに影薄いかな」
「知らん」
「なんなんだコイツらは………。」
「でも良かった。
スミリが帰って来ないってんでスミリの両親が騒ぎ出してさ。
皆で探してたんだ。
まぁ覚えられてないとは思わなかったけど………。」
消沈気味のシラヌイは折れた剣を、それぞれ拾い集めながら続ける。
「なんでもスミリにしか使えない一子相伝の魔法の発動を確認したとかで何でも」
「ばっ!!あーーーあーーーあーーーーー!!!」
「うるせぇ〜な」
「シラヌイとか言ったな、覚えてろよ」
「良かったじゃないか」
「これは違くないかぁ〜」
スミリに引っ張られてヴァイスはグロウ族の隠れ里へと踵を返した。
その後をトボトボと付いて行くシラヌイの姿もあった。
天気は晴れて青空が顔を覗かせ始めていた時刻は夕方になっていた。
◇◇◇
雲間を見上げたヴァイスが視線を戻して前腕部分にあるデバイスを操作してからスミリ達の会話に耳を傾ける。
「昔、遊んだ事あった気がしてきた気がする。」
「それはあるけど……やっぱ覚えてないんだな………。」
「あぁ、覚えてない!」
「そんなハッキリと………。
なら……あっ!
でもやっぱ凄ぇ〜よヴァイス!」
「ん、呼び捨てか」
「イヤだったか?
なら渾名でも。」
「いや、もう慣れた。
好きにしてくれ」
「そっか。
けどさヴァイスは魔法の剣と戦うのは始めてか?」
答えるか迷ったがヴァイスが口を開こうとしてスミリがそれを遮る。
「思い出した!」
「本当か!!
やっぱ忘れるなんて有り得ないよな。
嬉しいよスミリ!」
「その剣!
前回の定期行商の時の品にあったな。
買うか悩んだんだ!」
「「そっちかよ!!」」
ヴァイスとシラヌイの声が重なり響く。
そこに2人の男女が駆け付ける。
スミリも見るや否や走り抱きしめた。
女は涙を流しスミリの安全を確かめた安堵の表情も見せる。
男はその後ろで腕組みをしているだけだが衣服の袖や足元が汚れている。
スミリを探して泥が付着した証拠だった。
「母様!
父様!」
抱きしめ返して嬉しさの余り泣き出してしまうスミリ、そのスミリの左手の甲を見た父親が静かに口を開いた。
「その手の痕、やはり。
彼がそうなんだなスミリ」
「あぁ、そうだ父様!母様!
ヴァイスはなんか、その凄くて凄い凄いぞ!!!!!!」
その一言に両親は納得しシラヌイも慣れているのかリアクションを見せずヴァイスだけがスミリのテキトーとも大雑把とも取れる物言い、スミリの大味に付いて行けず頭を悩ませ始めた。
(なんて内容の無い報告だ。
まるで知性を感じさせない。
村の一同で探し出すのも尋常じゃないが、それを物ともしない能天気さ。
たがその能天気に助けられたのも事実か……。
しかもシラヌイの言いかけた言葉といい何かを意図的に伏せられているのも確かだな。)
「では我が家に案内します。
ヴァイス殿。」
深くお辞儀をした父親と母親の対応に少しの戸惑いを覚えながらヴァイスも軽くお辞儀をする。
「うむ、ヴァイスは驚くだろうな」
「ああ、驚くだろうな。
アンタに会ってから驚きっぱなしだ。」
「嬉しい事を言ってくれるじゃないか!!」
「褒めてない褒めてない。」
そんなヴァイスを置いてけぼりに父親達がヴァイスを集落に案内する。
霧を抜けてゆくと鳥居に似た建造物を数回潜って行くと門が見えてくる。
村人達に見られながら入っていくが睨むような視線、余所者を見る目。
警戒やスミリ一家と共にいるのが気に入らない感情等々、それらを一身に受けながらどこ吹く風のヴァイスは集落の奥にある豪邸に招かれた。
専門用語、今回出てきてないので次話は通常話の更新となります。
(文字が少ないと投稿出来ないため、その場合含めて、まとめて次回のアーカイブスに繰り越しされます)




