第39魚 12月29日~12月31日③
今週の平日の投稿はこれだけになります。
次話は土曜日9時と18時に計2話落としたいとひそかに考えています。
実行できるかは未だ謎ですが。
19時00分
夕食を済ませのんびりと風呂に浸かりながら突発で発生した陽華さんとのリアルなイベントについて考えていた。なんだかんだで陽華さんと一緒にゲームをプレイしていたということをかみ締めていたのだ。
まさかハヅキという美少女に続いて陽華さんという美人さんと出会えるとは思っていなかった。(俺の意識内においてメリルは発言などから残念系美少女ということで落ち着いている)
「意図せずして女の知り合いが増えているが俺の許容量を超えないか心配だ」
…実は俺はあまり女性と話すのは得意ではない。ハヅキやメリルはゲームと割り切っているので何とか話せるが現実で会うとなればおそらくパニックになっているだろう(なに?一度はハヅキをデートに誘っておいてそれは無いだろう…だと?アレは本心でもあるが社交辞令でもあるのだよ)
陽華さんに関しては付き合いがそれなりに長いから話せるようになっただけだから問題にはしないぞ。
「さて、そろそろ陽華さんとの後半戦の時間だしあがるか」
ちなみに陽華さんは20時ごろまで店の手伝いの為終わったらメッセージをくれるはずなので一足先にログインして準備をしておこうと思う。
20時15分
30分ほど前にログインしていたヒロは露店を回りながらアイテムを揃えていく。
お金がどうなっているか…だと?そんなものは南フィールドの素材を適当に売ればいくらでも稼げるじゃないか。ぶっちゃけ攻略組の売りに出す素材よりも高品質なのだからな。
念には念をということで回復アイテムを補充しハヅキやメリルの露店にも顔を出しておく。
ハヅキは今日の今日?で顔を合わしてくれなかったので仕方なくメリルの店へ向うのだった。
『いらっしゃい。今日は何が必要なのかしら?』
「うぃっす。メリル。今日と明日は北の大河の探索を視野に入れてるから体力と精神力補正つきの料理が良いんだがあるか?」
『ちょっとまちなさい。探してみるわ……これならどうかしら?あなたが取ってきたマグロやサメを使った海鮮丼よ』
新鮮な海の幸丼:豪華な海の食材を使った美味な丼。一度食べれば病み付きになること間違いなし!
効果:30分間体力+100、精神力+80、水魔法耐性+10%
「おぉ?凄いの作ったんだな。これをそうだな明日の分も合わせて10個ほどくれ」
『はいはい。ってあら?ごめんなさい在庫は6個しか無いわ。それ以上欲しいなら素材を取ってきてくれたら作るわよ?』
「あ~、じゃあ6個でいいわ。素材はそうだな…明日は半日つぶれるから無理っぽいし明後日…はダゴンのとこ行く予定だし暫く厳しそうだな」
『そう、しょうがないわね。じゃあこれ海鮮丼6個ね。あとこれもおまけにつけてあげるわ』
そういって一緒に出されたのはジェリープリンというものだった。
ジェリープリン:ジュエリーフィッシュの体から作られたプリン。牛乳を使っていないのにプリンというのはおこがましいが反論は受け付けない! 効果:30分の間1分ごとに体力、精神力を1%ずつ回復
「これはまた……面白そうなもん作ったなぁ~。品質の高いクラゲ持ってきたらもっと良い効果のものできるのか?」
『ん~素材自体は今のでも良いんだけどね、付け合わせの材料と私の調理スキルが追いついていない感じなのよね。この問題が解決すればもう少し効果が上がると思うわ』
「なるほど。まあサンキューな持久戦になりそうなときに使えそうだな」
『あと…毒料理とかもあるけど試してもらえないかしら?今なら毒消しもつけるわよ?』
「謹んで辞退させていただきます…てか毒消しあるなら自分で試せよ!」
『イヤよ?どうして私がそんな事をしなくちゃいけないのよ?こういったことは男の仕事でしょ!』
「な、なんて横暴な!…あぁ!!いいことを思いついたぞ。クラウドたちにやらせようぜ」
『クラウド?…あぁヒロの知り合いだったわね。それなら問題ないわね』
こうしてクラウドへ向い影でこっそり魔の手が伸びていたのだった。
料理の購入を済ませ毒を食わせる計画について話しているとフレアからの連絡が入ってきたので話し合いを切り上げたのだった。
20時40分
『ヒロさんごめんなさいね。お店が忙しくっておそくなっちゃったわ』
「いやいや、気にしなくていいっすよ。こっちも準備に時間かかっていたので」
フレアと合流し時間も推しているのでヒロ達はすぐにウッドデックを経て北へ向い行動する。
道中のモンスターとの戦いはヒロが2割フレアがすばらしい立ち回りで8割ほど倒していく形となった。
「もしかして俺要らないんじゃないっすか?」
『そんなこと無いわ?行動中にお喋りができる相手がいるって良いと思うわよ』
「まあいいっすけど……おぉ?大河エリアが見えてきたな」
ここに来るまでに通産20回ほどの戦闘があったが先に述べたとおりフレアが殲滅して行ったのだが
回数をこなすごとに無駄がなくなっていると思うんだ。
流石に大河に着いたらヒロはいい所見せておかないと面目的な問題でヤバイかもしれないと思った。
「フレアさん、ここに来るまでに何度も戦闘しましたけどスキルレベルはどのくらいになりましたか?
合計LVで教えてください」
『スキルレベルの合計は32だけどそれがどうかしたのかしら?』
もちろんヒロがこう聞いたのはデスペナが発生するか否かを判断する為だがフレアはボーダーラインを超えていたので発生することがわかりデスペナルティについて説明をした。
『なるほどね。じゃあここからが私の本気の見せ所ってことね!がんがん行くわよ~』
「まじっすか。一応回復アイテムを渡しておきますので危険になったら使ってくださいね」
『ありがとう』
その後大河周辺に出る熊や狼の様なモンスターの戦いを見物し問題が無いようなので俺は少し考えていたことを実行することにした。
「フレアさん。ちょっと暇なんで俺もこの大河の探索してきてもいいっすかね?」
『あ、うん良いわよ。ごめんなさいね私のことに付き合せちゃって』
「いやいや、ここに来ようと言いだしたのは俺なんですからフレアさんは悪くないっすよ。なので俺のほうこそ勝手で申し訳ないと謝る所だと思います」
『ところで聞きたいんだけどヒロさんは水中特化なのよね?私の種族特性で空と海での補正は書いてたけど水中は含まれるのかしら?』
「対応スキルを持っていれば多分大丈夫とは思いますけど種族補正って検証されてなくてちゃんと働くか分かりませんよ?」
『そっかぁ。じゃあためしに私も水中に入ってみるわ。ダメだったら地上に戻るから』
こうしてフレアさんも一緒に水中に入ったのだがやはりスキルがなかったため30秒も持たず陸に上がることになった。水中に適応するスキルなしの場合体力の消耗が激しいのですぐに分かった。
こういうことがあり地上ではフレアさんがドロップ素材集め、ヒロが水中で探索や戦闘をすることになった。
「やっぱ水中での行動はいろんな意味で楽だな…っといきなり敵発見!倒すとしますかね」
ヘイケキャンサー 甲殻類
体力 720
精神力200
攻撃力90
ドロップアイテム:淡水蟹の甲殻・淡水蟹の卵・淡水蟹の足肉
「やっぱ東の海岸とほぼ同じくらいか?攻撃力は少し高いようだが俺にとっては同じことだ」
新調した槍でサックリと刺して見たところ硬い甲羅部分(のはずの場所)ですらあっさり貫通してしまった。…さすがハヅキだな。まあ。サハギンの槍でも一撃だけどな。
その後はナマズのようなモンスターにも遭遇したのだがカニと同じく槍で死ぬことになった。
ホウジョウナマズ 魚類
体力 830
精神力 250
攻撃力 100
ドロップアイテム:ナマズのひげ・ナマズの魚肉
と見ての通りいい素材なんて無かった。
とはいえ暇だったので数だけは倒したのだが熟練度は何一つ上がらなかったのはご愛嬌だ。
この様子なら明日も余裕そうだと安心したヒロは地上に上がるとそこでは巨大な馬のようなモンスターと戦うフレアの姿があった。
フレアside
ヒロさんが大河に潜ってから暫く周辺のモンスターと戦っていると徐々に嫌な気配を感じることができるようになった。これは多分【気配察知】のスキルの効果だと思う。
その嫌な気配はこちらへまっすぐ進んできているところを察するにターゲットは私なんだろうと予想が付きました。
何とかソレが近づくまでに戦闘中だった熊を倒し素材を回収しヒロさんから貰った回復アイテムと料理を使用してソレが来るのを待ち構えました。
『ヒヒヒーン』
そんな嘶きと共に現れたのは大きな黒い馬のモンスター(以後 馬)。
私は鑑定スキルなどの敵の情報を知るスキルを持っていなかったため名前は分かりませんが一人で倒せるとは思えない程の気配を感じられました。
その馬は私を視界に収めると走行速度を更にあげ突進してきたのです。まだ相手が遠い所にいるから一発目は避けることができましたが二発目以降はどうなるか分かりませんので、私は攻撃することを選択したのです。今思えばどうして一人で戦い始めたのかよく分かりません。
風魔法と火魔法を使いましたが火魔法のほうが多少効果が高いとみた私は火魔法をメインに攻撃を重ねます。風魔法ももちろん使用しますがこれは牽制の意味で使用しました。
突進速度がのり切る前に足元へ風の〔エアカッター〕で牽制し瞬間的にひるませて火魔法を叩き込むということを繰り返しました。
当然精神力はすぐに尽きたのですがヒロさんから貰っていたプリン?で時間稼ぎをしながら回復を待ちギリギリ戦えているといった所です。
馬との戦闘が開始して15分ほど経過しそろそろマズイかもと思い始めた頃ヒロさんが大河から上がってきました。
ヒロさんは馬を見て驚いたようですがすぐに援護攻撃に入ってくれました。
後ほど彼から聞いたところ水辺で戦うのであれば能力を100%ではないが少しは発揮し戦えるとのこと
その後の展開は一方的でした。ヒロさんは水魔法や音魔法といったものをドンドン使用し5分も経たず馬を討伐してしまいました。…魔法より目立ってたのは槍の扱いなんですけどね。
…少しかっこよかったですけど、付き合うには彼は年下ですしどうしたらいいのかしら?
なんてね?冗談です。私はそんな軽い女じゃありませんよっ!
ヒロside
大河から上がった俺が見たのは一人で巨大な馬と戦うフレアの姿だった。
何で戦ってんの!?と思ったがすぐに俺は手助けに入らなくてはと思い直しすぐに馬を看破する。
ダークホース 魔獣類/徘徊型フィールドボス
体力 820/1300
精神力 650
攻撃力 130
ドロップアイテム:黒馬の肉・黒馬の鬣・黒馬の歯・黒馬の骨
単独討伐報酬:ウマトロな肉
…おぉっ!一人なのに体力結構減らしてるんだなぁ。とはいえフレアの様子を見る限りこのダメージ量が限界のようなので手早く片付けるべく魔法の詠唱を開始。使用魔法は【水鋼刃】と【騒音弾】だ。
騒音弾が馬に着弾し大きな音で怯ませ、そこに水鋼刃が追いつき斬り付ける。
怯みから治った馬がブルルルと顔を振った後俺をターゲットにして突進してきたのだが、水中でも無いのにそれなりに体が動いていることに気づき槍を取り出し迎え撃った。
突進の速度がのった巨体が俺の槍に突き刺さりに来てくれたのでかなりの大ダメージを与えることができフラついている。
水中戦だったらこのボスの体力くらい2回程で削り取れるんだけど仕方ないよな?
再度看破をした結果馬の体力は残り50となっており適当な一撃で倒せるので俺はフレアの手前少しでもかっこつけようとアーツを発動する。
「いくぜ!〔梵天槍〕!」
力をこめた一突きが馬に突き刺さり馬は素材の塊と化した。
「フレアさん大丈夫だったか?」
ヒロはそういいながら回復アイテムを渡した。
『うん。大丈夫よ。それであの馬って何だったの?』
「アレはフィールドボスだったな。一人で倒せばレア素材が手に入る。あの馬の場合は肉だったから調理スキルもちに渡せば加工してくれると思う」
『ああいうモンスターもいるんだね。ついつい驚いて戦っちゃったけど今の私じゃ勝てないわね』
「だなぁ。俺が来た時点で馬の体力65%くらい残ってたからな。でもフレアさんのことは凄いと思うぞ?一人であれだけ削れたなら攻略組に入ってもやって行けると思う」
『そ、そうかな?じゃあちょっとパーティ組んでくれる人探してみようかしら?」
「まあフレアさんなら容姿的にも実力敵にも引く手あまただと思うから大丈夫だな。
もし誰もいなかったら俺の友人のパーティに一時的に入っても良いと思うぞ。脳筋の群れだけど」
『ヒロさんの知り合いならひとまず安心できそうかな?……脳筋ってよく分からないけど悪いことじゃないわよね?』
「まあ物理攻撃をメインとする奴らの集まりって言えば分かりやすいだろうな。あと発言はおかしいかもしれないけど悪いヤツラじゃない」
『とりあえず暫くはその人たちにお願いしてみようかな?』
「なら明日そいつらとこの少し先のエリア探索するからその時にフレアさんの事を頼んでおくわ」
『うん。お願いします。色々あって疲れたし戻ろっか』
アーリルの街に戻ったヒロ達は素材の分配を済ませフレアの装備をフィルの店で見繕ったあと解散したのだった。明日以降時間があるときはフレアは大河エリアで鍛えると息巻いていたが少し心配だな。
クラウドたちにしっかり教育するようにいっておかないとな。




