第16魚 12月25日②
9時00分
食らえば死ぬという地獄から無事逃げ延びログアウトした洋は階下にいる母親に朝の挨拶を済ませ用意しておいてくれた朝ごはんを食べている。
俺が食事を始めて間もなく美雪ねぇも降りてきて一緒に食事を始めながら美雪ねぇは俺に質問を投げかけてきた。
『洋くん、フラグメントどこまで進んだの?』
「ん?ねぇちゃんがそんなこと聞いてどうすんのさ?」
俺は普通に質問の意味が理解できずに逆に聞き返す形になる。
『何でって私もやってるからに決まってるじゃない。何故私が洋くんに前にソフトを手に入れたか聞いたと思ってるのよ?』
興味本位だと思ってました。……そういえば先週までは美雪ねぇはバイトが忙しいといっていたのに
ここ数日ずっと部屋にいたっけな。おかしいと思ったらそういうことだったのか。
美雪ねぇはフラグメントのソフトと機械を購入する為にバイトを増やしていただけだったのだ。
「ねぇちゃんもやってたのかよ。まあそういうことなら別に話す事に問題は無いな~。
……でどこまで進んでいるかだっけ?俺は別にストーリーとかは全然進めて無いよ?ひたすら俺の目的に沿うスキルのLVをあげ続けてるだけだし。あとイベントには一応参加してるよ」
疑問が解けた所で俺は美雪ねぇからの質問の答えを返すと
『そっか。えっとたしか明日、空くんとアーリルで待ち合わせしてるんだよね?私もその時に顔合わせするからよろしくね。ところで洋くんのキャラクタ詳細教えてくれたりしないかな?』
「詳細ってスキルとかか?スキルに関してはねぇちゃんには悪いが秘密だな。ただ水場に特化しているとだけは言っても良い」
『ふんふん。じゃあ洋くんは陣営は海なんだね。そうなると奪陣武闘祭では私と敵同士ね』
……陣営?あぁそういえばそんなクエストがキャラ作った後に表示されてたっけ。わすれてたわ。
それに奪陣武闘祭ってなんだっけ?ぶっちゃけどうでも良いから抜けてたな。
「いや?俺は陣営には属して無いよ?属する気も無いからね。俺はゲームでやりたいことだけやってすごすんだ。他の人の争いに興味はないよ」
『へ?じゃあ洋くんはチュートリアルクエストの受注もして無いの?』
だからそういってるじゃないか。と言おうと思ったが頷くだけにとどめた。
『それだと洋くんはゲームの醍醐味の一つであるメインクエストの受注ができないわよ?』
「え゛?」
なんと美雪ねぇが言うにはいずれかの陣営に所属しないと町の中で発行されるメインクエストが受注できないというのだ。海の探索が終わったら適当にクエストを請けようと思っていた俺にはものすごい衝撃を与える内容である。
「受けられないのはメインクエストだけなんだったら、べ、別に良いさ。ストーリーに興味は無いしね」
『まあ洋くんがそれで良いなら良いんだけどね?もしどこかの陣営に所属する気ができたら【大地の陣営】に来ると良いわ。歓迎するからね』
美雪ねぇは大地の陣営所属なんだな。でもなぁおれ地面ってそんなに好きじゃないんだよな。
なんか響き的に……ね。
その後は美雪ねぇとイベントアイテムの話になり俺が集めたプレゼントボックスの種類を聞いて驚いていた。美雪ねぇたち通常のプレイヤーが倒しているフィールドのサンタは同じサンタでも名称が《ミニサンタ弱・中・強》と《サンタクロウズ》という鴉にサンタ服を着せたものが主流で落とされるドロップアイテムは全て通常のプレゼントボックスだという。上位の箱がほしいと町まで戻って交換するのが面倒だとぼやいていた。
『あとはそうねぇ。今日の午後に運営からイベント関連の発表があるからその内容次第かな?』
こういったことを話しながら二人して食べ終わった食器を洗いそれぞれの部屋に戻る。
「うしっ!昼まで南フィールドの探索にいくぞぉ!!」
10時00分
ログインしたヒロは朝一で入手した素材アイテムを売り払ったあと各種プレゼントボックスを片っ端からあけていき回復アイテムが大量に入手することができた。
上位、最高位プレゼントボックスからも回復剤(通常よりも多く入っている程度)を入手していく。
そして手持ちの最後の最高位プレゼントボックスをあけると回復剤ではない装備品が出現したのだ。
ヒロはすぐさま鑑定を使い調べてみるとチートっぽいアイテムであると分かった。
フェスティバルリング:正式サービス、初イベントを記念して作られた指輪。
装備すると12月中は体力精神力に+200、攻撃力が2倍、取得熟練度+50%される。※取引可能
「うむん!やっぱこれって激レアアイテムだよな?まあ12月中しか効果が無いんだったら良いか」
ヒロはあえて性能に突っ込み入れず指輪を装備し何事もなかったかのように南フィールドへ向った。
南フィールドに潜るなり臨戦態勢をとるヒロ。……初回と同様謎の攻撃で死ぬのは遠慮したいからな。
こういう時に索敵系スキルがほしいがほしいのだが水の中では【索敵】ではなく【ソナー】が必要だという。ただしこの【ソナー】取得条件が未定で別スキルからの派生か、サブクエストの報酬かと色々検証されているそうだ。……条件が分かったら俺も取る事を確定している。
よく見ると周りには海月のようなモンスターがヒロに迫ってきていた。
透明だったので気づかなかったようだ。近くまで接近されてようやく違和感が出る隠密(同化)をもつクラゲに対し鑑定を行う。
ジュエリーフィッシュ(青) 刺胞類
体力 1100
精神力 200
攻撃力 200
ドロップアイテム:カサ・触手・宝石核
おぉ?南のモンスターを見破れるようだ。さっきのにっくきイカのお陰だろうな。
ドロップアイテムの価値はわからんからとりあえず倒してみるか。
俺は槍をクラゲの中心にある臓器のような核に槍を突き出した。するとなんと一撃でクラゲが砕け散ってアイテムがいくつか取得した報告が入る。
「まじか!さっきの指輪効果で攻撃力2倍だからなのか?これはすげぇな!倒せるとわかれば早速リベンジ開始だ!くっくっく。俺はやるぜぇ!」
周りに集まっていたクラゲをドンドン倒していくとがんがん増えるスキル熟練度。
確実に強さを身につけている実感がある。クラゲ以外にもテッポウ=ウォーという水球を連射してくるモンスターやキラーオクトパスという蛸のモンスターとついでにサンタ強にも遭遇した。
テッポウ=ウォー 魚類
体力 1300
精神力2100
攻撃力220
ドロップアイテム;銃魚のウロコ・銃魚のヒレ・銃魚の魚肉・銃魚の卵
キラーオクトパス 軟体類
体力 2100
精神力800
攻撃力260
ドロップアイテム:タコアシ・蛸のスミ袋・蛸の切り身・食べ残し
といった感じのモンスターである。
テッポウ=ウォーに対しては槍で攻撃すれば魚類に追加ダメージが発生するので水球を避けて差を縮めて槍で二突きで倒すことができた。
キラーオクトパスのほうは足の数が厄介で槍を掠め取ろうとしてきたので遠距離から水刃で足を切り取ってから3回の槍攻撃で倒した。2匹目と戦った時は墨を吐いて逃げるのかと思いきや背後から奇襲を仕掛けてきたことには焦ったものだ。
どちらのモンスターも攻撃力が高いので指輪で体力が増えていても直撃すれば死ぬかもしれないので慎重な行動が求められる。
クラゲ・蛸・銃魚・プレゼントボックス等の素材がそれなりに集まったところで昼前に設定していたアラームがなったので町に戻りハヅキとメリルに新しい素材を渡すことにしたのだ。……笑顔が見れると良いな。
ステータス
名前 ヒロ
性別 男
種族 トリトーン(魚神の僕)
体力 150(+25+200)
精神力 80(+45+200)
攻撃力 86(25+18x2倍)
装備
武器:サハギンの槍
頭:なし
体:海人の服→ウェットスーツ
足:ヒレ(着脱不可)
アクセサリ1:ウロコのブーストリング
アクセサリ2:なし→フェスティバルリング
(武)槍技能 LV27→LVMAX
(魔)水魔法 LV26→LVMAX
(技)水泳 LV30→LV33
(技)水中呼吸 LV30→LV33
(技)方位知覚 LV29→LVMAX
(技)鑑定 LV25→LV29
(技)潜水 LV23→LV26
(技)採取 LV19
(技)同化(水)LV23→LV26
(特・技)統率 LV1
控えスキル:船舶LV1・波乗りLV1・生け簀LV1・釣りLV1
所持スキルポイント:10→13
武器スキルの場合 偶数レベルごとに攻撃力2~3上昇
魔法スキルの場合 偶数レベルごとに精神力+5
技能スキルの場合 5LVごとに体力または精神力が5上昇
生産スキルの場合 奇数LVごとに生産性効率や品質に上方修正
特殊スキルの場合 5LVごとにランダムでステータスが5上昇
称号:臣下にすら認められない魚神(笑)・初めての魚神島発見者




