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妄想具現化バトルロワイヤル〜異世界転生ものが溢れるこの時代に、俺はあえて“転生するまで”を書く〜  作者: qp46


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プロローグ

この作品は、いわゆる異世界転生ものが溢れる中で、あえて「転生するまで」に焦点を当てて書いています。


もしも、異世界に行くために“戦わなければならない”としたら。

もしも、その力が「昔の妄想」だったとしたら。


少しだけくだらなくて、でも少しだけ身に覚えがあるような、そんな話です。


誰しも一度は考えたことがあるかもしれない“理想の自分”。

この物語は、それを捨てきれなかった人たちの話になります。


気軽に読んでもらえたら嬉しいです。


5/7 全体的な微修正を行いました。

首を吊るとき、人は何を思うのか。

そんなことを考える余裕は正直なかった。

 畠中泰造、五十五歳。

町工場の経営者"だった"。

不景気が続き、取引先が潰れ、

資金繰りに行き詰まり、

打つ手は打ったつもりだったが、甘かった。

借入は膨らみ、支払いは滞り、最後は銀行に見放された。

社員は一人、また一人と去っていった。

責める者はいなかったが、それが余計に堪えた。

家にも居場所はなく、

責められはしない。

ただ、目を合わせなくなった。


「……すまん」


誰に向けた言葉か分からないまま、口に出た。

ここにいても迷惑をかけるだけだ。

なら、いない方がいい。

椅子を蹴った。

首に食い込む感触。

息が詰まる。

視界が暗くなる。


――終わりだ。


そう思った。


次に目を開けたとき、石の床があった。

「……なんだ、ここは」


体を起こす。

首に違和感はない。

先ほどまでの息苦しさは消えていた。

見上げると円形にせり上がる観客席。

空は妙に澄んでいる。

風だけが通り抜ける。

闘技場、そんな言葉が浮かんだ。

夢にしてはやけに手触りがある。

視線を巡らせるとそこには

人がいる。

中央にまとまって立っている。

一人や二人じゃない

十人以上……いや、十六人はいる。

スーツの男、作業着の若いの、派手な格好のやつ

年も顔つきもばらばらだ

だが、どいつも似た顔をしている

疲れている顔だ。


「……死んだはずなんだがな」


『お目覚めですか』


上から声が落ちてきた。

見上げる。

白い翼のついた人影が空中に浮かんでいる。

天使、というやつだろう。

だが妙に事務的だ。

表情が薄い。


『ようこそ、コロシアムへ』


 ざわついていた連中がぴたりと黙る。

 全員がそいつを見る。


『ここに集められたのは16名。全員、死亡済みです』


「ふざけるなよ」


「どういうことだ」


「夢だろこれ」


天使は意に介さない。


『これより、異世界転生権を賭けた戦闘を行います。形式はトーナメント。最終的に勝ち残った一名のみが転生を許可されます』


「……負けたやつは」


低く問う声があった。


『地獄行きです』


ざわめきが止まる。

冗談ではない、と顔に出でる。

他者の反応も様々ではあるが、

どれも納得している顔はなかった。


『戦闘には各自の妄想能力を使用していただきます。過去に抱いていた理想像、いわゆる厨二的設定。それが能力として具現化されます』


言葉を失う。

忘れたつもりでいたものが、胸の奥で引っかかった。

昔親の目を盗んでみた大人のビデオに出てきていた

"透明人間"

誰にも見られず、誰にも関わらずに済む存在

好き放題に生きていける。

昔、本気でなりたいと思っていた

妄想をふと思い出す。


「……今さらだろう」

すると脳内であの天使のような声がした。

『起動します』


「は?」


その瞬間、体の感覚が一つ抜けた。

手が見えない。

腕も、足も。

視界の中から自分が消えている。


「……おい」


嫌な汗が出る。

ゆっくり視線を落とす。

"それ"だけ、あった。


「……そこだけ残すか?普通」


思わず口に出た。

周りの何人かが振り向く。


「今、そこの人急に消えた?」


「いや、待て……あれ、なんだ」


「…見るな」

低く言う。

情けないが反射だった。


『能力:透明人間。一部不可視制限あり。戦闘能力としては問題ありません』


「問題しかないだろうが…」

吐き捨てる。


そのとき、別の場所でいきなり物が出現した。


「へぇ…面白い……」


ペンを空中で走らせ何かを書く好青年?

鳳蝶のようなモヤを纏い佇む女性

瞬間移動のようにいきなり別の場所に立つ派手な男


くだらない妄想が、現実になっていく


「……馬鹿げてる」


そう言いながら、目は離せない。

周りを見回す

総勢十六人

どいつもこいつも、何かを拗らせた顔をしている。

そして自分もその一人だ。


ここは、そういう場所らしい。

なり損ねた連中が、最後に何かを決める場所だ。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


まずは導入ということで、コロシアムとルール、そして主人公の能力を出すところまでになります。


これからトーナメント形式で話が進み、それぞれのキャラクターの過去や妄想も少しずつ見えてきます。


ギャグ寄りではありますが、しっかり戦闘と背景も描いていくつもりなので、引き続き読んでいただけたら嬉しいです。


次回からいよいよ対戦が始まります。

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