【20話:次の主役たち】
スタッフルームの灯りが落ち、幹部たちはそれぞれの場所へと散っていった。
けれどその夜、心はどこかで繋がっていた。静かな決意と、それぞれの覚悟が胸に芽生えていた。
ミユは閉店後のなでしこで、黙々とグラスを磨いていた。さっきの会議でのレナの言葉が、頭の中を何度も巡る。
「お手本となる店舗を維持する──か。」
それは簡単なことじゃない。日々の運営、キャストのケア、売上、雰囲気づくり。
でも、やるしかない。自分がその基準を体現できなきゃ、誰もついてこない。
「…モモも、成長してるしな。」
ふと浮かんだのは、新人の姿。あの子の真っ直ぐな目を裏切るわけにはいかない。
ナナは堅香子の帳簿を広げたまま、天井を見上げていた。
「深夜集客の研究と共有…」
気づけば、自分の言葉を信じて動いてくれるキャストが増えていた。りりも、あやのも、少しずつ距離が近づいている。
「私のやってきたこと、間違ってなかったのかな…」
そんな小さな実感が、じんわりと胸に広がっていく。
リリはMePの事務所で、なこと向かい合っていた。
「りりちゃんの言葉って、すごく届くんだよ?」
なこの笑顔がまぶしくて、思わず目をそらした。
でも、今はもう逃げない。堅香子での経験が、自分を変えてくれた。
「…ちゃんと、言葉にしていくから。」
MePを守る。仲間と一緒に、ちゃんと支えていく。その覚悟が、自信になっていた。
ヒナは、スマホを片手にバースデーイベントのアルバムを見返していた。
「FC担当…マジかぁ。」
一瞬たじろいだ。でも、同時にワクワクもしていた。
自分を慕ってくれるモモが、いま頑張っている。次は、自分が背中を見せながら“育てる側”にならなきゃいけない。
「私、変わる時がきたんだな。」
画面の中の笑顔に、そっと親指を当てた。
カノンは、PCの前で唇を噛み締めていた。
「SNS、採用、ブランド──全部が看板。」
その言葉の意味を、今なら痛いほど理解できる。
でも、怖くはなかった。むしろ、やりたいことが溢れて止まらない。
「よし、まずはオーナー募集の動画からいこっか。」
目を輝かせながら、カノンはタイムラインに新しい計画を書き出しはじめた。
誰かに決められる未来じゃない。
自分たちで掴みにいく、次のステージ。
未来は自分たちで作って見せる。




