【18話:届いた知らせ】
「明日、みんなに伝えてほしい。」
レナの言葉が、頭の中に残っていた。
翌日の昼下がり。カノンはスマホを手に、グループラインを開いた。
《おつかれさまです!突然だけど、ちょっと大事なお知らせ。今夜、業務後に幹部全員、少しだけ集まれますか?》
ミユ、ナナ、リリ──すぐに既読がつき、全員が「了解です!」と返信してきた。
夜。なでしこの閉店作業が終わり、スタッフルームに集まった幹部たちを前に、カノンは深呼吸した。
「えーと、まず。みんな、最近ほんとにお疲れさま。各店舗それぞれいろんなことがあって、でも着実にいい流れになってきてると思ってる。」
ミユがうなずく。ナナも緊張した面持ちで姿勢を正す。
「で、本題。これから──うちらの会社、次のフェーズに入るって。」
リリの目が少し丸くなった。カノンは続ける。
「レナさんから聞いたんだけど、FC展開を本格的に進めていくって。MePがモデルケース、今後はそれを型にして、フランチャイズで事業を本格的に拡大していくってさ。」
一瞬、沈黙。だが、それぞれの表情がじわじわと変わっていく。
「すごい…!」ミユが真っ先に口を開く。「まさか、本気で進めるとは思ってなかった…」
ナナは口元を引き結んだまま、しばらく黙っていたが、ぽつりとつぶやいた。
「…自分が、その一部になるって…責任、大きいですね。」
「うん。でもさ、ナナもミユも、もうそれだけのことやってきたでしょ?」カノンはにっこり笑う。
リリは少し考え込んだ後、小さくうなずいた。
「わたしも…これから、もっとちゃんと向き合います。」
カノンは全員の目を見て、改めて言った。
「会社が大きくなるってことは、それぞれの役割も大きくなるってこと。でも、みんながいるから、この話も現実になってる。自信持ってこうね。」
その頃──
レナはヒナを別室に呼び出していた。
「話ってなに?」
ヒナが椅子に座るなり、レナはストレートに言った。
「幹部になってほしい。」
「……え、わたしが?」
ヒナは目を見開いた。少しの沈黙のあと、ゆっくりと言葉を選んだ。
「そんな…わたし、まだ人に教えるとか…全然できてないし…」
「でも、もう教えてるよ。」
レナはやわらかく微笑む。
「誰かの背中になってる。それって、もう幹部の仕事だよ。」
ヒナは戸惑いながらも、少しだけ口元を緩めた。
(レナさんに…認められたんだ。)
心の奥が、ほんのりあたたかくなる。
そのぬくもりが、ヒナの中で確かな決意へと変わりつつあった。




