【第11話:伝える力を、武器に変える】
「なでしこと堅香子、今が勝負だと思ってる。」
レナがそう切り出したのは、カノンとふたりきりの社内ミーティングだった。
その声には迷いがなかった。
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「なでしこ、今コンカフェマップで全国3位にランクインしてる。
これは、ただの偶然じゃない。ちゃんと“見られてる”証拠だと思う。」
カノンは頷いた。
口コミ数の積み上げが、確かな“注目”に変わりつつある。
この流れに、広報の力で追い風を与える──その役目は明確だった。
「堅香子はその逆で、“空気をつくれる店”。
他とは違う、深夜帯の魅力で勝負できる場所。
だからこの2店舗、広報でもしっかり支援したい。」
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カノンはノートをめくりながら、言葉を選ぶ。
「X、TikTok、Instagram、この3つが現時点で使える媒体。
LINEのリッチメニューは効果ゼロだったので、完全に切ります。」
レナは苦笑しながら頷いた。
「うん、あれはもう“やらなかったことに”しよう。」
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■短期施策(費用対効果・高)
・X投稿のシリーズ化:「今のなでしこ」を見せる
→制服、雰囲気、キャストの動線。“今この瞬間の魅力”を理由に来店を引き起こす。
・堅香子ナイト連投:金・土の深夜専用シリーズ
→来店者数が少ない時間帯を逆に“プレミアム感”として見せていく。
・TikTok:「1分だけ見て」シリーズ
→密度の濃い接客、ちょっとした裏話、深夜のまったり感などを切り出して発信。
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■中期施策(重点方針)
・なでしこ=「全国3位」の現状を打ち出す
→来店者・求人どちらにも「安心・注目されてる店舗」の印象を強化。
→半年以内に1位を狙えるポジションだと伝える。
・キャスト個人の価値をSNS上でも強化する
→“店として評価されているのに、キャストの名前が知られていない”現状を打破。
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カノンはメモを閉じて、静かに言った。
「店の空気と数字は、発信で変えられる。
でも、キャストの評価は“本人の気づき”がないと変わらない。
だからこそ、投稿にも“主語”を増やしていきます。」
レナは満足そうにうなずいた。
「今なら、変えられるってちゃんと信じられる。」
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広報は、外に向けた戦いであると同時に、
中にいる人たちの“自信”を育てる仕事でもある。
カノンの手が、再び動き始めた。




