37-2 意外な場所
『さすがにそれはないと思います。ここは「風の貴族」が管轄する場所です。風の精霊のエミア様たちが来られることは十分考えられますから。それに、結界を張った一名の方は、「風の貴族」セカンドのホッフマイスター侯爵。必ず配慮されているはずです』
『確かにそうよね。侯爵なら私たちのことをよく知ってるし、万一のことを考えて、私たちでないと見つけられない抜け道を作ってくれてる可能性があるものね』
『なので、午後にまた洞窟へ行って調査してきます』携帯を取りだして充電を確認すると、半分くらい残っているので『これなら動画も撮れるので、戻ってきたら、ファルークを交えて検証しましょう』
『わかった。私はファルークを見てるから、時間に気を付けて調べてきて』
『わかりました』
そこへ、「お昼ができたぞ」オルトが顔をだし「ファルークはどんな感じだ?」と聞くので、部屋の反対側、オルトのベッドの後ろに置いてある簡易ベッドを見るエミアが『爆睡してると言ったほうがいいかもしれないわね。微動だにしないで寝てるから』
『気持ちよく寝ているので、起きたら食事にしたほうがいいと思います』ジュリアスが代弁すると「そっか。じゃあ、起きたらすぐ食べられるように、あとでこっちに持ってきとくよ。エミア様はリビングに入れないかな?」
『窓を開けて風が通る状態であれば大丈夫なので、リビングの窓を開けてきますよ』ジュリアスは立ち上がるとリビングの窓を開けにいき、オルトはキッチンへ戻ると三名分の温野菜を平皿に入れ、オーブンから焼いたパンを出してテーブルに並べていく。
戻ってきたジュリアスが寝室のドアを開けると風が通るので、エミアがリビングへ入ってくると『エミア様の席はどこですか?』オルトに聞くジュリアスが、寝室から椅子を持ってくる。
「ジュリアスの隣でいいかな?」自分の向かいを指すので『ありがとう』と言って椅子に座った。
「口に合うといいけど」心配なオルトに、胡麻ドレッシングが掛かった茹でたジャガイモを食べるエミアが『このドレッシング、作ったの?』と言いながらおいしそうに食べる。
『ドレッシングは作ったのかと聞いてますよ』ジュリアスが代弁すると「ああ、胡麻をすりつぶすところから作ったんだ」答えるオルトは、ジャガイモに胡麻ドレッシングを付けたフォークが宙に浮き、一口ずつ消えていくのを、目を丸くして見ている。
『……おいしい、そうですよ』驚くオルトの表情がおかしくて、笑いを堪えるジュリアス。
「本当? よかった!」安心してオルトも食べはじめる。




