33-5 次の行動
翌朝、午前八時半にファルークの朝食を持って小屋から出ると、洞窟へ向かった。
「ファルークは、土の格子を開けるスイッチを見つけられてるかな?」昨夜から気になっているらしく、寝るまで独り言のように言い続けているので『見つからなかったら、別の方法に切り替えるだけですから』都度、ジュリアスは同じ返事をしている。
『私も洞窟の奥まで行ければいいんだけど……』ジュリアスの隣を歩くエミアが呟くので『エミア様。無理はダメですよ』
「なに、エミアちゃんがどうしたの?」
『今、なんて呼びましたか?』
「エミア様。どうかされたんですか?」慌てて言い返すので『冗談でも許されないことがあるのは、知ってますよね?』
「……ごめん。気を付ける。でもさ、どうして様づけて呼ぶのか、教えてくれないとモヤモヤするんだけど」
『説明する許可をいただけないので無理です』
「エエッ。どうして教えてくれないの?」
『エッ?』
「どうして教えていただけないのですか?」と言って考え込むので『悪ふざけはなしですよ』
「あのさ。前に爺ちゃんが話してくれたことを思い出したんだけど、精霊って、女王が支配してるんだろう?」
『それで?』
「エミア様って、「風の精霊」の女王だったりして」
『だとしたら?』
「だから、そういうことは教えてくれって言ってんの! 知らなかったために失礼な態度を取り続けて、あとで取り返しのつかないことになったら大変だろう?」
『そういうことには気づくんですね。さすが領主教育を受けてただけあります』
「それ、褒めてんの?」
『けなしてるように聞こえますか?』
「聞こえる」
『それは残念です』
「お前、話しづらいな」
『ジュリアス。話していいよ』
『よろしいですか?』
「なにがよろしいの?」
『エミア様から話していいと許可が出たので、お話しします。エミア様は、「風の精霊」の女王であられます』
「マジで! 本当だったんだ! ファルークを捜しに来たんだろう?」
『それもあります』
「そっか。そうだったんだ」
『満足しましたか?』
「ああ。失礼な言動をこれ以上しなくて済むからな」
『……そこはわきまえてるんですね』
「爺ちゃんから、会う機会があるだろうから、その時は失礼のないように振舞えと言われてたんだ」
『……そうなんですか』
『いい子じゃないの』
『……そうですね』
その後、モヤの中を進んでいくと『ここよ』と言ってエミアが立ち止まるので、ジュリアスも足を止めると「どうした?」オルトも立ち止まる。
『ジュリアス、土の色がここから変わるの、わかる?』足元の地面を指さすので、エミアのところまで行くと『アッ』向かいにいるエミアとの間に薄っすらと膜のような存在を感じ『これは、結界の境目ですね?』
『これは、私じゃないと気付かないわね』
『「風の貴族」の管理場所だからですか。まったく気付きませんでした』




