34-1 ファルークの救出
「なに、なに? どういうこと?」オルトが説明を求めてくる。
『ここの土の色が違うのがわかりますか?』ジュリアスがしゃがんで指をさすと隣にしゃがみ「アッ、本当だ。今まで気付かなかった」
普通に歩いていたら気付かないくらいの色の差ではあるが、しゃがんで見ると、きれいに線を引いたように分かれていることが見てとれる。
『今、私たちがいるこちら側が別次元になります』
「エッ、そんな簡単に別次元に行けるの? でもさ、景色とかまったく変わらないじゃん。別次元て、もっとこう植物がカラフルでさ、見たことのない鳥とか飛んでたりするんじゃないの?」
『どんな別次元を想像しても構いませんが、現実と一緒にしないでください』
「なんだ、ちょっとガッカリ」
『別次元の環境に慣れすぎてわからないだけです。人間界に巨大なナメクジがいますか?』
「別次元にはあんな巨大生物がいんの?」
『いません』
「エッ?」
『あれは、ファルークがいる洞窟に、不審者を近づけないようにするために造られたクリーチャーです』
「でもさ、俺は毎日こうやって洞窟まで来てるけど、あの巨大ナメクジは来ないぞ」
『あなたは不審者とみなされていないということです。私とエミア様が来たときは現れましたから、見回り中に不審者を感知すると現れるようですね』
「そうなんだ」
『だから、この森が特別と言われるんですよ』
「なるほどな」土の色を確認すると「ここのモヤは、別次元の境目を隠すためのものなのか?」
『その役目もあるでしょうね』
「そうか」オルトは立ち上がると「じゃあ、ファルークのところへ行くか」
洞窟に向かって道を進んでいく。
入り口前まで来ると『私はここで待ってるから、ファルークにスイッチが見つかったか聞いてきて』
『わかりました。戻るまで時間が掛かると思うので、木の上で待ってていただけますか? エミア様の存在に気付いたら来るかもしれませんから、念のために』
『わかってる』
「じゃあエミア様、なるべく早く戻ってくるので、待っててくださいね」声を掛けるオルトが「ジュリアス、行くよ」懐中電灯をバッグから取り出して先に洞窟へ入っていく。
エミアに見送られて奥へ歩いていくと、「エミア様も一緒にこれたらいいのにな」
『そうですね。でも、こればかりは仕方ありません』懐中電灯で足元を照らしながら進んでいく。
「早くファルークを出してやらないと」
『土の格子を開けるスイッチが見つかるといいんですけど』
すると、二人の話し声を聞いたファルークが『オルト、ジュリアス、出られたぞ!』と声を掛けてくるので、「本当かよ!」走って右に九十度曲がり、懐中電灯の明かりで先を照らすと、土の格子の前に椅子を持ち出して、座っているファルークが浮かび上がる。
『ファルーク!』走り寄るジュリアス。
「本当に出られたのか!」嬉しそうに声を掛けるオルト。
『ジュリアスのお陰だよ。左から五番目の一番下の格子にスイッチが隠されてた』
『本当ですか? 出られてよかったです』
「まずは腹ごしらえしろよ。弁当持ってきたぞ」オルトが土の格子の中に入ってテーブルを持ち出すとファルークの前に置き、朝食が入った布袋を置くと、ジュリアスはランプを持ってくる。




