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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第八章 ルナノヴァ国の秘密
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34-1 ファルークの救出

 

「なに、なに? どういうこと?」オルトが説明を求めてくる。


『ここの土の色が違うのがわかりますか?』ジュリアスがしゃがんで指をさすと隣にしゃがみ「アッ、本当だ。今まで気付かなかった」


 普通に歩いていたら気付かないくらいの色の差ではあるが、しゃがんで見ると、きれいに線を引いたように分かれていることが見てとれる。


『今、私たちがいるこちら側が別次元になります』


「エッ、そんな簡単に別次元に行けるの? でもさ、景色とかまったく変わらないじゃん。別次元て、もっとこう植物がカラフルでさ、見たことのない鳥とか飛んでたりするんじゃないの?」


『どんな別次元を想像しても構いませんが、現実と一緒にしないでください』

「なんだ、ちょっとガッカリ」


『別次元の環境に慣れすぎてわからないだけです。人間界に巨大なナメクジがいますか?』


「別次元にはあんな巨大生物がいんの?」

『いません』

「エッ?」


『あれは、ファルークがいる洞窟に、不審者を近づけないようにするために造られたクリーチャーです』


「でもさ、俺は毎日こうやって洞窟まで来てるけど、あの巨大ナメクジは来ないぞ」


『あなたは不審者とみなされていないということです。私とエミア様が来たときは現れましたから、見回り中に不審者を感知すると現れるようですね』


「そうなんだ」


『だから、この森が特別と言われるんですよ』


「なるほどな」土の色を確認すると「ここのモヤは、別次元の境目を隠すためのものなのか?」

『その役目もあるでしょうね』


「そうか」オルトは立ち上がると「じゃあ、ファルークのところへ行くか」


 洞窟に向かって道を進んでいく。




 入り口前まで来ると『私はここで待ってるから、ファルークにスイッチが見つかったか聞いてきて』


『わかりました。戻るまで時間が掛かると思うので、木の上で待ってていただけますか? エミア様の存在に気付いたら来るかもしれませんから、念のために』


『わかってる』


「じゃあエミア様、なるべく早く戻ってくるので、待っててくださいね」声を掛けるオルトが「ジュリアス、行くよ」懐中電灯をバッグから取り出して先に洞窟へ入っていく。


 エミアに見送られて奥へ歩いていくと、「エミア様も一緒にこれたらいいのにな」

『そうですね。でも、こればかりは仕方ありません』懐中電灯で足元を照らしながら進んでいく。


「早くファルークを出してやらないと」

『土の格子を開けるスイッチが見つかるといいんですけど』


 すると、二人の話し声を聞いたファルークが『オルト、ジュリアス、出られたぞ!』と声を掛けてくるので、「本当かよ!」走って右に九十度曲がり、懐中電灯の明かりで先を照らすと、土の格子の前に椅子を持ち出して、座っているファルークが浮かび上がる。


『ファルーク!』走り寄るジュリアス。

「本当に出られたのか!」嬉しそうに声を掛けるオルト。


『ジュリアスのお陰だよ。左から五番目の一番下の格子にスイッチが隠されてた』

『本当ですか? 出られてよかったです』


「まずは腹ごしらえしろよ。弁当持ってきたぞ」オルトが土の格子の中に入ってテーブルを持ち出すとファルークの前に置き、朝食が入った布袋を置くと、ジュリアスはランプを持ってくる。


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