32-3 ファルークの現状を探る
『……そうですか。では、この国に幽閉されている仲間はいないんですか?』
『どうだろうな。オルト、知ってるか?』
「さっきも言ったとおり、俺の曽爺さんの代からの付き合いだから、幽閉に見せかけて匿ってたけど、俺がここに来たあとのことは知らないから、今、どうなってるかわからない」
『なるほど。表向きは幽閉という言葉を使ってた、と解釈していいですか?』
「それでいいよ。他の領主たちと話を合わせないといけないから、そうしてたんだ」
(ここの領主が前から私たちと懇意の関係にあったというのであれば、フレンティーヌお嬢様たちはどちら側にいるんだ?)
高飛車なフレンティーヌお嬢様の顔を思い出すと『グランチェストのことは知ってますか?』オルトに聞くと「ああ、知ってるよ。親父が潜り込んできたスパイだと言ってたから、よく覚えてる」
『どこのスパイだと言ってたか、わかりますか?』
「ペラノイオのケッドマン」
『本当ですか! でも、ケッドマンは確か捕まったはずです』
「どうして! 例え国際刑事機構が来ても、逮捕されることはないはずだぞ!」
『キラのメンバーが潰したんです』
「キラのメンバー?」わからないと首を傾げるオルト。
『ジュリアス! それは本当か!』土の格子を掴んで大声を出すファルーク。
『その話は、ここから出た後、そのキラのメンバーに説明してもらいます』
『近くに来てるのか? 誰なんだ?』
『ファルーク。時間がないので』
『アッ、わかった』
『この土の格子は誰が作ったんですか?』
『タンデルチェスト子爵だろうな。オルトの話だと、これを作れる者が来たのは子爵だけらしいから』
『いつ頃ここに来たんですか?』
『二年? 二年半くらい前だったか?』オルトに聞くと「そうだな。俺がここに来て二年経ったころだったから、そのくらいかな?」
『どうしてここに来たんですか?』
『フェインが、父君のホッフマイスター侯爵と連絡が取れなくなったとメールが来て、最後に連絡が来たとき、この国に滞在してると言ってたそうなのでオルトが会ってないか連絡しようとしたら、こっちも音信不通だったから来たんだ』
『ホッフマイスター侯爵と連絡が取れない? オルトは定期的に物資を届けてもらってるんですよね?』
「だから、連絡メモにそのことを書いたら、君は心配する必要ないからって返ってきて、心配だから教えてくれと返したんだけど返事がないから、だったらなんとか子爵はどうしたのか聞いたら、いつも物資を届けてるだろうと返ってきたので、違うとすぐにわかったよ。だから、たぶん二人はこの国にいないと思う」
『誰が返事を返してきたんですか?』
「子爵の名を騙った何者かだと思うね」
『サインはなかったんですか?』
「あるけど、達筆すぎて読めないんだよ。でも、筆跡は最初から変わってないから、二人を知る人物だとは思うよ」
『そうですか……フゥ、戻ったら確認しましょう』
「ジュリアス、そろそろ時間だ」腕時計を見るオルト。
『最後に、もし、この土の格子をタンデルチェスト子爵が作ったのだとしたら、どこかに解除用のスイッチを作ってるはずですが、探しましたか?』
「ああ、くまなく探したけど、何も見つからなかったよ」
『どこら辺を探しましたか?』
『壁と地面だよ。他にあるか?』
『この土の格子は?』
『いや。鉄格子のように硬いから……まさか』
『明日、朝食を持ってくるまでに探しといてください』




