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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第八章 ルナノヴァ国の秘密
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32-1 ファルークの現状を探る

 

 その後、ピエロ仮面が誰なのか、目星すら付けられないままファルークの夕飯を持って小屋から出ると、白いモヤの中、北へ向かって続く道を並んで歩いていく。


(そういえば、エミア様はどうしたんだろう? あのまま巨大ナメクジに食べられるような方ではないから、洞窟の近くで待ってるのかもしれないですね)


 オルトは慣れているのでスタスタと歩いていくが、ジュリアスは近くの木々を確認しながら歩くため、オルトと距離が出てしまう。


「なにやってんだよ。置いてくぞ」振り返るオルトに『歩くのが早いですよ。こんなモヤの中、慣れるまで時間が掛かります』


「それはわかるけど、早くしないと日が暮れるから、戻るとき、あのナメクジと出くわすかもしれないんだよ」


『急ぎましょう』オルトを追い抜いて先にいく。


 急に態度が変わるので呆気にとられるが「一緒に行かないと、変なほうへ行ったら戻ってこれないぞ」声を掛けるとジュリアスはその場で立ち止まり、振り向いてオルトが来るのを待つ。


「一緒に歩けばいいのに」ゆっくり歩くので『なにか言いましたか?』聞こえているのにワザと聞くと「急がば回れって」


『回るところがあるとは思えませんが』



 その後、思ったより早く洞窟の手前まで来たので『本当に近道したんですか?』


「回るところがあるとは思えないと言ったのはジュリアスだろう? しかも一本道だったじゃないか」


『そうですけど、私が洞窟から小屋のほうへ戻ったときは、もっと距離がありました』


 その時、突然、巻き上げられそうになるくらいの強い風が吹いてきた。


「ウワッ! 珍しいな。こんな強い風、吹いたことないぞ」


 周りの木々が強風で(ざわ)めくので(エミア様だな。無事だったんだ)ジュリアスがホッとすると「なんだ、風の正体を知ってるのか?」目ざとく聞いてくる。


些細(ささい)なことです。早くいきましょう』先に洞窟へ入るとポケットから懐中電灯を出し、点けると奥へ歩いていく。


「そういえば、一緒に来た彼女、今どこにいるんだ?」思い出したように聞いてくるので『さあ。誰のことですか?』


「なにを今さら惚けてんだよ。女性が一人でいられるほど、この中は安全じゃないんだぞ。さっき話しただろう?」


『その心配はいりません』

「エッ? どうして?」


『どうしてもです』

「意味わかんないんだけど」


『わからなくていいです』

「どうして?」


『知る必要ないからです』

「ますますわかんねえ」


 二人の声が洞窟内に響くので、奥の部屋にいるファルークは誰が来たのかすぐにわかり、土の格子の前に立つと、二人が部屋の前に来るのを待った。


『ファルーク。立ち上がって大丈夫ですか?』

『ジュリアス。オルトは俺の友人なんだから、あまり意地悪するなよ』

『ああ、気を付けます。でも、だいぶ声に張りが出てきましたね』


「やっぱり、二人は知り合いなのか」


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