32-1 ファルークの現状を探る
その後、ピエロ仮面が誰なのか、目星すら付けられないままファルークの夕飯を持って小屋から出ると、白いモヤの中、北へ向かって続く道を並んで歩いていく。
(そういえば、エミア様はどうしたんだろう? あのまま巨大ナメクジに食べられるような方ではないから、洞窟の近くで待ってるのかもしれないですね)
オルトは慣れているのでスタスタと歩いていくが、ジュリアスは近くの木々を確認しながら歩くため、オルトと距離が出てしまう。
「なにやってんだよ。置いてくぞ」振り返るオルトに『歩くのが早いですよ。こんなモヤの中、慣れるまで時間が掛かります』
「それはわかるけど、早くしないと日が暮れるから、戻るとき、あのナメクジと出くわすかもしれないんだよ」
『急ぎましょう』オルトを追い抜いて先にいく。
急に態度が変わるので呆気にとられるが「一緒に行かないと、変なほうへ行ったら戻ってこれないぞ」声を掛けるとジュリアスはその場で立ち止まり、振り向いてオルトが来るのを待つ。
「一緒に歩けばいいのに」ゆっくり歩くので『なにか言いましたか?』聞こえているのにワザと聞くと「急がば回れって」
『回るところがあるとは思えませんが』
その後、思ったより早く洞窟の手前まで来たので『本当に近道したんですか?』
「回るところがあるとは思えないと言ったのはジュリアスだろう? しかも一本道だったじゃないか」
『そうですけど、私が洞窟から小屋のほうへ戻ったときは、もっと距離がありました』
その時、突然、巻き上げられそうになるくらいの強い風が吹いてきた。
「ウワッ! 珍しいな。こんな強い風、吹いたことないぞ」
周りの木々が強風で騒めくので(エミア様だな。無事だったんだ)ジュリアスがホッとすると「なんだ、風の正体を知ってるのか?」目ざとく聞いてくる。
『些細なことです。早くいきましょう』先に洞窟へ入るとポケットから懐中電灯を出し、点けると奥へ歩いていく。
「そういえば、一緒に来た彼女、今どこにいるんだ?」思い出したように聞いてくるので『さあ。誰のことですか?』
「なにを今さら惚けてんだよ。女性が一人でいられるほど、この中は安全じゃないんだぞ。さっき話しただろう?」
『その心配はいりません』
「エッ? どうして?」
『どうしてもです』
「意味わかんないんだけど」
『わからなくていいです』
「どうして?」
『知る必要ないからです』
「ますますわかんねえ」
二人の声が洞窟内に響くので、奥の部屋にいるファルークは誰が来たのかすぐにわかり、土の格子の前に立つと、二人が部屋の前に来るのを待った。
『ファルーク。立ち上がって大丈夫ですか?』
『ジュリアス。オルトは俺の友人なんだから、あまり意地悪するなよ』
『ああ、気を付けます。でも、だいぶ声に張りが出てきましたね』
「やっぱり、二人は知り合いなのか」




