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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第二章 任務のパートナー
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7-1 共同任務 その六 体力の回復を図る(食事編)

 

 隣の部屋もかなり広く、ここにもサンルームが付いている。


「フウ」キラがため息を吐いてソファに座るので「大丈夫か?」ショウが向かいに座って声を掛けると「ああ、大丈夫よ」


 そこへ、メイドがお茶を持ってきた。

 テーブルにカップを置くので「あなたは、ここへ来てどのくらいになるのかしら?」と聞くとやや緊張しつつ「もうすぐ二年になります」と答える。


「彼らが元気なころは、パーティを開いたのかしら?」

「はい。派閥の方々をお招きして、二ヶ月に一度くらいの間隔で(もよお)しておりました」


「最近は?」

「今年に入ってからは行っておりません」

「そう。ありがとう」

「では、失礼致します」


 それから十分くらいして例の側近が入ってきた。


「お待たせ致しました」資料を差しだすので「ありがとう」受け取ると早速目をとおす。

 そこには彼らの身体的特長と、捕獲された場所が克明に記載されていた。


「この資料、いただいても構わないかしら? 彼らの治療に使いたいの」

「どうぞお持ちください」


 資料をバッグにしまうと「そろそろ夕飯の時間になるので、彼らの食事の用意をするよう手配してください。念のため彼が同行します。わたくしは部屋に戻って準備をしますから」


「かしこまりました」一礼するとショウと一緒に部屋から出ていく。


 リビングルームへ戻ったキラは彼らの様子を見ると、なるべく音を立てないようにテーブルのセッティングを始め、備え付けの冷蔵庫から飲み物を出すと、グラスを用意する。


 一通り終わると彼らを起こし、具合を聞くと一人ずつテーブルへ連れていき、食前酒であるロゼワインを開けてグラスに注ぐと、少しずつ飲むように声を掛ける。

 子供たちにはアップルジュースを出す。


「美味しい」

「ワインなんて久しぶりだわ」

「身体に染みわたるような感じですね」

「ジュースも美味しいよ」

「冷たくておいしい」


「お腹が空いてきたわ」

「何か食べたいと思えるなんて」

「おいしい夕飯に期待しよう」


「お姉ちゃん、お替りしていい?」女の子がグラスを差しだすので「少しだけよ。たくさん飲んだら夕飯が入らなくなるからね」

「うん」


 彼らが食前酒を飲み終わるころに料理が運ばれてきた。

 付き添っていたショウがメイドたちに料理を運ぶよう言うと、一皿ずつ置いていく。


  料理を見て顔を曇らせる彼が「これはハンバーグですよね? 僕たちは獣肉(じゅうにく)は食べられません」と言うと「ああ、それは豆から作られた菜食主義者(ベジタリアン)用の代替え肉だよ。匂いを()げばわかるだろう。獣肉臭くないはずだよ」ショウが説明すると困った顔をして匂いを()ぐ。


 すると「あら、本当に(けもの)臭くないわ」確認するように顔を見合わせる。


「効率的にたんぱく質を取れるように開発されたものだよ。みんなが早く元気になるようにどうだろうかとシェフから提案されてね。いい案だと思ってお願いしたら、腕を振るって作ってくれたんだ」と言うと、彼らは恐る恐る食べはじめる。


「あら、豆の味がしないわ。初めて食べる味」女性の一人が(つぶや)くと「獣肉ってこんな味がするんですか?」男性が不思議そうにハンバーグを噛みしめる。


「これ、おいしい」笑顔の女の子に「お替わりしていい?」まだ半分残っているのに次を頼む男の子。


「ほら、ゆっくり食べちょうだい。そんなに急いで食べると喉につかえてしまうわ」キラが注意するが、彼らの食欲を見てホッとすると、ショウと一緒に戻ってきた側近に「食欲が残ってて安心しましたわ。これなら半月くらいで元気になるでしょう」


「そうですか! 早速老師に報告してきます!」

 彼は嬉しそうに部屋から飛び出していく。


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