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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第二章 任務のパートナー
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5-1 共同任務 その四 体力の回復を図る

 

 部屋に入りサンルームへ行くと、中央に置かれているテーブルまでワゴンを運ぶ。


「あとはわたくしたちでやりますから、あなたは戻っていいわ」メイドに声を掛けて引き取らせると、奥のソファに座っている彼らの様子を見る。


 五名のシルバーフェニックスは、二十代の女性が二名と男性が一名。十歳くらいの男の子と女の子が一名ずついる。


 中でも衰弱が激しいのは二十代の女性二名だった。ソファに寄り掛かったままピクリとも動かない。

 その彼女たちの(そば)に、残りの三名が寄り添うように座っている。


 キラは三名に声を掛けて場所を空けてもらうと女性二名の様子を見て「ショウ、お水をちょうだい」声を掛け、バッグから大きめのピルケースを出すと、薬を選んで飲ませる。


 あとの三名にも、状態をみて見合った薬を飲ませると、側近の一人が声を掛けてきた。


「老師が、彼らに何を飲ませたのかお知りになりたいそうです」


 キラは一人掛け用のソファに座る老師を見ると「栄養剤ですわ」と説明し、側近に向って「彼らは最近、食べ物を受け付けていませんでしたでしょう?」と聞くと驚いた顔をして「はい。ほとんど手を付けていませんでした」


 返事を聞いてため息を吐くと「もう少し来るのが遅かったら、手遅れになるところでしたわ」


 言葉を返せない側近。この事はわかっていたらしく、やっぱり、という顔をする。


「とにかく、しばらくここで彼らの様子を見ますわ。とても目が離せる状態ではありませんもの。ここに、わたくしたちのベッドを運んでください」


 側近は、今のことを老師に伝えると部屋から出ていく。



 キラは老師のところへ行くと「あなたの言うコレクションを大事にするというのは、こういう状態にすることですの?」グッタリしてソファに座っている彼らを指すと「いや、それは……」顔を()らし、目を伏せる。


「近々引退されますの?」

「そんな事はせんぞ!」


「ステイタスシンボルを死に追いやっているのに?」と言うと黙り込むので「違いましたかしら?」追い討ちを掛けると「助けてくれるんじゃなかったのか?」


「もちろんお助け致しますわ。老師の名声を守るためですもの。喜んでお力をお貸ししますわ」


「本当か?」疑惑の目で見るので「もちろんですわ」すぐに答えると「……そうか」老師はため息を吐き「君には感謝するよ。何でも欲しいものを言ってくれ。すぐに取り寄せるぞ」


「ありがとうございます。では、欲しいものがありましたら遠慮せずにお願いしますわ」

「遠慮なんかせんでいい。どんな事でもするから、何でも言ってくれ」


「では、最初のお願いをしますわ」

「何かね?」


「すぐにお引き取りいただけますか? 老師がここにおられると、彼らの緊張が解けませんの」と言うと老師は驚いた顔をし、ソファに座ってグッタリしている彼らを見ると「そうか、わかった。では、あとの事は任せるぞ」


「ご心配なく」


 老師たちを見送るとドアを閉め、鍵を掛ける。


「もう大丈夫よ。リラックスして」ソファのところへ戻ると彼らに声を掛け「ショウ、そっちの三名を見てくれる? 私は彼女たちを見るから」


 その時、ドアがノックされたので「いい。俺が出る」声を掛けるショウがドアを開けると、キラたちのベッドを持った男たちが立っていた。

「ああ、こっちへ運んでくれ」


 植物で仕切られたベッドルームへ行き、向かい合わせに置かれている彼らのベッドの隣に置くよう指示をすると「外してほしいものがある。こっちへ来てきてくれ」声を掛け「ここと向うの監視カメラと、こことここに付いてる盗聴器を外してくれ」


 天井の隅に隠れるように付いている二台の監視カメラと、壁に掛かっている油絵の額に付いている盗聴器二ヶ所を指すと、男たちはテキパキと外して部屋から出ていった。


 ドアに鍵を掛け、戻って来ると「ありがとう。調べるのを忘れてたわ」

「そのために俺がいるんだ。気にするな」

「……いてくれてよかったわ」


「周りのことは俺がやる。お前は彼らを見てくれ」

「……ええ」向き直ると「もうすぐ薬が効いてくるから、そうしたら少し楽になるわ」五名のシルバーフェニックスに声を掛ける。


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