5-2 共同任務 その四 体力の回復を図る
一時間ほどすると薬が効いてきたのか、少しずつ動きだした。
「無理して動かないで。果物を用意したわ。ショウ、そっちの三名をお願い」
キラはワゴンの扉を開けると中から大皿を取りだし、テーブルに持ってきて、頭を少し動かす二名の女性の口に小さく切った果物を運ぶと、美味しそうに食べはじめる。
「たくさんあるから、お腹いっぱい食べてね」そう言うと、女性二名は口元に笑みを浮かべた。
その様子を見ていた二十代の男性が、ショウが持ってくる大皿の果物を見て「食べても大丈夫そうだね」と一緒にいる子供たちに声を掛けるので「キッチンで用意するところから監視してるから、大丈夫だよ」
説明するショウが「はい、フォークと取り皿」男性に手渡すと色んな果物を少しずつ取り、念のために毒見をしてから隣に座っている女の子に渡す。
同じように取り皿に果物を取り分けると男の子に渡し、最後に自分の分を取り分けると食べはじめるので、それを見て、子供たちも少しずつ食べだした。
「おいしい」笑顔になる女の子に続き「これ全部食べていいの?」男の子が大皿の果物を指すので「もちろん。でも、全部食べられるかな?」
「三人だったら食べられるよ」と笑顔を見せる。
その後、食べ終わって少し時間を置くと女性たちが動きだすので、それを見て「ショウ、彼らをお風呂に入れてあげて。私は彼女たちの手伝いをするから」
運び込まれた彼ら用のクローゼットから着替えをだし、一名ずつ向かいの部屋にあるスパへ連れいくと、ショウも男性二名の着替えを持ち、一人ずつ連れていく。
一時間後、お風呂から出てくると「疲れた」ショウがソファに座りこむ。
「ご迷惑をお掛けしてすみません」二十代の彼が頭を下げるので「ああ、気にしなくていいよ!」慌てて言い返す。
「気分はどうかしら?」キラが順番に女性たちの髪を拭いていくと「久しぶりにサッパリしました」笑顔で答える。
「安心して湯船に浸かれるなんて、もうないと思ってました」
「あんなにおっきいお風呂に入ったの初めて!」と女の子が嬉しそうに話す。
「大分血行が良くなってきてよかったわ」彼女たちの顔色を見てホッとする。
「助けに来てくれるなんて思いもしなかった。よくここがわかりましたね」冷たいジュースを飲みながら二十代の彼が聞いてくるので「私たちの情報網はすごいのよ。でも、一足遅かったわね」と言うと彼は肩を落とし「なんとか頑張ってたんですが、力尽きました」小声で答える。
「……どんな子たちだったの?」
「十五・六歳の女の子たちでした」
そう聞いてキラは大きなため息を吐き「かわいそうなことをしたわ。これからだっていう年なのに」
「彼女たちの素性は聞いてあります。もし助かったら渡してくれと、遺品を預かりました」ハンカチに包まれた遺品と遺髪、名前などが書いてある紙をだす。
「戻ったら、ご家族に渡してあげて」
キラはデータをインプットするため、その紙から必要事項を書き写すと「さあ、いつまでもクヨクヨしてられないわ。今は体調を戻すことだけを考えて」女性たちを見ると「あなたたちだけでも生き残っててくれてよかったわ。なんとしてもここから出るのよ」
女性たちが頷くとそれぞれのベッドへ連れていく。
「ベッドで寝るなんて久しぶりだわ」
「手足を伸ばして寝られるなんて、嬉しい」
「フカフカ」枕を抱きしめる女の子。
キラはそんな彼女たちの反応を見ると「私たちが付いてるから安心して」
ベッドが置いてある部屋のカーテンを閉めると、キラたちは一旦サンルームから出て奥の部屋のソファへ戻り、彼らが寝付くのを待った。




