表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第三章 運命の輪が作るストーリー
102/721

17 本当の名は

 

 二人は湖の(ほとり)まで来ると「彼女たちは、シルバーフェニックスの王国へ行けないのか?」ショウがフロス アクアエを見る。

 すると「多すぎて、許容量オーバーになってしまうのよ。彼女たちも元いた場所を追われてここへ来たんですって」水際に座るとショウも隣に腰を下ろす。


「でも、この土地にいたお前の仲間はすでに連れ出されてる。時期にここも砂漠となってしまうんじゃないか? それとも、誰か残ってるのか?」

「いいえ。私以外、誰もいないわ」

「お前がいるから、変わらないのか?」

「……そうよ」

 フロス アクアエたちが悲しそうな顔をして近寄ってくる。


「彼女たちの存在が私の考えを変えたのよ。私がいなくなったら彼女たちも死んでしまう。もう、彼女たちには移動する力が残ってないのよ」

「……そうなのか」

「大丈夫よ。心配しないで。代わりが来るまでここにいるから」フロス アクアエに声を掛ける。


「誰か派遣されてくるのか?」

「この森には大勢の精霊が避難してきてるの。だから、ここだけは守らないといけないのよ」と言うと、周りが急に明るくなったので振り返ると、様々な格好をした精霊と思われる者が大勢で取り囲んでいた。


「みんな、やっとここまで辿り着いたのよ」

 そう言われてみると、どの顔も疲労のせいかやつれて見える。


『お願い。私たちを助けて』一番前にいるカラフルな服を着た十代後半に見える女性たちが(うった)えてくる。

「彼女たちはガーベラの精霊。彼女たちの母親に頼まれた渡り鳥が、種の彼女たちをここへ運んでくれたんですって」

「でも、まだここは危険じゃないか? 例のオバさんがまだ鏡を隠し持ってて、雇った()(びと)を使って狩りを始める可能性があるだろう?」

「手は打ってあるわ」


「そうか。そうだよな。そんな危険人物、ほっとくはずないよな」

「もちろんよ。人間の中で一番許せない奴らよ」

「同じ人間として恥ずかしいよ。こんなひどい事しときながら俺を信じてくれなんて、虫が良すぎるな」


『ウフフ、それは違うわ』フロス アクアエが笑うので「なんで?」と聞くと『だって、あなたを嫌ってたら、とっくにあなたの前から姿を消してるはずだもの』

「何を言うのよ! あなたたちは、彼のしつこさを知らないからそんな事が言えるのよ! 私がどれだけ苦労してると思ってるの! 発信器や盗聴器まで付けるのよ!」


『だったら、彼から離れればいいでしょう?』

「何回も離れようとしたけど、逃げられなかったのよ!」

『では、なぜ彼にここまで話すの?』

「あなたたちが余計なことをしたからでしょう!」

『……ごめんなさい』

「でも、少しは、信じても、いいかなって、思ったから……」

「そう言ってくれると嬉しいよ」


「全部信じたわけじゃないからね!」

「ああ」

「自惚れないでね!」

「わかってる」

『ウフフ、ラルったら素直じゃないんだから』

「また!」

『いけない!』


「そうだ。ラルってどういうことだ?」と聞かれ、キラがフロス アクアエを(にら)む。

「なんで彼女たちはお前のことをラルと呼ぶんだ? お前の名前はキラじゃないのか?」

 さらに聞かれて頭を抱えるので「説明してくれるんだよな」


 キラは深いため息を吐くと「ラルはニックネーム。私の本名はラフェリア。キラとは、キラとはグループの名称なのよ」

「キラがグループの名称?」

「グループのメインメンバーは、全員キラと名乗ってるの」

「だから前にグループの名前を聞いたとき、教えてくれなかったのか」

「この名を名乗ることで、私たちが何者なのか、わかるようになってるの」

「一種の暗号のようなものか?」

「……ええ」


(ラフェリアか)


「そろそろ戻りましょう。寒くなってきたわ」キラが立ち上がるので「そうだな」ショウも立ち上がると「じゃあね」フロス アクアエたちに声を掛け、来た道を引き返していく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ