16-2 精霊がいる場所
「残ってたのか」
「……そうなるわね」
「今回のことに付いて、お前たちはどういう考えなんだ?」
「最初は、中立国を覗いて全面撤退の趣旨で動いてたわ。でも、拒む者が出てきた」
「なぜ?」
「私たちの中には、長くこの世界に住んでる者が大勢いるわ。そうなると、家族を持つ者が出てくる。恋人や友人も。そんな彼らを無理矢理引き離すことはできない。だから、彼らにはサポートを付けて留まることを許可したの」
「それで、何も変わらない場所が出てきたのか」
「それだけじゃないわ。私たちが人間界から撤退したら、彼女たち、人間界にいる自然界の精霊を見殺しにすることになるのよ」湖から顔を出して、こちらを見ている二名のフロス アクアエを見る。
「最初は中立国を除いて全面撤退の趣旨で動いてたと言ったが、どこへ撤退するつもりだったんだ?」
「それは……」
「撤退と言うからには元々居場所があって、そこから人間界へ来てるという流れだよな?」
「……」
「そうか、シルバーフェニックスの国がどこかに存在するんだな? そこから人間の世界、つまりここに来てるんだ」
「……」
「以前、どこかの国の官僚が一時期、大量のシルバーフェニックスを確保し、一気にステータスにのし上がったと報道されたことがある。あの時は、どこからそんなに確保したのかと話題になったが、もしかしたら、シルバーフェニックスの国に行く方法を見付け、乗り込んでいったのか?」
キラは俯いて何も言わない。
「ああ、答えなくていい」
迂闊に口を滑らせてしまったと自分を責めているキラに「その官僚の事件のとき、シルバーフェニックスの王国があるらしいという情報が裏社会で噂になった。たぶん、その官僚の関係者がリークしたんだろうと言われてる。だから、お前の話を聞かなくても予測は立った」
また黙るキラに「その時、一緒に出てきた情報によると、幽閉していた兄弟を騙して王国への入り方を入手したということだが、その事は知ってるか?」
俯くキラはしばらく何も言わなかったが「その兄弟、二人だけが、狩りのときに、生き残った、そうよ」と話し出した。「国王が、助けに、来て、くれるまで、頑張ろうって、励まし合ってた、のに、お兄ちゃんの、ほうを、痛め、つけて……」
「もういい!」キラの言葉を遮る。「もう、十分にわかった」
実は、その後の情報も追記して流れていた。
その兄弟は、後日、幽閉されていた屋敷の裏にある森の中に埋葬されたと……。
「お前たちが人間を憎む理由は十分にわかった」
そして、その事件で王国から連れ去られたシルバーフェニックスは二百名を超えるという情報も流れ、狩りに拍車を掛けたことになった。
しかし、シルバーフェニックスが王国への入り方を変えたらしく、再び王国への入り口が開くことはなかった。




