第35話 優しさとはなんだろう?(加藤雪女視点)
久々の投稿になります。半年以上も空いていたようです。すみません!細々と活動を続けていくつもりなので今後ともよろしくお願いします!
優しさとはなんだろう?
◇
私はこれまで平穏な生活をしてきた。普通に学校に行って家に帰ったら宿題があればそれをやり、終わったらテレビを見たりスマホをいじったりする。そのルーティンの繰り返し。でも、それはとても恵まれていることだということを私は理解している。幼馴染の良太は家族から忌み嫌われ、部屋も家の中ではなく外に置かれている。唯一の味方であるお祖父様も毎日良太の家にいるわけではないので辛そうに過ごしている良太を見て私の胸は痛かった。そして、不甲斐なかった。何もできない自分に腹がたった。自分の無力さに落胆した。どうして私は何もできないのかと自分に腹がたった。でも、無力さに打ちひしがれていたとしても日常は続く。ルーティンは変わらないし、良太になにかしてあげられることはない。
良太はすごい人だ。どれだけ家族から嫌われていたとしてもそれをおくびにも出さない。気丈に振る舞う良太を誇らしく思うと同時にどうしてそんなに強くあれるのか疑問だった。周りからどれだけバカにされても笑ってやり過ごすなんて私には耐えられそうにない。まして自分の家族にそのように扱われることなんて。人は順応する生き物なんて言われているけれど私にはムリだ。そんな環境下で生きていくことなんて。しかし、良太にとってはそれが当たり前でその環境の中で得た振る舞いがやり過ごすことなのだとしたらそれはすごくさみしいことだと思った。
周りからはどれだけバカにしても怒らないやつ。そんなふうに認識され、何度も何度もバカにされる。でも、周りからそのようなイメージを持たれていると良太はわかっているからどれだけ内心傷ついていたとしても笑い続けなくてはならない。周りが思う良太を演じなければならない。
そんな日々を乗り越え、いま高校生活を送っている良太に私は何をした?リレーのメンバーに選ばれたのにケガを負わせて良太の努力を水の泡にした。
責めてくれればよかった。
お前のせいで!と言ってほしかった。
実際、私のせいで良太はケガを負ったのだから。
『もし俺が困るようなことがあったら手を貸してくれ』
そう言って笑った良太を見て私は涙が止まらなかった。どうして?ねぇ、どうしてそんなに人に優しくできるの?これまで色んな人に冷たくされていたのにどうして?
私は家族から『他人に優しくしなさい』とこれまで言われて生きてきた。だから、優しくあろうと思った。でも、良太は?そんなことを言ってくれるような人がいなかったであろう良太は?
どうして良太が辛いときに手を差し伸べることさえできなかった私に優しくしてくれるのだろう。無条件の優しさがないことなんて良太は知っているはずなのに。
優しさとはなんだろう?
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