42話 赤竜 レッドドラゴン 邂逅
山の少しひんやりとした風が気持ちいい・・・ことはありません。
現在、グリモアたちの背中に騎乗し、レッドドラゴンが生息している標高4000m付近まで飛行中です。
風はもちろん熱風です。暑いです。
【水神の加護】付与してないと熱中症になっちゃいそうなくらいに。
火山と言っても、植物がゼロというわけではない。
所々に木が一応生えている。さっきまでいた標高2000m付近ではまだ枝に葉が付いていた。
しかし、標高が上がるにつれて木の本数も減っていく。さらには、木が黒くなっている。
炭化しているのである。
普通、山は標高が上がれば気温も下がっていくものだが、ここは例外である。
火山-ボルケーノは頂上、つまりは噴火口に近づくにつれて暑くなっていく。今も噴火口は塞がっておらず、マグマが常時湧いている。それでも噴火しないのには一つの言い伝えがある。
4臣の一柱である【焔龍】の力で噴火が抑えられており、王国が誕生して以来も噴火したことはないらしい。
『創世の龍、蒼龍に使えし龍。もしこの火山のどこかにいるんだったら会ってみたいな。』
『主よ、そろそろ奴らのテリトリーに入る故、警戒を』(グリモア)
「そうだね。レッドドラゴンもそこまで馬鹿じゃないだろうし・・・・・ところで、セナ。少しくっ付きすぎじゃないかな。息がしづらいんだけど。」
「お姉さまとこんなに密着できる機会が最近ございませんでしたので、ここはと思い我慢してください。お姉さま成分を補充しないと私、枯れてしまします」
「嘘だよね。絶対枯れないよね。今までも隙あらばくっ付いて来てたよね!!」
振りほどくのは簡単だが、グリフォンで飛行している最中なのでそれができない。それを知ってか、いつにもまして背中側に密着してくる。柔らかい桃が二つ、めっちゃ押し付けてくる。
平常心、平常心だ、私負けるな!
『私専用の移動手段ほしい。グリモアたちに2人ずつ乗ってもらって、アリアは私の胸ポケットに納まるだろうから、それで万事解決。あと一人仲間見つけたいな。アリア元気かな?どうやったら春の大陸からアリアを連れていけれるようになるかな。悩みはまだまだつきそうにないな、ハハハッ。』
そんな思考を巡らせている最中、上空から魔法気配が感じられた。
急接近する火球が3つ。更にその上、太陽光の逆光で見にくいが、大きく翼を広げ、赤々と光沢のある鱗に覆われた竜が3体が私たちを見ている。火球はそいつらが私たちに目掛けて放ったものだった。
「レッドドラゴンのお出ましだ。全員戦闘準備。各自散開。グルフォンたちの機動力を使って回避しつつ、隙あらば攻撃、撃退・・・」
命令を言い切る前に火球がミキに襲い掛かるう。
シュッ。
一閃。
火球がすべてミキに当たる前に空中で霧散し、消え去った。いつの間にか右手に刀が握られていた。いつ抜刀したのか、同乗していたセナにも分らなかった。
「火球の処理完了。では、メンバー諸君。舞の時間です。」
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その頃、上空6000m付近を降下中の白い物体が何かに気が付いた。
『この辺りは確かレッドドラゴンのテリトリーだったか?なにせ1200年ぶりだ。よく覚えていないのだが。でも、近くに違う気配があるな。これは・・・人・・・むっ、レッドドラゴンが人に目掛けてファイヤーボールを放った!なに!!ファイヤーボールが3つとも消えた!』
白い物体は、魔力感知や周囲警戒、望遠などのスキルも多用しながら、上空6000m付近から今起きた光景をさしも眼前で見ているかのように知覚している。人とレッドドラゴンが戦闘しているところは、標高4000m付近。約2000mの差があるにもかかわらず。
『今ファイヤーボールを消したのはあの娘か。火魔法の中でも威力はそこまで高くないものではあるが、レッドドラゴンが放つものという意味では威力が異なる。ましてやレッドドラゴンのLv帯であれば普通の人からすれば脅威でしかないはずなのだが・・・・私には効かないがな。それを消し去ったとなると、あの娘何者だ?』
白い物体にも虎の獣人が抜刀し、それで火球を切り裂いた瞬間は見えなかったようだ。
虎の獣人の娘に対して好奇心が湧いたそれは、上空からしばらく見物することを決めたのである。
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