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だいしちじゅういっしゅ こがらしに さそはれかれて まひこのは つとめはたせば たびにたつかな
第七十一首
凩に 誘はれ枯れて(離れて) 舞ひ木の葉 務め果たせば 旅に立つかな
凩に誘われて。
次から次へと、木の葉が散らされて、旅に立つ季節になりました。
瑞々しい若さを終えて、物腰も深みが出たところ。
もはや人に花を添えることは出来ないのやもしれませんが。
華やかな処ばかりが、世の中の全てではなく。
そこを離れて余生を生きる、腰を落ち着ける場所を探すのもよいのでしょう。
わたしなら、そのような場所は穏やかな陽だまりと、柔らかな落ち葉が地面を覆う土地で、詩を綴りながら生きていきたいと思うのです。
秋の空、風が吹き抜けていくその先に。
木々のために光合成を続けた木の葉は。
どこか、安らぎの中へ落ち着けたのでしょうか。
ふわり。
地面にまた一枚、枯れ葉が落ちた。
こがらしに さそはれかれて まひこのは つとめはたせば たびにたつかな




