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一人百首  作者: 奈月遥
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第五十二首 有明の 月は今こそ 昇りしか 別れもしばし 日の見ゆるまで

だいごじゅうにしゅ

ありあけの つきはいまこそ のぼりしか わかれもしばし ひのみゆるまで


 少し、考えてみました。

 女性として受け取って嬉しい歌とはどんなものかを。

 これが、割合難しい。

 女性の希望ばかりでは、それこそ妄想。

 男性の身勝手な感情ばかりでは、ただの火種。

 本当に、試行でもうまくいかないなんて、男女の仲は一筋縄ではいきません。


有明の 月は今こそ 昇りしか 別れもしばし 日の見ゆるまで


 なにが嬉しいかと問われれば。

 ささやかなながら、少しでも長くいる時間を。

 都合を考えるならば。

 好きでも、いいえ、好きだからこそ、大切な人を養うために、家を出て勤めなくてはなりません。

 まして、男は恋愛ばかり考えるのではなくて。

 地位がなければ軽んじられて、食べるのに困りますし。

 見栄を張らねば、惨めになって引き籠りたくなりますし。

 趣味を嗜むのも、大人として会話を盛り上げる処世術ですし、何より普段から女性や上司から受けるストレスを発散させるのに必須でして。

 ……めんどくさい。

 ええい、ごちゃごちゃと。

 好きの一字で満足しませんか。

 肌を重ねた人と、他人の目と、どちらを取りますか。

 四六時中一緒にいろなどと、言うつもりはないのですよ。

 なのに、口うるさいだの、わがままだのと、どの口が言いますか。

 白日の下にさらされたら、さっさと逃げて。

 わたしが彼女だというのが、そんなに恥ずかしいですか。不満ですか。

 わたしは、あなたからの歌一つで、幾夜も待ちましたのに。

 それで、別れもしばし後でとは言いますが。

 たまには、日の下で、共にどこかを散歩して回ろうとか、嘘でもいいから仰ってくださいな。


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