だいさんじゅうろくしゅ はるにこひ 夏の情熱 秋郷愁 ふゆはせつなし きせつはめぐる
第三十六首
春に恋(請ひ) なつのぜうねつ あきけうしう 冬は切なし 季節は巡る
季節は巡るわ。
それは、恋も同じかもしれない。
恋の始まりを春と人は呼ぶね。
胸が高まって、自然と頬が熱くなる。そして、どうしようもなく、恋焦がれて、そばにいることを強請って(ねだって)しまう。
恋の泉が湧くのは、夏に似ている。気持ちが高ぶって、一生懸命に気を引いて。溢れる情熱のままに、はちゃめちゃに行動してしまうのね。そして恋仲が結ばれて、ただただ、この愛しさを伝えたくて、わたしを見てほしくて。
それから、少し気持ちが落ち着く頃。ずっと一緒にいたせいか、独りの頃が懐かしくなる。昔のこと、幼い時、郷愁にひたる。きっと、相手に自分のことを知ってほしくて、自分を見つめ直すせいね。それなのに、うまく伝えられないのも、昔ばかり懐かしんでしまう要因かも。なんでわかってくれないの、ってね。
そして、全てが眠る冬の季節。眠るのは、疲れた生命を休ませて、また元気を取り戻すため。でも、やっぱり心が離れていくのは、さみしくて。一人と一人。大切な時間ね。待たないと。でも、逢いたいって気持ちは雪みたいに降り積もって。雪解けの時を待ち望んでる。
そしてまた、新しい気持ちが芽吹いて、あなたにもう一度恋をする。
季節が巡るように。
愛しさも巡って、繰り返す。
時には気持ちを押し殺して。
想いは生まれ変わりながら、永遠を奏でるわ。
はるにこひ 夏の情熱 秋郷愁 ふゆはせつなし きせつはめぐる




