だいにじゅうしちしゅ めうぜうよ ひごとつきより わかれゆく みちたるかれを さにもきらふか
第二十七首
明星よ 日ごと月より 別れゆく 満ちたる彼を さにも嫌ふか
あのね、あのね。ある日の夕方のことなんだけど。
金星がきれいだったの。宵の明星ってやつね。ぴかぴかしてて。
そのすぐそばにね、まだ細いお月様がいたの。ほっそりとしたペーパームーンは、わたしの生まれた日と同じ姿なんだって。新月を一日目にしたら、二日目の月。しゅっとして、スタイルいいんだよ。羨ましいでしょ。
つまりね。金星とお月様が仲よく寄り添って、お空にいたの。いい感じの夫婦だね。
それがすごく印象に残っちゃって。
次の日も、お月様と金星を探したんだ。やっぱり、仲睦まじく寄り添ってたよ。
三日月に星なんて、国旗みたいで風流ね。
でも、なんだか二人が少し距離を置いてるように見えるのは、気のせいかしら。
このときに気付くべきでした。いえいえ、気付くというより、気に留めるべきだったと言うべきでしょうか。
この現象を、金星と月の大接近と報じていた新聞の記事を。
ええ、ええ。これは接近していたのです。
わたしは、次の日も、その次の日も、夕方になると金星とお月様を探したの。
月齢を重ねて光が満ちていくお月様はすぐに見つかり。
その後に、きょろきょろと金星を見つけ出さないといけなくなって。
だんだんと、お月様を見付けてから、金星を視界に入れるまでの時間が長くなっていき。
ついには、金星が見えるのは、月が昇るのにだいぶ遅れるようになったのです。
そのとき、ふと感じたのは。
夫は身を立て地位を得ていき、家にいる時間が減っていく。
妻は家事に子育てに忙しく、夫から心が離れていく。
そんな……そんな、かなしい現実でした。
めうぜうよ ひごとつきより わかれゆく みちたるかれを さにもきらふか




