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要は強く有れってことでしょ?  作者: 桜忠丸
プロローグ 世界の重なり
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『あなた方では、私に傷一つつけられません』

無数の魔法をぶつけられた敵の一人は、ほぼ無傷の状態で出てきた。

「おいおい…」

「マジかよ…」

「勝てんのか、こんな奴に…?」

魔術士組に動揺がはしる。

「……『無慈悲な女神の氷息(コキュートス)』『無慈悲の白十字(クラウン・ゼロ)』『灼熱の太陽(イフリート・サン)』『跳ね遊ぶ雷狼(エレクトロ・ウルフ)』『貪欲の餓虎(ドレイン・タイガー)』『吹き荒れる吹雪(スノー・テンペスタ)』『覇喰らいの獅子(ガット・キリング)』『支配:搾取(オベイ・ギビング)』」

氷花の大魔法の八連撃に別の意味で動揺がはしる。

『わ、私が死のうとも彼等が必ずや悲願を―――』

「……あっそ」

その時の様子を見ていたプレイヤーは、後に

『あれが魔術士(ソーサラー)だとするなら俺は魔術士(ソーサラー)をやめる』

とまで言ったとか言わないとかww。



『ほらほらぁ、どうしたんですかぁ?守ってばっかりでは勝てませんよぉ?』

片手斧と――どこからとりだしたのか――十字架で交互に攻撃してくる。

「勝たなくてもいいんすよ」

それを壁盾と片手剣で防ぎ続ける。

後ろでは何か大魔法が次々と炸裂している音がする。

気にしたら負けっす、自分!!

見たら自分の今までの常識が崩れそうな予感がひしひしとする。

その前に後ろを向く余裕があるはずもないが。

『勝たなきゃ負けですよぉ?』

「勝たなくても負けないっすよ。俺は」

それを自分は少し前に知った。

「勝手に皆が勝っちゃうっすから」

「言い方に気を付けろよ、ガキ」

ふと耳元でいきなり龍の咆哮のような銃声が響いた。

「うがっ!!」

思わず耳を塞ぐ。

『何ですかぁ、あなたは?』

そう疑問を口にした敵が真横に吹っ飛んだ。

「そう思われていたなら、心外です」

「言葉のあやっすよ、ハハ…」


『ふざけてますねぇ、ホント…』

「うっさい、邪魔」

立ち上がろうとしていた敵に、もう一人の敵が飛んでいく。

「相変わらず大雑把だな、お前は」

「黙らっしゃい」

そこには、間違いなくサーバ最強の女がいた。

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